2016/04/10 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」に暁燕さんが現れました。
■暁燕 > 陽の落ちた頃の富裕地区、とあるナイトクラブにて
薄朱の狐が一人、テーブルにつきグラスを傾けている
表向きは踊り子が踊りを披露する社交場、
その実、高級娼婦や貴族御用達の店であることは明白だった
「(チラホラと、扉の向こうへ消えては戻らない連中がいるネ)」
おそらく地下への階段がその先にいるのだろう
下で何が行われているかといえば、想像に易い
耳や尻尾が目を引くためか視線をもらうが、にっこりと笑みを浮かべて返す
流石にこの場に居る、というだけでミレー族に間違われはしないらしい
もっとも入店の時は流石に止められ、札束をチラつかせる必要はあったが
「(さて…雑多なオトコには用も興味もないヨ。狙いは上流貴族…それも王城との関わりが深いヤツが良いネ)」
■暁燕 > 手っ取り早く麻薬をバラ撒くには、この国の実験を握っているであろう貴族連中とのパイプを作ることである
そういう意味においても、金払いにおいても、世間知らずの度合いにおいても貴族というのは格好の獲物なのだ
「(その為には、しっかり見定めないと。役立たずを掴んでも意味がないものネ)」
身なりや、こういった場所への慣れ方
女や店員への態度、それらを観察し、判断をしなければならない
何人も何人も薬漬けにしてしまうと、後が続かない
有力者さえ掴めれば、あとは瞬く間に国が薬に蝕まれてゆく
壊れ、堕落し、狂ってゆく、民が、全てが、国が
特に政治的な理由もなく、それらを眺めるのがひたすらに愉しいから、やるのだ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にヘンリエッタさんが現れました。
■暁燕 > 「(…手始めに、この店まるごと1つくらいはズブズブの薬漬けにしちゃってもいいかもしれないネ)」
それはそれで楽しそうだと、口の端を歪める
店一つの汚染程度ならすぐには気づかれないものである
足元にある蜘蛛の巣を踏んでも人が気づかないように
やがて巨大な巣を発見するまでは、蜘蛛の存在を察知できない
クスっと笑みを浮かべて、グラスを呷った
■ヘンリエッタ > ミレーに似た姿の彼女が気にしていた地下の階段。
そこからコツコツと足音を立てて上がってくると、警備に立ち塞がっていた男が振り返る。
足を止め、男と少しばかり言葉をかわすと、そのままカウンター席の方へと向かっていった。
地下の様子は彼女が想像していたような状態だったが、この娘が呼びだされたのは、玩具のメンテナンスの為である。
随分と金の振る舞いがいい話だと思って引き受けたものの、玩具にされて虚ろになる少女達に使う壊れない程度の薬に、治療と、本来なら関わりたくもないことばかり。
(「早く…契約期間が終わるのを待つしかない、ですね」)
深い溜息を零し、それでも契約の間は仕事を全うしようと心に決める。
自分が見捨てたら、彼女達はもっと劣悪な環境で身を滅ぼすまで弄ばれる。
早死させるのが良いのか、それとも少しでも楽にして生き長らえさせるほうが良いのかと考え込みながらバーテンダーにノンアルコールのカクテルをオーダーする。
酒を飲んでる振りでもしないと、妙に絡めることがあるのでただのフェイクである。
■暁燕 > 「ン……」
目ざとく、この階層に現れた彼女を見つける
見たところ娼婦といった感じはしないが、この店の事情には通じているかもしれない
とはいえ普通の飲み客が来る店にも思えない
「(気になるネ)」
席を立ち、グラスを持ってしゃなりとした人目を惹く歩き方──恐らく自然的に身についたもの──でカウンターへと向かう
コトン、と小さな音を立て、ヘンリエッタの隣にグラスを置いて
「お嬢サン。お隣宜しい?」
にっこりと微笑み、気軽にそう声をかける
近くで見るとまだ成人もしていない娘に見える
当たりでも、ハズレでも、美味しいなと狐は内心思ったのだった
■ヘンリエッタ > バーテンダーからは、そろそろ酒を入れて飲めと文句を言われるも、ごめんなさいと一言だけ謝るだけ。
呆れた様子で差し出されたノンアルコールのカクテルを受け取ると、カクテルグラスをゆっくりと傾けて味わっていく。
