2022/08/19 のログ
ご案内:「九頭龍の水浴び場」にシシィさんが現れました。
シシィ > ちゃぷ、と湯の揺れる小さな音。
流れるより大きな音によってそれらは描きい消されてしまうほどの小さなそれだった。

湯気に白くけぶる地下の大浴場にて、その片隅で身を清め、湯に身を沈める一人分の影。

王国民の肌とは違う、褐色色の肌を湯に沈めて、心地よさそうに吐息を漏らすさまはずいぶんとこの温泉といったものに慣れているようにも見えるだろう。

出身はともかく、商人としての経験を積んできたのがこの王国であれば当然のことと言えるが、それをあえて喧伝することもない。

商用で暫し離れていた分、泊まるには少々値を張るが、湯を利用するだけならそれなりに気楽な価格の旅籠に足を向けたくなったのだった。

「─────」

じわりと染み入る熱に感じ入るように目を伏せて。
あとはただ、溢れんばかりの湯が流れてゆく音に耳を傾けていた。