2016/10/08 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にラウリックさんが現れました。
ラウリック > 「夜景としては中々のものだ」

富裕地区の外辺の酒場。この地区に用事のある外の者が利用者としては多い。
そんな酒場の裏手に小さな卓を置いて小さなグラスと瓶を共に丸椅子に腰を下ろす男。
やや小高い位置にあるこの店の裏手からなら街の中の一部を見渡せる。
遠くは貧民街までも。
小さな卓に置かれた瓶から香気高い液体をグラスに注ぎ、手にする。

ラウリック > 店への出入り口らしい裏口からは騒がしい祝杯を上げる声と音が響く。
富裕層の貴族相手に一稼ぎ上げた冒険者か商人が息巻いているのだ。

「……たまにはそういった相伴に預かるのも悪くないだろう」

そちらをチラリと一瞥だけして、店内の喧騒に耳を傾けながら静かな夜の街を眺める。
手にしたグラスを口に運ぶとゆっくりと飲みながら思案げな表情で沈黙した。
開け放たれたままの裏口から店主らしい男の赤ら顔が男を覗いて、
そこにまだ居ることを安堵したように息を吐くと直ぐに怪訝な顔をして引っ込む。
貴族が、自分の店に来てしかもわざわざ店の裏手で一人で飲む、という行動が意味不明だったのだろう。

ラウリック > 暫しそうやってグラスを干すと男は緩やかに立ち上がった。
夜景をもう一度だけ見渡し、小さく息を吐く。
店の裏口へとゆっくり歩き、開け放ちの戸板を叩く。
気づいた店主が慌てて来るのに穏やかに頷いて。

「店主。…迷惑を掛けた」

そう言って相場よりやや色が付いた支払いを済ませる。

「残った酒は、店主から見て今日一番の男へ奢ってやってくれ」

と、未だ喧騒が静まらない店内を眺めて小さく笑う。
店主が驚いたように、いいんですかい?と聞かれるのに頷き。
ゆっくりと去っていく男の後ろ姿を店主は見送った。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からラウリックさんが去りました。