「……」
コツリとグラスを置くと、視野の片隅に写った彼女に気付く。
あまり見慣れぬドレス姿にミレー族のような耳と尻尾、可愛らしい感じもあるけれど、どちらかと言えば綺麗な女性といった印象を抱きながら、なんとなく目で追ってしまう。
それがすぐ隣へとやってくると、予想外のことで慌てふためきながら焦げ茶の前髪の下で碧眼が、視線を右に左にと彷徨わせた。
「……! は、い…どう、ぞ…」
ぎこちない口調でゆっくりと返事を返せば、微笑みを直視できずに緩やかに頷いた。
何で隣に来たのだろうかと、やってきた理由が気になりつつも、明らかに落ち着きない様子で座っていた。
■暁燕 > 「それじゃ遠慮なク」
どことなくイントネーションが違う言葉から、王国の人間でないことが伝わるかもしれない
ともあれ快く(?)承諾を得た狐は少女の隣の席へと優雅に掛ける
「ワタシ、この店は初めて来たのだけド…貴女くらいの年齢の女性が来る場所ではない気がしてネ。
少し気になって声をかけたのヨ。
娼婦という風貌にも見えないのに…地下室から上がって来たし…ネ」
カマをかけるでもなく、少女の様子を見るとストレートに質問が投げかけられる
近いせいか、その装いからふわりと甘い香りが漂う
コロンのような、そうではないような…
薬への知識が深ければ極々弱い媚薬の類だとは気付けるかもしれないが
■ヘンリエッタ > 服装と口調がこの辺の人とは違う感じを覚えると、ティルヒアでも見たことがないことから、消去法に北方の人だろうかと思うも、旅行か何かかと思うだけだった。
物腰も落ち着きがあり、きっと北方の貴族や御令嬢といったところかと想像していく。
「どうぞ…。 ぇ、ぁ…そう、ですね…お客さんではない、です。えっと、娼婦さん…でもないです、よ? その…地下で必要な薬、とか…そういうのをお出ししにきているので」
治療とうところは敢えて伏せていくのは、あまり安々と口外していい話でもないからで。
薬だけというなら、変な想像に繋がりはしないだろうと思えば、ゆっくりと躓きながらも言葉を返していく。
明らかに人馴れしてないのもあり、ちらちらと彼女の方を焦げ茶のヴェール越しに確かめながらしゃべっていた。
(「…これ…、でも、まさか…」)
仕事柄色んな薬に手を出すので、知識にあった媚薬によく似た香りだと気付く。
しかし、何故彼女からそれが発せられているのかがわからない。
それこそ、香りの中心にいる彼女はその毒素に一番惑わされているはずなのに…等と考え込みながらも、恐らく似た香りの香水なのだろうと、気づきながらも見逃してしまった。
■暁燕 > 「あァ、なるほどネ。お仕事!」
ぱん、と手を打って納得するようなジェスチャーを取る
「(フゥん、なるほどなるほど…お薬ネ……直接依頼を受けているなラ、腕は確か…この店の事情にも詳しそうネ)」
ほんの一瞬、笑みに口の端が歪む
言葉が切れぎれになっていたり、こちらの様子をちらりちらりと伺う様子を見て、
あまり他人との会話が得意ではないタイプと見る
こういったタイプの人間は、必然的に警戒心も高いはずである
「……そっかァ……それで、地下って何をやっているトコロなノ?」
スッと顔を近づけて問いかける
媚薬がより強く香る
………元々、ついでに遊び相手を探そうというつもりもあった
容姿が淡麗ならば男も良し、そうでなければ適当な娼婦でも"漬けて"しまおうと
故に、文字通りフェロモンの如く希釈した媚薬を撒いていた、罠にかかる蝶を狙って…
毒を精製する時は解毒薬も同時に作るもの
当然自分がそれに囚われないようにという下準備は薬師として徹底していた
■ヘンリエッタ > 自分と違い、明るくテンションの高い様子に緩やかに微笑みながら頷く。
時折、自分に足りない朗らかさが羨ましくも思えて、いいなぁと不器用に受け答えしながらも嬉しそうに笑う。
「ぅぁ…え、えっと…ご、めんなさい…。依頼主さん、に…言っちゃ駄目と…いわれて、ますから…」
秘密にすることも依頼に含まれた大事な要素、顔が近づくと、緑色の双眼が忙しなく四方へ視線をちらし、慌てながらも謝罪を紡ぐ。
同時に強くなる香りがじわじわと体を蝕み始めるのだが、薬に詳しいように見えない彼女から、本当に媚薬が香っているとは相変わらずに信じられずにいた。
