2023/05/23 のログ
ご案内:「九頭龍の水浴び場」にエヴィータさんが現れました。
エヴィータ >  
今日こそは絶対休みにしてやる、もう絶対絶対、仕事はしないんだ。

―――――そう声高に主張した己の眼前に、上司が差し出したのは、この宿の優待券、とやらだった。
ゆっくり骨休めをしてくると良い、などと笑顔で宣う上司の顔は怪しげで、
そもそも色々と噂の絶えない宿でもあるし、はじめは警戒したのだが。
王都に居ながらにして、遠い異国情緒を味わえるらしい、とか、
王族ですらお忍びで逗留することもあるらしいぞ、とか、

―――――そんなわけで、温泉である。

露天風呂というらしい、ゴツゴツとした岩でできた湯船に、乳白色の滑らかな湯、
立ちのぼる湯気はほのかに甘い、不思議な香りを漂わせて。
からだを清め、洗い髪を軽く結いあげて湯船に浸かって、ものの数秒もすれば、
己のなかにあった疑心も何も、跡形も無く溶け切っていた。
ゆったりと四肢を伸ばし、湯船の縁へ背中を預けて仰のき、ほう、と深く息を吐く。
誰に教わったわけでもないのに、ごくごく、自然に。

「あぁ、極楽、極楽―――――……」

そんな言葉が口をついていた。
騙されているとしても、これ自体が罠の一環だとしても、
今はもう、何も考えまい。
もともとあまり深く、ものを考える質ではないので、つまりは通常運転だった。

エヴィータ >  
「ふ、ぁあ……… 気持ちい、これ、最高ぉ………♡」

つるつる、すべすべ、我ながら惚れ惚れするような手触り。
ゆっくりたっぷり浸かったあと、肩やら二の腕やらを撫でてみて、
仕上がりの素晴らしさに目を細める。

「せっかくだからぁ、マッサージ? とか、頼んでみようかなぁ。
 あ、それともナイトキャップ……それもいいなぁ、
 全部、あのクソ上司もちなんだもんね♡」

にんまり、火照った頬を緩ませながら、湯船から上がり。
いずれにしても部屋に戻って寛ぐため、露天風呂を後にした―――――。

ご案内:「九頭龍の水浴び場」からエヴィータさんが去りました。