2015/11/18 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 裏路地」にリーシャさんが現れました。
リーシャ > (今夜の少女の仕事は、貴族邸宅からある物を盗み出すことだった。今の戦争の騒乱に乗じて、非道な貴族の財産を盗み出す――危険な分だけ、報酬も高い依頼である。今夜標的になったのは"月の涙"と証される美麗な宝石だった。忍び込み、遭遇した女中はそっと気絶させて、主の居ぬ間に目標物の入った細工箱を懐に入れての帰路である)

「……ん、とりあえず、物は手に入ったけれど、後はこれを届けなきゃね」

(ひっそりと夜闇にまぎれて動く。屋根を飛び越え、塀に乗り、黒いローブに身を隠しながら裏路地へと降り立った。戦争の影響下は分からないが、街はひっそりと静けさに満ちている。さて、追手はいないだろうかと周囲の気配を伺いながら、少女は少しずつ目標地点――富裕地区のクラブを目指す)

リーシャ > 「……だれか、来るみたい?」

(今の所は人の気配がない。このまま行ければよいが――そう思った刹那、僅かに足音が聞こえる。警邏であれば面倒だ。そっと息を潜めると、邸宅の壁に体をつけて身を潜める。夜闇に黒のフードが溶ける。気づかれた時は厄介だが、敏い相手でない限りは大丈夫だろうと踏む。少女は影、あるいは闇と同化して、暗殺者のような面持ちで気配を消す。静寂は痛いほど。さぁ、通りすぎてくれ。そんな面持ちで、神経を研ぎ澄ませていた)

リーシャ > 「……過ぎ去った、かな?」

(足音は通り過ぎていく。その気配に、少女も胸をなでおろした。見つかれば面倒な事はこの上ない。これで、後は届けるだけだ。気分を切り替えて、そっと表通りの方に足を踏みだす。夜気は随分と涼しくなって、風が吹くだけでも体が震えてくる。くしゅん、とくしゃみが漏れるが、今日堪えた寒さ以上の儲けは出る。これで、美味しいものでも食べてやろうか、あるいは――などと皮算用をしながら、人混みの雑踏に紛れ込む)

リーシャ > (こうして、少女はひっそりと人混みに紛れて逃げおおせた。後に月の涙を盗まれた貴族は、多額の報奨金を宝石と窃盗犯にかけたというが、件の少女はといえば顔も見られていないものだから、無駄なあがきを、と眺めていた。実際に証拠がなかったかは定かではない。女中が運良く覚えているか、あるいは他に目撃者が居るか。――ともあれ、今宵だけで判断すれば盗みが大成功だったことは言うまでもない――)
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 裏路地」からリーシャさんが去りました。