(「プラシーボ効果…でしょう、か」)
近づかれて心臓が高鳴り、香りがそれらしさを醸し出す。
体と意識の錯覚かと思えば、少し落ち着かせようと少し身を引いてから席を立つ。
「ごめん…なさい、ちょっと…お手洗い、に…」
心身を落ち着かせようと、一度距離を取ることを選ぶ。
足早にトイレへと向かっていくのだが、それは飲み掛けだったグラスを無防備に晒すことになる。
相手が同じ薬師と知っていればやらないことだが、完全なミスだったかもしれない。
戻るまでの数分になりが起きるかは、窺い知る由はない。
■暁燕 > 「はぁい、お気になさらズ…」
その小柄な背中を見送る
やはりこういう場所自体に不慣れなのだろう、と
残されたグラスを見ながら思う
「マスター、ご相談ネ♡」
───彼女、ヘンリエッタが戻るまでに整った環境は以下の通りである
相応のゴルドを握らされたマスターによる、酒自体への薬の仕込み
彼女に新しく出すグラスへの仕込み
残されたグラスにはあえて触れない
彼女はこの店に薬関係の仕事で訪れている
つまりは薬師か、それに近い知識の持ち主だろう
手洗いへ走ったのも、媚香への違和感を感じ取っている可能性が高い
流石に希釈してある故に確信には至らないだろうが、一抹の不安を抱かせる種になる
不安は恐れになり、警戒へと繋がる…
「(そういうタイプにも見えないケド、念を入れテ……)」
マスターに仕込みを命じたのは全く希釈をしていない媚薬である
麻薬というには程遠いが、人によっては依存性すら現れる、強力なもの
「(毒蛾の鱗粉を吸っちゃったと、諦めてもらおうかしらネ…♡)」
■ヘンリエッタ > (「……これでよし、と。薬師も兼任、してるのに…プラシーボ効果なんて、ちょっとなさけ、ない…な」)
洗面台の前で念の為と精神安定の効果がある薬を嗅ぎ、体に残った熱を落ち着かせていく。
あの香りでプラシーボ効果が起きているにしても、これなら体が錯覚しないはずと、彼女が思っているより同業者らしい防御策を行っていた。
けれど、策略という点でいうなら、間違いなく相手の方に軍配が上がるだろう。
深呼吸をするとケープの裏へ薬を仕舞い、ホールへと戻っていく。
「おまたせ…しました」
何も知らずにカウンター席へと戻ると、腰を下ろし、小さく頭を下げた。
その上で、しどろもどろに地下のことは言えないと改めて説明し、ごめんなさいと謝罪とともにもう一度頭を下げる。
緊張に喉の渇きも進み、何の気なしに残ったカクテルを飲み切ると…どうしようかなと、少し考えていく。
「……同じの、ください」
バーテンダーに同じカクテルを頼めば、再び彼女へと視線を戻していく。
「その…北方の方、でしょうか? ティルヒアでも、見たことがない…格好なので。 ぁ…申し遅れ、ました。 私、ヘンリエッタ、といいます…元々は錬金術士、なのですけど…薬剤師と、医術も少し…仕事で請け負って、ます」
何気ない会話を振りつつ、笑みを浮かべながら自己紹介を。
同業者とこれで知られることになるだろうが、すでに気になることでもないだろう。
同じカクテルが差し出されれば、ありがとうございます とそれを受け取り、無警戒に口をつけてしまったのだから。
■暁燕 > 「おかえりなさぁイ」
手をひらひらと振ってそれに応える
そしてちらりとマスターへ目配せ
マスターも僅かに目を伏せる形でそれに応答する
彼女が飲み切ったカクテル自体には何も細工はされていない
むしろその無策が布石なのだからそれもそうだが
「そうネ…帝国の生まれ、私は薬師の暁燕<シャオイェン>。
あラ、同業者かと思ったら錬金術士…若いのニ、凄いわネ」
素直に感心したような言葉と笑顔を向ける
その間、マスターが作ったカクテルには希釈の一切されていない強力な媚薬
口に入った段階で、全身が揺り動かされるほどの熱を与える……
それを熟練のマスターは違和感なくカクテルとして仕上げる
良い方向か悪い方向かは別として、プロは良い仕事をするものである
「それじゃ、折角だシ、乾杯でもしましょうネ」
くすっと笑いながら、グラスを手にとる
■ヘンリエッタ > マスターと彼女のアイコンタクトに気付くことなく戻ると、やはり北方生まれと聞いて納得した様子で小さく頷いていた。
