2016/05/27 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にアマンダ さんが現れました。
■アマンダ > 夜の大通り。
辺りはすっかり酒で出来上がった人ばかり。
道端でいちゃつくカップルなども出始めている。
その中にまばらにだが人だかりが出来ている一角が。
輪の中では道端に腰掛けた少女がギターを手に歌を歌っている。
歌の内容はこの王国の黄金時代を振り返った歌。
吟遊詩人の歌特有の多少の脚色を織り交ぜた歌だが、少女の澄んだ声から歌われるそれは通りかかる人の脚を思わず止めてしまう程には人気があるようで。
少女が足元に置いている小皿には時折、金が放り込まれる。
丁度いい依頼が見当たらなく、かつ金に困っている時に少女がいつもしているアルバイト。
歌う内容はその時の場所や少女の気分、または聴衆のリクエストによりまちまち。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にレスターさんが現れました。
■レスター > 仕事帰りにふと通りかかった大通り。
煙草を銜えながら、さて、今夜の寝床はどうしようかな。
なんて考えながら歩いていた。
雑多な、その思考が、ふ――と止まる。
耳にしたのは――そう、天使の歌声とでも喩えようか。
思わず、足を止めて、そちらの方へ視線を向ける。
無駄に高い身長がこんなときは幸いした。
ささやかな人集りの背後から演者を見ることは適っただろう。
■アマンダ > 聴衆の輪の後ろに背の高い男性の姿が増える。
一際背の高い男性の視線に気付いた少女は演奏をしながらだが、一瞬だけ視線を向ける。
やがて、少女の手が止まる。 演奏を終えたのだ。
「皆、今日はありがとう。 さて、次はどんな曲がいいかな?」
少女は楽しそうに笑みを浮かべたまま聴衆に視線を巡らす。
と、先ほど目があった長身の男性に顔を向ける。
「お兄さんは、どんな曲がお好みですか? 一生懸命頑張るので、よかったら聞いていって下さいね。」
初めて見る顔。 いろんなお客さんと会えるこの仕事で最も楽しい瞬間だ。
■レスター > 曲に奪われる意識の中で、一瞬、触れた視線。
蒼い瞳と黄昏色のそれが交差すれば
黄昏のそれが少し微笑ったのに、彼女が気付いたかどうか。
ただ、単純に素晴らしい奏者に賛辞を送るような笑み。
そして、曲が終わる。ぽろり、と男の口元から零れたのは煙草の灰。
消すのも、吸うのも忘れていたのにそこで漸く気付いた。
――やれやれ。オレとしたことが。
それにしても、天使と魔族のハーフとは珍しいね。
そんな言葉を胸中でだけ浮かべて、僅かに苦笑をひとつ。
吐息を吐き出したところでかけられる声。
「オレかい?じゃ、そうだな。
ここにおられるカップルの皆様のために明るい恋の歌、なんてお願いできるかな?」
問われる言葉に、そんなリクエスト。
同時に黒革の手袋に包まれた左手が、ピンと小銭をひとつ小皿へと指先で飛ばす。
リクエストの代金。狙い違わずに、更に落ちて澄んだ音を奏でるだろう。
■アマンダ > 演奏中だったので目立った反応も返せなかったが、
笑みを浮かべてくれたのはきちんと見えていた。
この人は楽しんでいってくれそう。
そう思って声をかけた。
「わかったよ。 じゃあ、楽しんでいってね。」
男の胸中で己のことが見透かされている等とは露知らず。
少女はリクエストとコインを貰うと笑みを浮かべてからギターを奏でる。
曲の内容は貧しい暮らしをしている娘が王子様と出会い、幸せな結婚生活を迎える話。
終始楽しい話で構成されるその歌は聴衆を楽しませるにはもってこいだろう。
少女は演奏をしながら、リクエストをくれた男性の方に目を向ける。
ちゃんと楽しんでくれてるだろうか気になった為。
■レスター > 「よろしく。
さあ、周りの皆さんも。王都一の歌姫の演奏だよ。」
なんて、多少の煽りを周囲に響かせる。
娘の声とは違って低い声だが、愉しげに周囲を誘う。
そして、はじまる歌。
よくある物語だ。けれど、それも彼女が紡げばご覧の通り。
愉しげに聴く聴衆とは半歩だけ離れて、ゆるく腕を組みながら彼女の歌に耳を傾ける。
そこで向けられる蒼い瞳。それを受ければ、黄昏は淡く微笑を浮かべて頷く。
声を出して、素晴らしい歌声に水を差すような無粋はしないけれども。
満足しているという表情は伝わるだろうか。
そして、歌が終われば、誰よりも先に大きく拍手をしてやるのだろう。
素晴らしい音楽には歓声で、素晴らしい演奏には拍手で応えるのが礼儀。
それくらいは弁えているが故に。
■アマンダ > 「王都一は大げさだよ。 僕よりもっと旨くて綺麗な人はいくらでもいるんだから。」
男の煽りに緩く笑みを浮かべながら首を横に振る。
今日の客層はカップルが多かった。
酔ってテンションの高くなっている聴衆にはこの歌はぴったりだった。
演奏の最中も酔った聴衆からコインが投げ込まれる。
長身の男性は演奏が始まると静かに聴いていた。
だが、視線があった時に向けられた表情から楽しんでくれている判断し少女も気分が更に良くなり、声に弾みがつく。
「ありがとう。 またここに来るからその時も時間があれば聞いて言ってね。」
演奏が終わり、拍手で迎えられる中少女は立ち上がり深々と頭を下げる。
聴衆が去っていくと、腰の小さなにギターと金の詰まった皿を入れる。
どうみても入らない大きさの袋に何故か入っていくと、その袋を腰へとぶら下げる。
「聴いてくれてありがとう。 お兄さんは初めてのお客さんだよね?
