2016/11/10 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にミーシャさんが現れました。
ミーシャ > 「……何処も賑やかなのは同じだネェ……」
今宵は貧民区に立ち寄ろうかと思ったのだが、ふと気まぐれで真逆の裕福層が生活する裕福地区に足を踏み入れていた。
今は特に取材という心算もなく、まだ到着して浅い都市の脳内地図を埋めていこう、と言うほんとただそれだけの散歩のようなもの。
――出切れば美味しいお酒と美人を片手に……。
なんて欲望も浮かぶが生憎一見さんお断りそうで会員制っぽい建物に入り込める特殊な身分でも紹介してくれる友人もいない。
ので、外からそういうお店のある程度の位置だけを頭に叩き込み、軽く鼻歌を歌いながら歩いてるのだった。
他の地区とは違う確りと整備された道、綺麗に整えられた石畳、立ち並ぶ水銀灯。
それでも何処か闇深いのが垣間見えて……。

「……さーて、知り合いを作るか創るか、どうしようかしラ?出切ればお酒をご馳走してくれたリ、カワイイ服やアクセサリーなんかヲ……。」
道行く人が時折視線を向けてくるのも気にもとめず、両手を腰の後ろにあてがい、弾むような足取りで進む姿は周囲の視線を徐々に集めてしまう。

夜の闇に映える特注品のウィッグの長い銀色の髪
ルージュとはいかないけども、魔力を乗せて色付けた薄紅色の唇
暗闇を見通す真紅の瞳
そして、唇に浮かべた三日月のように細く淡い笑み、其処からちらりと見せる鋭い牙
何より目立つのは白い肌を包む夜の闇で作り上げたと言われても誰も驚かないほどに光を吸いこむ黒色のワンピース、丈短め。

それらを見せ付けるように、視線がより集まるように、時折見知らぬ視線に視線を重ね、しなやかな腕をふりふりと振って挨拶なんてしてみせる。

ミーシャ > 「……フム、お邪魔できそうな施設は見当たらないかナ?」
手っ取り早くそこ等のお金持ちそうな人間を捕まえて、僕(しもべ)や眷属に変えてしまえば色々と捗りそうだが、それじゃ美しくも楽しくもエレガントでもない。
ので、この案は浮かべただけで廃案にする。
頭の中で紙をくしゃくしゃにするイメージを浮かべて、少しだけ大げさに肩をすくめて溜息を大きく深く吐き出す。
ふわっと浮かんで寄るのや身に消える温かな吐息
吸血鬼で不死者と言えど体温はそこそこ有る様で、何となく安心したりもする。
さて、真紅の瞳に仄かに光を宿し夜目を効かせ、何か無いかと右に左に視線を這わせながら、ふと足を止めて掌を白い首筋にあてがい、左右に首をコキコキと曲げてみせた。

何かのどの調子が悪い

「アー、ア、アアー………。」
意味の無い言葉と弾んだ声を唇から奏でれば、視線は再び自分の方に集まってくる。
それでも声をあげるのを止めず、人目も憚らず何度目か判らない溜息を歌声?の締めくくりにハァーっと吐き出した。
そうすれば再び唇から滑り出た温かな吐息は再び夜の闇に溶け込むように消える……。

ミーシャ > 「……ふ、ぁ………。」
唐突に白いと息と共に零れた欠伸。
不死者は夜の世界に生きる、と言われているが、自分はどうにも昼型吸血鬼のようだ。

その後も何度か欠伸を零し、時々噛み締めながら、通りを抜けて、今宵の宿の方へと向かい始める。
早く温かな部屋で、温めたワインを飲んで、棺で寝ようと……。

今宵も吸血鬼は緩やかな足取りで夜の闇へと消えていく、そこの淡い薔薇の香りと多少の魔力の痕跡を残して……

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からミーシャさんが去りました。