「シャオ…イェン、さんですね…。薬師さんです、か…。いえ、そんな……戦争、始まる前にやっと…独り立ち、したぐらいです、から」
ふるふるとお褒めの言葉に謙遜して頭を振っていく。
しかし、薬師と聞けばこの香りが何を指し示すかぐらい分かるはずなのに…と思いながらも、グラスを手にした。
「はい、では…乾杯…」
グラスを掲げ、澄んだグラスの音色とともに縁を淡く重ねれば、ぐっとそれを飲み干していく。
同時に胎内に爆発的に込み上がる熱、意識を蝕む欲望の波に目を見開き、グラスをカウンターに崩れるように置くと、体が疼きに震え始めた。
「あ、なた…まさ、か…っ…」
何かを盛られた、それも効果から察するにとてつもなく強い媚薬。
驚きと困惑の視線を向けながらも、片手がケープの中を探る。
調合が難しいことで有名な精神安定剤の液体が詰まった小瓶を取り出すと、震える手でコルクの栓を抜こうとする。
しかし、火照った体が自由に動かず、四苦八苦しているのが見えるだろう。
そもそも…彼女がそれを飲むのを見逃してくれるかも、定かではないが。
■暁燕 > 「いえいえ?若くして錬金術を目指すだけでもネ、凄いことヨ」
褒めの言葉を素直に受け取る、そんな様子がまた可愛らしいといえる
それも含めての、若いという評価であろう
乾杯したグラスを口から離す
…その口は狂喜の笑みに歪み、表情は文字通り雌狐のそれへ
倒れこんだヘンリエッタを見ても
マスターは慌てる様子もない、それが答えであろう
「あッはは、錬金術士ってこんなにバカなのかしらネ?」
罵倒のような言葉を吐きながら、取り出した小瓶ごとヘンリエッタの手を叩き払う
「調度良い暇つぶしの玩具が手に入ったわネ。
ついでにこの店のコトもちゃんと教えてもらわないとかナ」
そう言って再びマスターへと目配せ
マスターが奥に声をかけると大柄な男が二人、ヘンリエッタを抱えようと現れる
■ヘンリエッタ > 褒め言葉も全てフェイクだったのだと、媚薬仕込みのカクテルを飲ませ、嘲笑う彼女を見上げる。
瓶が床に激突し、硝子が砕け散っていく。
彼女の目論見を聞けば、マスターとの掛け合いで店ごとのグルだったと把握していき、熱っぽい吐息を吐きながら近づいてくる大男たちを見やる。
「…最低…です…っ」
床へと転げ落ちるように移動すると、腰に収めた魔法銃を引きぬき、震える照準で男達に、彼女へ、マスターへと目に映る店の者達へ次々と照準を向けながら、逃げようと後ずさる。
ティルヒアで出回っている既成品とは明らかに違う、オーダーメイドの手の込んだ拳銃は疎くとも価値がある品とみえるかもしれない。
四方全てを囲まれたような状態では、唯一の護身武器たる銃も、全てを威嚇するには難しいだろう。
最後の悪足掻きと銃を向け、後ずさる先はまっすぐ出口のドアのほうだ。
■暁燕 > 「貴女、こんな店にノコノコと出入りしているクセに何言ってるノ?」
銃らしきものを向けられれば肩を竦め、その姿を見下ろす
こんな店である
スタッフは荒事が起こった時の対応も心得ている
客が拳銃を出したとなれば、即座に周囲のスタッフも急ぐ集い、ヘンリエッタを囲む
「素人がそんなモノちらつかせても店を騒がすだけヨ」
四方を囲まれ、それぞれに照準を向けている様子を見れば、
自分から照準が外れた隙にその手を蹴り上げ、胸ぐらを掴んで引き倒そうとする
■ヘンリエッタ > 「こんな店…って、知っていたら…受けてない、です…っ」
どうにか逃げないと行けない。
家に戻れば他の精神安定剤ぐらいはある、少しでも発作を納めれば、治す薬の調合ぐらいは出来るはずと…頭の片隅で考えながらも後ずさっていく。
魔法銃を覚えたとはいえ、それの練達者という程でもない。
虚を突かれれば、簡単に手を蹴られ、銃が転げ落ちる。
マズイと咄嗟に近づく男を振り払おうとするも、胸ぐらを掴まれてはもはや抗いようもなかった。
「…っは…!?」
背中を強く床へと打ち付けられ、肺の空気が絞り出される。
苦悶の表情で床に沈むと、離せと言わんばかりに平手で男の太腕を叩くも、媚薬が回りきった体にろくな力は入らず、ぺちぺちと乾いた音がするばかり。
何をどうするかも、自由にし放題である。