良いリクエストしてくれて良かったよ。」
道具をしまい終えると、長身の男性の元へと歩み寄る。
自分よりもはるかに背の高い男性の顔を下から見上げ、にっこりと笑みを浮かべる。
■レスター > 彼女の言葉には、軽く片手を上げて悪戯に笑うだけにしておこう。
“煽りなんてものは、少々大げさなくらいが良いんだよ?お嬢ちゃん”
なんて声が、言葉にしなくても伝わったかどうか。
あとは、演奏に集中する時間。
投げられるコインの音をアクセントに、娘の演奏を楽しもう。
時折触れ合う視線に返すのは終始、微笑。
――そうして、演奏が終わる。
自分ももうひとつコインを投げ入れて。
あとは彼女の後始末が終わるまでは、他の聴衆に混じって拍手を送っておこう。
途上で見た不思議な袋には、軽く目を瞬かせるのだけれども。
そして、聴衆も去り始めた頃、煙草を一本取り出して火をつける。
此方に来る娘には、軽く笑声をひとつ響かせてから。
「どういたしまして。
こっちこそ、こんな良い演奏を聞いたのは多分80年振り位だ。
ということで、挨拶が遅れたけど、オレはレスター。
良ければ、名前を教えてくれるかな?天使で魔族なお嬢ちゃん?」
花が咲くように笑う彼女。返すのは少し悪戯で冗談めかした色合いの言葉。
見上げる彼女にあわせるように、少し姿勢を低くして、視線を触れさせておこう。
彼女はどう思ってるか知らないが、このまま別れるのは些か勿体無い。そう思うから。
■アマンダ > 悪戯な笑みを見せられると困ったように眉を下げていた。
絶対、この人楽しんでいる。 そうとでも言いたげに。
演奏を終えた時に投げられるコインの量はいつもよりも多かった。
少女は重くなっている皿に驚くと、皆に再度頭を下げた。
「お兄さんはさっきから褒め過ぎだよ。 僕何てたまにお小遣い稼ぎでやってるだけだよ。
でも、今日はお兄さんのおかげでいつもより多かったかも。」
とはいえ、褒められるのはやはり嬉しいらしく両手を顔の前に合わせ満面の笑みを浮かべている。
「あれ、よく分かったね。 僕はアマンダ。 宜しくね。」
己の種族を言い当てられると目をパチクリさせる。
が、直ぐに笑みを浮かべて相手の顔を眺めている。
相手が顔の位置を下げてくれると、そちらに目線を合わせて。
「レスターは、仕事の帰り?」
少女も相手に興味を持ったようだ。
問いかけながら相手のことを眺めている。
途中、左腕の魔力に気付くと視線がそちらに集中する。
■レスター > 「良いじゃないか。実際上手かったんだから。
それに、王都に来てから最初に聞いた歌なんだから。
オレにとっては王都一の歌姫。ほーら、嘘は吐いてない。」
なんて、軽く巫山戯たような言葉を返す。
そして、稼ぎが多かった、というのには、うん、と頷いて返して。
「オレのお陰ってことはないだろ。
まあ、でも稼げたのなら何より何より。
それで貧乏なお兄さんに何か奢ってくれるならますます何よりだ。」
なんて図々しい言葉をひとつ添えておこう。
それから、軽く煙草を銜えて、紫煙を吸って吐き出す。
勿論、娘に当たらないように顔を背けておいて。
「ああ。なんとなく、な。
こう見えても見た目よりは長生きしてるんでね。
色々見てきたけど、珍しいね。お嬢ちゃん――いや、アマンダ」
気安い口調。悪意の無い笑みを向ければ、彼女が気になっているだろう左手を
「よろしく。」と添えて突き出す。まるで握手を求めるような仕草に重ねて
「そうそう。今夜はどこで寝ようかな?
なんて考えながら歩いてたら、お前さんとこうして知り合った、って感じかな。」
彼女の質問への答え。
もし、左手の握手に応えれば、強い魔力を感じるだろう。
もっとも、それで何かをするつもりはまだないのだけれども。