2023/07/23 のログ
ご案内:「九頭龍の水浴び場」にエンさんが現れました。
エン > 朝方。
日中の猛暑も今ばかりは鳴りを潜める時間帯。
鹿威しの音が軽やかに響く涼しげな露天風呂。
只今の時間帯混浴――
立て掛けられた看板へ一瞥もくれず眠たく重たい足取りで、
眠すぎて開かない……訳でもなく閉じられた瞳はそのまま、
衣類を脱いで畳んで籠へと入れてタオルを首にかけてはふらりと浴場へ。

「ふぁ……」

夜更かしが過ぎたかちょくちょく出てくる欠伸。
人気がなく空けた其処へと耳を傾けては、
一つ頷きながら先ずは身体をさっと流す。

「ぁ゛ーーー……」

頭にタオルを乗っけたあとには熱い熱い湯に浸かれば年寄りくさい唸り声。
湯を掬って顔に浴びれば、あ゛ー……何てこれまた唸りながら、
背を縁へと預けて腕も縁へと掛けて足を伸ばした。

「んー。やっぱ……朝はこれだね……」

少々。人によっては大分。
治安は悪くも他の宿にはそうはない朝っぱらから露天風呂。
此れがあるから此処に滞在するのはどうにも止められない。
独り言ちながら、一息を長々と零す。

ご案内:「九頭龍の水浴び場」にタピオカさんが現れました。
タピオカ > 天気の良さと湯けむりで、白い朝だった。
王都からの長旅でほこりまみれの身体を清めるべく、立ち寄った朝の水浴び場。
シェンヤン国からの異文化とおぼしき、竹が岩を打つ奇妙で心地よい音を耳にしながら。褐色肌にバスタオルを胸に巻き付けた姿が露天風呂に現れた。

入り口に立てかけられた看板を目にすると、とん。
軽くその標識に手を置く。
混浴が意味するのは異性同性を問わず湯船の国の友人を作れる時間、という事だ。

入り口付近にある、常に湯が注がれる手桶で軽く全身を流してから。
ぺた、ぺた。小さな軽い歩幅が盲の彼の耳へ届く。

そして、自分の耳に届いた如何にも気持ちよさそうな唸り声に思わず肩を揺らした。
近づきながら。

「あは……!
寝返り打ったグリズリーの声かと思ったよ。
――おはよ、お兄さん!
1人で独占してるとこ悪いけど、お隣。お邪魔しても、いい?」

声をかける。
表情が確認できるぐらい近づいてから、相手の瞳が閉じられたままな事に気づいた。
けれど、特にその事については触れず。
見えていなくとも、にこやかな朝の笑顔を浮かべ。

エン > 鹿威しの軽やかな音。湯が沸き立つ水音。
打たせ湯の流れる音。衝立の向こうの雑音。
音が溢れる中。
看板に手が置かれて看板が小さく揺れた音へと僅かに顔が傾き耳が向いた。

「……」

素足。軽い。足幅。小さい。
……女の子? ……あれ今の時間混浴?
眉根が僅かに寄って首を傾げている間に掛けられる声へ、
盲と解るだろう瞳の伏せた顔を向けては表情解して笑う。

「おはよ、お嬢さん。いや、年取るとどうもにもね? お兄さんて呼んでくれてありがと。是非そのままで。
 ああ、どうぞ、この通り見えてないから安心して入ってくれ」

広い広い風呂とはいえど腕も足も全開であったのを腕を下ろし胡座を組む。
どうぞ、と、分厚い爪と引き締まった筋で構成された掌で湯を示し。
ついでに濡れた指を耳の穴に突っ込んで少し水を入れておく。
以前やらかしたのだが聞こえが良すぎる耳と裸の付き合いは相性悪く、
邪な考えなくとも何から何まで情報拾ってしまって非常に気不味かった。
その対策に少し聞こえを悪くしつつ……

