2015/12/16 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区/往来」にティネさんが現れました。
■ティネ > 陽は沈みかけとあってそう人は多くない富裕地区の往来。
その隅を注意して観察すれば、何かが尺取り虫のように
うぞうぞと動いているのがわかるだろう。
それは子供用の靴下であった。もこもことした冬仕様。
もちろん、風に吹かれてもいないのにひとりでに動く靴下などは存在しない。
小さな妖精であるところのティネが、中に入って動かしているのだ。
「これあったかいな~……」
ぼそっとつぶやく。
寒い日はこうしてどこからか調達した靴下に潜り込むことを
つい最近思いついたのだ。
■ティネ > 時折通りがかる人間の足をぴょいぴょいと跳ねて避ける。
薄暗いこともあって足元の靴下なぞに注目する人間はいないらしい。
そんな風にして移動しながら今日はどこの屋根の下を借りようかを考えていた。
いかにもこもこ靴下だからといって外は寒い。
……しかしこの富裕地区というのは寝泊まりするにはなんだか落ち着かない。
平民地区か貧民地区まで足を運んだほうがいいかもしれない。
「着る毛布~」
そんなことはともあれはしゃいでいた。
毛布ではない。
■ティネ > 「あでーっ……!」
アホなことをやっていたら蹴り飛ばされた。
甲高い悲鳴に幾人かが立ち止まったが、結局は気づかずに通り過ぎていく。
「そりゃ通りでごろごろしてたらあぶないわ……」
うんしょと靴下から脱出して、それを抱えてぱたぱたと飛ぶ。
街路灯まで飛翔し、紐で靴下を括りつけて、再びそこに収まった。
ぶらーんぶらーんと揺れる。
ここなら踏まれたり蹴飛ばされたりする心配もない。
「あ、これ楽しい」
テンション上がってきたらしい。
街路灯に生まれた珍妙なオブジェクトがぶらーんぶらーんとさらに揺れる。