■暁燕 > 「…というわけで、お店の中で銃を振り乱した危険な客はワタシが取り押さえましたネ。
……この後どうするも好き好き…でよろしいコト?」
クスクスと笑みを浮かべる
黒服にいくらかのチップを渡し、ヘンリエッタを店の個室へと移動させる
先ほど自分が仕事をしたいた場所へ逆戻りである
黒服は乱暴にヘンリエッタをベッドへと放り投げる
「さテ…おかげで見たかったお部屋が見れたヨ。まずはお礼を言おうかしらネ」
出て行く黒服を一瞥し、ベッドの上に視線を向け、のうのうとそんな言葉をかけた
楽しげに、薄朱の尻尾がゆらゆらと揺れる
■ヘンリエッタ > 抱え上げられると、運ばれていくのは地下の個室。
これでは自分が彼女たちの仲間入りになってしまう、ゾッとするようなイメージが浮かぶ中、改めて浮かぶのは彼女達に考えた選択肢。
あっという間に朽ち落ちるか、楽になりながら生き長らえるか。
ベッドに鎮められ、ボスっと体がスプリングの上で跳ねると、見上げた天井は予想通りに居たくない場所だった。
「…それ、なら…ここから、出してくだ…さい」
焦げ茶の前髪が横へと流れ、緑色の丸い瞳が露となる。
出会った頃と違い、憤りに満ちた睨みつけるような視線。
しかし、熱に浮かされて苦しそうに瞼が震えていく。
スカートの下ではショーツがグチャグチャになるほど蜜が溢れ、掻き回したくて仕方ない情欲が体中を蝕んでいた。
これに飲まれたもう理性が崩壊してしまう、今はどうにか個々を出ないとと…と、知恵を振り絞ろうとぼやけた思考を巡らせる。
■暁燕 > 「出してあげるヨ。たっぷり遊んでかラ♡」
尻尾をふりふりしつつ、自分もベッドの上にあがり、ヘンリエッタに身体を擦り付けるようにして覆い被さる
向けられる視線も物ともせず、否、むしろ愉しむような笑みを浮かべる
その身体からは相変わらず甘い媚香が香る
薬に蝕まれた今ではその効果も更に高まるだろう
「……それに、とっても苦しいでしょウ?」
スカートの股間部分に顔を埋め、すんすんと鼻を鳴らすようにしてその羞恥心を煽ってゆく
■ヘンリエッタ > 「…確証が、ない…です…っ」
揺れる尻尾はまるで楽しいと揶揄しているかのように見える。
ベッドの上にやってくる彼女に体を擦り付けられただけで、ゾクゾクっと痺れが体中を駆け抜けていく。
引きつった喘ぎ声が零れそうに鳴るのをグッと唇を抑えてこらえると、媚薬が追い打ちをかける。
吸い込まないようにとそっぽを向いて、せめて香りのうすそうな空間から空気を吸い込み、熱い吐息を吐き出し、小さく振るえていく。
「…っ、やめ…てっ…!」
スカートからは元々淡い香水が仕込まれていたのもあり、ラベンダーの様な香りが少しするだろうが、それに混じって性的な香りも漂ってしまう。
少し足をすりあわせた瞬間、くちゅっと水音が響くほどショーツは水気を帯び、かぁっと赤くなっていく表情を見られないようにとそっぽを向き続けるのだが、結局前髪が崩れて瞳を潤ませながら恥じらうさまが丸見えとなってしまう。
■暁燕 > 「フフ、確証がなくったって、結局貴女はワタシの掌の上……。
少しでもワタシのご機嫌を取る方が懸命ヨ?」
すんすん、と甘蜜の香りを愉しむように鼻をならす
「ホントウはもう切なくて切なくて、ホシクて、シカタないんでショ?
よーくわかってるから、そんなに強がらずに愉しみましょうヨ」
悪魔の囁き
これは薬のせいなのだから、自分のせいではないという逃げ道を用意した罠
甘い誘いの言葉と共に、細長い指がスカートの奥、ショーツの隙間へと滑り込み湿った音を鳴らす
■ヘンリエッタ > 「……っ」
陰裂からあふれる蜜は、独特の香りとなって彼女の鼻に届くだろう。
悪魔のような囁きに、いやいやと頭を振って、あくまでも抵抗を示すものの、彼女の細指がショーツの隙間へと入り込み、蜜がだらりと流れだす。
それだけでも内部は大きな動きとなり、蜜が滴るだけの刺激でビグンッと背中を大きく仰け反らすと、力を失ってベッドへ沈む。
その瞬間、指には僅かにサラサラとした蜜とは異なった液体がかかっていくことになる。
ほんの少し、蜜が流動しただけで絶頂に至ってしまう。
それぐらいに体は疼ききっていた、その一撃だけで理性が砕け落ち、とろんとしたぼやけた碧眼が、じっと彼女を夢見心地に見つめていた。