「入浴だけかな? 確か、泊まりの客には居なかったと思うが……。
 今日ここを寝床にするならお兄さんの隣か近くにするといい。あ、いや、やましい事じゃなくて」

歳若い、と思わしき声の張り。
年若い女の子が寝床にするには少々危ないのでお節介だが、言ってから気付くがナンパみたいだ。
そういう意味じゃなくて、とは、緩りと手を振って。

タピオカ > 「それじゃ、僕からしたら安心だね。
ふふ、でも残念!
今お兄さんに声をかけてるのがどんな子なのか。裸なのかどうか。
お兄さんに見せてあげたいのになー!」

やっぱり盲だったみたい。
返答と、演技ではなさそうな様子にバスタオルを解いた。
身につけていても、裸でいても。彼にとっては同じだから。そういう意味での安心感。
異国の刀剣のように整った顔つき、戦場の経験もありそうな体つき。
なのに人好きのしそうな雰囲気。彼が見えていないのをいいことに、相手の眼の前で軽くステップを踏んで。浅い乳房や小尻を揺すって遊ぶ。楽しげな声。
紳士的な相手が耳孔を軽く塞いだから、それらはどこまで届いたか。

「さっき此処に着いたとこなんだ。急がない旅の途中だから、のんびり泊まっても良いし夕方には出発しても良いって感じ。
でも、お兄さんの勧め通りにするのも面白そうだね。
お隣の部屋にしようかな。
あはっ!……やましい事でも良いんだよ……?」

ここに来たいきさつを説明しながら、ちゃぷ……。
小石が湖に落ちるよな音。湯船につかって、吐息。
きっとうしろめたい気持ちは無いだろうけれど、あえてそれをかきたてるよな悪戯っぽい台詞を向け。

「僕はタピオカ。冒険者で、あちこち旅するのが好き!
親切なお兄さんのお名前、聞かせて?」

不意に語調を戻すと、彼の名前を求めながら。
手空きに、湯船をちゃぷ、とぷ……。揺らして。

エン >  
「ふふふっ。
 可愛らしい子が声掛けてきてくれた事ぐらいは解るよ?」

目は開きやしないが目を見開くみたく、
指を目元にあげるとぐっと広げる仕草。
喉をくつくつと鳴らし肩も揺らして笑気を吹き上げては、
可笑しくって堪らず顔を逸らす様に顔を明後日の方向へ。
バスタオルを解けてピョンピョンと飛び跳ねるものだから、水が入った耳でさえ、
浅くも柔らかい乳や引き締まった小尻が揺れる音が聞こえてしまうから耳も反らしている。

「へえ? 旅の途中で。うん、素敵だねぇ……
 風の向くまま気の向くままって感じは憧れがあるなぁ。
 部屋を取るならあとで手配しておこうか。
 ……やましい意味が良かったら、あとで部屋においで? こいつめ♡」

経緯を聞いてみれば、へえ? 何て、感心したような吐息混じりの相槌を零して。
聞けば聞くほどに高らかでふわりと軽く聞き心地の良い声だ、
歳も十は離れていそうなのに大人の旅人のような生活に頷き。
余計なお節介は引き続きしていたが、悪戯な声音を聞いてみれば、
口を大きく開いて大笑いでもしそうな動作してから……
こつ、と、デコピンですらないが、人差し指を持ち上げては額を小突こうとしようか。

「よろしく、タピオカ。エン、ユウエンだ。
 見ての通り盲の親切なお兄さんです。元冒険者」

名乗りを請けては謝意に胸元へ手を寄せつつ。自己紹介を返す。
タピオカ。おそらくこの王都の生まれではない響きだがそれはお互い様で、異郷同士の境遇には親近感も湧く。

タピオカ > 「なら良かった。
それこそ、この世で一番大事な事だよ!」

見えない目を見開いて、自分を見てくれる仕草。
サーカスピエロほど大仰に主語を大きくしながら、笑い声は高くなる。

「うん!ずっと橋のたもとに巣食っていたモンスターとか、中身を開けちゃいけない封蝋の配達の依頼をこなしてね。
ひと夏ぐらいは好きに暮らせるぐらいは懐があったまったから。
涼しそうな港湾都市の海辺に行こうと思って。
お部屋の手配よろしく!
――ひゃぁっ、痛いよー♡」

