2023/04/17 のログ
ガウム > 手で軽く湯水を救い顔を洗う。
湯が循環し、新しい温泉が常にある状態の中に薄めた血液と泥が混ざり、流れていく。
再度一つため息を漏らして夜空を見上げる。

「・・・。」

ふと思い出す故郷のこと。
昔は森に住む熊も討伐できず、毒花に苦しみ、傷を負い続けていた幼少期。
今では村で期待を持たれる存在、ある種英雄のような扱いを受ける存在となっていた。
この人間達が住む世界にやってきたのも、はるか昔、村が誕生するきっかけとなった魔族と人間との戦争。
不慮の事故により行われた共同生活故の絆、その結束を再度復帰させるためにここにやってきたのだ。

「…上手クハ、行カナイ、ナ…。」

森にやってくる盗賊や山賊、裏切り行為や自身へ殺意を向ける存在。
そういった者たちに対して、自分が住んでいた村のルールで裁くようにしていた。
悪事を行う者、即ち「ザイニン」である。
男は殺し、女は犯して孕ませて絶命しては食う、それが村の掟であった。
そういった行動をしてしまったが故に、一部では賞金首、討伐対象として取り上げられていたのだ。

「…ハァ、ドウシヨウ…。」

腕を組みながら真面目に考える。
このままでは人と魔族、人魔の共存は難しい。
首をひねり、唸りながらも湯の中で悩み続けるのだ。

ご案内:「九頭龍の水浴び場」からガウムさんが去りました。