2016/11/24 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にリュヴィートさんが現れました。
リュヴィート > 今宵の夜空と同じくらい黒いベレー帽を深く被り直し人目を避けて富裕層の住まう地区の大通りを歩く少年一人。
今夜はこの地区の商人宛の手紙を届けての帰り道、あまりに周囲の絢爛煌びやかな空気と今の自分の姿が合わなくて、歩く歩幅もスピードも多少早くなってしまう。

「……帰ろ、どうにも此処の空気は合わない、むず痒くなる……。」
言葉を口から吐き出す度に同時に白く曇った吐息がでるほどに寒く、両手を口元ですり合わせて、言葉も無しにハァーっと両手に息を吐きかけて、暖をとろうとしてしまう。

何時からだろうか?夢魔なのに寒さに弱くなったり、力が数分の一も出なくなったのは……。
封印されたり、弱体化の魔力でやられた覚えなどない。
きっと今まで好き放題人間やミレー族を好き放題嬲り尽したのが原因なのだろう、たぶん罰というヤツかもしれない。

とにもかくにも人間に近い身体になってしまったのだから、それを月を見るたび寒さを味わうたびに思い出して悔やんでも仕方ない。
一先ずこの身体に慣れて生活していく事が優先だ。

しかし……本当に今夜は寒い。
防寒用に購入した厚手のフード付きローブ、履いているズボンだって厚手である。
それでも寒さから完全に逃れる事は出来ず、今宵何度目か覚えていないため息ハァーっと吐き出し、ついでに両手を再びすり合わせるのだった。

リュヴィート > せめて全盛期の数分の一でも力が戻れば……
せめて美女でも美少女でも現れてくれれば……
夢魔の力を使って相手を魅了して一先ず今宵の寄生先にでもするのに……と、よからぬ事を企んでしまう程に何度も思うが今宵は本当に寒い。
両手をすり合わせた程度じゃ寒さは消えず、両手をすり合わせるのを止めてフード付きローブの襟元をぎゅっと掴み寄せて、出きる限り冷たい空気を中に入れないようにと。

「で、道はコッチであってたかなー?あんまりここいらは来ないから……。」
寒さで思考が鈍った所為もあるし、この富裕層が暮らす地区はあまり足を踏み入れない為に本当に土地勘がない。

ひゅぅ……と行き成り吹いた夜風にベレー帽がズレるのは気になるが、視線を右に左に上に下にと向けて、見知った路地や屋敷を探して彷徨わせる。

そして立ちっ放しは余計に寒いと足を止めず、適当に出来うる限り見知った?と思われる道のほうにスタスタと足を進めていく。
凍えてしまう前に何とかしなくては……
最悪会員制に見えない酒場にでも逃げ込むか……

人影は小走りに夜の大通りへと消えていくのだった。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からリュヴィートさんが去りました。