2023/06/02 のログ
ご案内:「九頭龍の水浴び場」にロージィさんが現れました。
■ロージィ > 異国情緒を売りにした、宿の地下に設えられた一室。
従業員とは名ばかりの、奴隷を躾けるための部屋も、
此処では異国風を貫かれているらしかった。
あるいはそれも、この躾に参加するであろう客人への、
もてなしの形であるのかも知れないが―――――
片隅に置かれた異国風の灯火だけが、仄暗く照らし出す畳敷きの部屋。
天井から真紅に染められた縄で吊るされた、一人の女が躾の対象である。
真紅の襦袢一枚を纏い、両腕を後ろ手に、高手小手縛り、と呼ばれる形に固められ、
乳房を強調するように、膨らみの上下に掛けられた縄で吊るされている、
女はぐったりと俯いて、眠っているのか、気絶しているのか。
室内に満ちる甘ったるい香りは、女のもって生まれた香りではなく。
部屋の片隅で焚かれている、怪しげな香木がもたらすものだった。
今宵、宿を訪れる客、そして従業員たちには、ある情報が回っている。
この部屋で、今宵、新人従業員の躾を行っている。
手が空いている者、興味のある者は、躾を手伝って欲しい―――――と。
がらんとして殺風景な部屋だけれど、もしも誰かが来訪し、その意思を示せば、
必要な道具は全て、素早く揃えられるだろう。
今宵、許されていないのは、女をころしてしまうこと、逃がしてしまうことだけ。
それ以外なら何をしても、宿が秘密を守ってくれる、と、そういう約束が出来ているのだった。
■ロージィ > 夜がしらじらと明ける頃、部屋から女の姿は消えている。
残るのは微かな残り香のみで、その部屋で起こった彼是を知る者も無く。
躾と称して吊るされていた女のその後も、誰も、知る者は無かったという―――――。
ご案内:「九頭龍の水浴び場」からロージィさんが去りました。