2015/10/27 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にイアさんが現れました。
イア > (豪奢な邸宅が立ち並ぶ中、ある邸から少年がふらりと姿を現した。
 その首には鉄の首輪、そこから細い鎖が胸元まで垂れている。
 素足の片方には薄汚れて解けかけた包帯を巻いて。
 右手はシャツの上から腹部を押さえて、僅かに身体を折り痛みを堪えるように。)

……ってー。くそっ、あのジジイ好き放題してくれやがって。

(毒づくのは、一応は現在の所有者である奴隷商に向けて。
 一度逃げた売り物の奴隷である自身へ、今の今まで折檻を受けていた為だ。
 ひょこ、と不自然な足取りで特に行き先を決めないままに歩き出す。)

……はぁ、こんなんで今日売れっかな。

(ただでさえ需要の少ない男娼としての日銭稼ぎにも差し障る鈍痛に、片方の眉だけを器用に歪めて呟いた。)

イア > (富裕地区の邸宅が並ぶ通りは、人より馬車の方がやや多く。
 また、歪んだ性癖の持ち主が多い界隈であるため、普段はこの辺りで客引きなどしないが。
 今日は少々切迫していた。それというのも。
 殴られた後の重く鈍い痛みの他に、鳩尾のあたりがきゅうきゅうと痛むのだ。
 ――空腹で。
 少年は一瞬、眉間に皺を寄せながら眉尻を下げた情けない顔をして。)

腹減ったぁ……
あ、なぁそこのあんた。俺のこと買ってくんない? 安くしとくよ。

(この際、贅沢は言ってられないし、と見境なしに行き交う人に声を掛ける。)

イア > (声を掛けては、素っ気なく断られ。汚いもののように見下され。時には罵声を浴び。
 どれほど経っただろうか。
 やはり少年のように美貌があるでもない男娼に金を出す物好きはいないようで。
 ふらふらと誰のとも知れない邸宅の外塀に凭れるように、細い路地に入った。
 塀に背中を預け、両足を投げ出して座り込む。
 腹部の鈍痛は少しずつ慣れてきたのか、感じなくなったけれど。)

マジ腹減った……やっぱスラム街まで出ねーとダメか。だりぃなぁ……

(空腹と痛みで腹に力が入らない為、立ち上がって歩き出すことは酷く億劫に思えた。
 もうしばらく、休憩と面倒くささを理由に脱力したまま、空を仰ぐ。
 遠い空には雲がゆっくりと流れていて、ぼんやりとそれを眺めた。)