2016/02/08 のログ
セリア > 「……ちょっと、我慢して……すぐ通り過ぎると思うわ…」

ここの路地は案外、入り組んでいて迷いやすい。
ごろつき連中もそう長居はしないだろうと考えた結果の一言。

探し回っている声、その悪態に呆れるようなため息を吐けば……
震える肩を片手で優しく、撫でるように擦ろうとして。

連中の声が遠ざかっていくのを待ってから、漸く隘路から抜け出そう。
彼女にもそう促しつつ。

リーゼロッテ > 直ぐ通り過ぎるからと言われれば、少しだけ安心して安堵の吐息が溢れる。
賊達も、今夜の獲物と狙っていたためかしぶとく探しまわっていたが…暫くすると彼女の予想通り諦め始めた。
他の女をとっ捕まえたほうがいいと、少女を諦めた声が二人に届く。
八つ当たり気味に木箱を蹴り飛ばす音が聞こえると、びくっと怯えたように体が跳ねてしまう。
それでも震えずにいられたのは、彼女の優しい掌が安心させてくれたからだ。
音が聞こえなくなり、彼女に促されるがまま隘路から抜け出すと、胸元に掌を当ててゆっくりと深呼吸を一つ。
不安で高鳴った心音を沈めながら、改めて彼女を見上げた。

「ありがとうございます、助かりました」

満面の笑みでお礼を紡ぐと、ゆっくりと頭を下げた。
薄茶の髪がふわりと揺れていき、何時ならする甘い香りも先程の激突もあってか薄れている。
顔を上げれば、相変わらずに子供っぽい微笑みで見つめた。

セリア > ここらの警備も、もう少し強化した方が良いかもしれない…とは、隠れながら思うことだった。
まぁ警備強化したところで治安が改善されるかは不明だが。
抜け出した後の、少女の満面の笑みを見て頷いた。肩竦める。

「気にしないで。あぁいう輩は、とにかく隠れたり逃げたり、が吉。相手にするだけ損よ」

自分が隠れたのもその理由からだった。
生憎今日は武器を持っていないし、一々相手にするのも面倒。となれば隠れるがベストな道。

「……で、何故追われてたの?どこかで絡まれたりとか、した?」

リーゼロッテ > 相手にするだけ損といわれれば、確かに…戦ったところとて、得るものはないはず。
尤もな助言にクスクスと微笑みながら、小さく頷いた。
追い掛け回された理由を問われると、表情が少しだけ曇っていく。

「えっと…お仕事で書類を届けに行ってたのですけど、お店から出て、大通りに戻ろうとしたら…あの人達が絡んできたんです」

麓の集落に有る宿、そこで使われる消耗品やらの売買の契約書を渡しに向かった時のこと。
いつもの様にお礼を告げて出た後、夜も遅いしどっかで泊まっていこうなどと言われるが、どう考えても如何わしい結果しか浮かばない。
危うくなったところで逃げ出したて今に至る。
そんな経緯を説明していくと、困ったような苦笑いを浮かべた。

「富裕層の方がいる区域だって聞いてたので、あんな事起きないと思ったんですけど…」

油断したのもそうだが、予想外だった。
やっぱり油断は良くないと、自身に向けたつぶやき。
それから一度辺りを見渡し…彼女を見上げた。

「ところで、お姉さんはここで何を…?」

みたところ、何もなさそうに見える場所。
そんなところにいた彼女の理由が不思議に思えて、興味心から問いかけていった。

セリア > 「………そう。災難だったわね。……怪我はない?」

見た感じ、大丈夫そうではあるが。曇る表情、次ぐ苦笑いに眉を顰めて…。
とはいえ早急に察知して逃げ出せたのは幸いだったろう。

「富裕地区とはいえ、こういう路地だと危険は高いから。十分気をつけてね」
「私? まぁ見回りというか……こう見えても騎士だからね。一応」

武器も鎧も身につけていないが。
恥ずかしそうに頬を掻き、述べる。

リーゼロッテ > 災難だったという言葉に、問題ないというように緩く頭を振った。
彼女が機転を利かせてくれたことで、こうして無事でいられたのだから。

「怪我もないです、本当に助かりました」

派手にズッコけたものの、ゴミ袋がクッション材になったことで怪我は免れた。
富裕地区でも危ないところはあると説明されれば、初めての情報にそうなんだと、納得したように何度か頷いていく。