路銀を稼いだ勢いに、避暑地まで旅する。
この水浴び場に来たのも、森林浴のついでになる。
湯船の国の友人が出来たことに嬉しがって弾む声音が、わざとらしく痛がった。
見えていないけど、きっと容易に想像がつきそうに。
両手をおでこに当てて笑いながら身悶え。

「ユウエン!お名前ありがと、親切なお兄さん。
王都じゃなくてその外の国みたいなお名前だね。
僕は馬と高原の国の出身だから、仲良くなれそ。
元冒険者なら、先輩だし!
……さっきのお部屋の話だけど、ユウエンが大丈夫なら。同じ部屋にしよう?
そのほうが安く済むし。
先輩冒険のお話、色々聞きたい!
――……それに。」

単なる湯治客とは思えない、引き締まった体付き。
元冒険者なら、パーティで同室に泊まるのも慣れているはず。
己も同じだし、先輩冒険者の経験譚が自分のこれから先の冒険に役立つ事もあるはず。
話を強請って瞳を輝かせ。
続けて、どこか甘い声音。

「男のひとの1人だと、何かと溜まってしまうでしょう?
僕ならー、お話のお礼に。すっきりもさせてあげられるよ?」

エン > 「ハハハッ! 確かに!
 耳を鍛えておいて良かったよ」

いやいや大袈裟な、と突っ込むどころか髪をくしゃりと撫で付け喉も反らして大きく笑い声。
喉も肩もずうっと揺れっぱなしにこくこくと何度も頷いて見せて。

「ははぁ。腕が立つんじゃないかとは思ったけれど。うん。大したものだ。
 ダイラスのほうは朝方なんかこの時期でも寒い日がある、気を付けてね?」

他の冒険者が梃子摺っていたと思わしきモンスター。封書を任せられるだけの信頼度。
あっさりと言うものだがそれなりの手練でなければ熟せないものだ、
たしかに身体つきは小さいが足音が小さすぎる軽すぎると思ったが……
成る程と得心も行く。
その割に慢心もせず取っ付き易い性格だ、
大袈裟に痛がる仕草はしっかり伝わっていて先程から中々笑みも引っ込まない。

「北の果てさ。遊牧の生まれかな? うん。案外生まれは近いかもよ? 仲良くなれるさ。
 俺は冒険譚とは少し縁が遠い冒険者だけれど、さて。何か参考になれば良いが……そう、さね……」

モンスターの討伐や重要書類を運ぶような冒険者とは少々気色が違うというか結構血腥い経歴。
先輩冒険者からの一言を是非!
と、言われてみても何か役に立てるようなものは少ないが期待に満ちた声には応えたいものだ。
顎に手を添えて考え込んではみたものの。
そこらに電球が閃く前に……
懐っこい声に甘さが含まれ、
ふくっ。
何て含み笑いを零した。

「なら、お話の続きは部屋でしようか?
 おいで。部屋、一緒にしよう」

熱い熱い湯だ。熱さで湯当たりしそうになった、何て赤くもなっていない顔をぱたぱたと仰いで、立ち上がる。
湯から出てくるのは掌にしろ肩にしろそうだが胸板も腹筋も2つや6つに割れて溝も深い、筋肉質な体躯。
おいで? と、タオルを肩に掛けては手を伸ばし。彼女が応じて手を伸ばせば掴んで、手を引こうか。

タピオカ > 【後日継続予定】
ご案内:「九頭龍の水浴び場」からタピオカさんが去りました。
ご案内:「九頭龍の水浴び場」からエンさんが去りました。