2023/07/15 のログ
ご案内:「九頭龍の水浴び場」にエンさんが現れました。
■エン > 夜もとっぷりと更けた旅館内は、湯浴み場、岩盤浴場、遊技場、其処彼処の施設も人気はないか疎ら。
客室が並ぶ宿泊棟の廊下には客室へと連れ込まれた女あるいは男の声が薄っすらと響くものの……
あちらこちらで乱痴気騒ぎや酒池肉林の光景が広がっているのも平時ではないにしろ珍しくはない。
故、比較的静かであるのは、
「珍しいこともあるものだ」
食事処の一角で杯に注いだ酒と氷が、
軽やかに涼しげな音が響くのも稀なこと。
「まあ、だから、飲みに出て来れたのだけれど……」
この時間帯に酒が欲しくなっても取りに来ると喧しいことこの上無い。
瞼がぴったりと閉じられた儘に耳を傾けても、
遠くの方からあられもない声が薄っすら聞こえるだけ。
からからから、とグラスを揺らし酒を揺らしては、
ああそーだ。
なんて思いついては飯処から杯だけでなく瓶を頂いて館内を歩く。
脱衣所へと着けば早速帯を緩めれば館内着の袖を脱いで、浴場へ。
やはり人気のない露天へ酒を片手に深夜の湯浴みと洒落込む事にした。
■エン > 食事処から脱衣所までの道中にも一度も瞼が開かれることはないが足取りは危なげない。
脱衣所から露天風呂への道程にも幾つか段差や迫り出した岩があってもひょいと避ける。
備え付けの椅子に腰掛けて湯を浴びてから、石の灯籠がぼんやりと辺りを照らす有様や庭園といった風情の緑が茂る様も見えているのと同じ様に顔を巡らせて一つ頷き湯に浸かる。只、途中、暖簾を潜る際に『只今の時間帯混浴』と記された注意書きは見逃したが……
「……あれ?」
男湯だったよな?
と、途中で不可思議そうに首を捻ったものの、
確かそうだった。
と、若干怪しげな記憶を拾ってきては頷いて。
お盆を湯に浮かべるとお盆の中にグラスを置いて、一息。
■エン > 幸いにも湯の区分けの勘違いは勘違いで終わった。
湯と酒を一頻り楽しんだあとには欠伸と眠気に従って、
湯冷ましがてらに来た時よりゆったりとした足取りで、
浴場を後にする。
ご案内:「九頭龍の水浴び場」からエンさんが去りました。