「見回りのところ、丁度会えて運が良かったです。騎士さん…ですか?」

どことなく気恥ずかしそうな彼女をきょとんと見上げた。
確かに騎士というには、とても軽躁な恰好でちょっと近所に出かける程度の恰好というほうが、しっくりきてしまう。
そのまま暫しまじまじと見上げてしまい、はっとして視線を下ろしていく。

セリア > 「良かった。これから気をつけてね」

そういえばゴミ袋に突っ込んでたな、と気づき、思い出して少し笑う。
この王都に安心できる場所があるかどうかといえば―――人の集まりやすいところだろうか。大通りとか。

「……ん。誰にでも不思議に思われるけどね。どうにも堅苦しい格好ってのが苦手で…」
「一応戦いに行く時とかは、きちっと色々身につけていくのよ」

見上げられれば、ひらひら、と片手を振っていなした。

リーゼロッテ > 気をつけますと微笑みながら頷く。
視線と言葉に隠された意図が気付かれてしまったようで、彼女の説明に何処か照れくさそうに微笑みかえす。

「そ、そうですよね…!」

戦いに行くときは、しっかりと装備を固めるのだと聞けば、常がそうでないこともあるだろうと納得するところで。
自分の意図が読まれてしまったことが、気恥ずしくて赤くなった頬を隠すように俯いた。
とりあえず…路地裏にいるのは危ないのだから、ここから抜けだそうと、改めて突撃してきた方角へ顔を向ける。
薄暗い路地が続き、乱立した建物で入り組んだ道は、遠くを見通せない。
そもそも、必至に逃げまわってきたのだから、どっちへ行けばいいかすら分からなかった。
暫し道を眺め、それからバツ悪そうに困り顔で彼女を見上げる。

「…ごめんなさい、大通りってここからどういけばいいでしょうか?」

セリア > 赤くなり、俯く動作が可愛らしくて微笑ましげに瞳細める。
彼女につられるように、その方角へ目を向ければどこまでも続きそうな薄暗い路地。

問われれば少し悩むように辺りを見渡してみて。

「……えぇと、確かこっちね。ついてきて」

言うとひとつの道を選び、彼女を促しながら歩き始める。

リーゼロッテ > こちらの恥じらいに微笑まれているとは、俯いた状態からは気付かないものの、それでも気恥ずかしいのは落ち着かない。
問いかける時も未だに頬の赤みは引ききらず、ほんのりと桜色に染まっていた。

「はい、お願いします!」

辺りを一瞥し、それから迷うことなくルートを選んだ彼女の返答に安心しつつその後に続く。
やはり見回りをしているというだけあり、こういう瞬間は安心できるものと思いつつ、ちょこちょこと後ろに続いて大通りを目指していく。

セリア > 一応、ここらも何度か見回りを行ってはいるから自信はそれなり。
間違ったとて、見覚えのある方角に行けば良いだけのことだ。

「…そういえば、名前を聞いてなかったわね。私はセリア」

よろしくね、と後ろを振り向きつつ自己紹介。
彼女がついてきているのを確認しながら歩みを進める。

リーゼロッテ > 後に続きながらあたりを見渡しても、まるで見覚えのない世界。
それこそここで彼女と逸れたら、ここから二度と出れそうにないと思えてしまうほど、時折視野に映る星空は狭かった。
ふと、振り返った彼女が名を伝えてくれた。
言われてみれば、まだ名前も伝えてなかったと気づいて、慌てて口を開く。

「セリアさんですね、私はリーゼロッテです、よろしくです」

微笑み、自己紹介を返すと、再び後に続いていく。
大通りへと抜ければ、改めて御礼の言葉とともに頭を下げるだろう。
ひと気の多い、安全な方角へと向かっていき、無事に少女は今宵を終えていく。

セリア > 「リーゼロッテ、ね。ええ、よろしく」

そう言葉を返し、やがて大通りへと抜ける。
お礼にはかぶりを振り、安全な方角へと向かう彼女の背を見送る。

見えなくなった頃に、自分も漸く踵を返し、帰路につく―――

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からセリアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からリーゼロッテさんが去りました。