2021/06/08 のログ
ご案内:「九頭龍の水浴び場」にウォーターホースさんが現れました。
■ウォーターホース > 真夜中。澄みきった奇麗な冷たい水。草木に覆われた、湖のような場所。どこかから灯りがこぼれて水面を照らし。
水のうえへぷかりと浮いて。漂う。桃色で丈の長いワンピースは濡れて重さを増し、水上で裾が広がり、髪と一緒に揺らめいて。
ワンピースの裾を広げ、その下へ潜めていた右手を引き抜いて、水がこぼれる音立てて持ち上げ顔の隣へ翳し。
濡れて水が滴る指さきを見詰める眼。仄かに色がのり、緩く眇めて。無感動なほどに、表情が薄く。
指先に乗る粘ついた、水とは異なる透明な液体が、水を纏い、指を広げる動きにあわせ。蜘蛛の糸のように細く指の隙間で戯れ、しろい灯りを透過して輝いた。
「―――… ばか。」
小さくアルトの声が落ちて、有耶無耶に霧散してかき消える。
自分に向けたものなのか、誰かに向けたものなのか、主語の抜けた呟きは明確にせず。
仄かな熱を纏う頬と体の芯。反対に、体の表面は冷えきって、水の温度と同化してゆく。冷たい水が、心地よさを齎す代わりに、情熱を奪ってゆく。頭の中心は多数の感情が入り乱れて熱いが、心はどこかさめている。
■ウォーターホース > 草木の隙間に見える夜空を仰いで。
やがて、浮いていた頭部と肩を沈め、そのまま、水の深い場所へと潜ってゆき。
ご案内:「九頭龍の水浴び場」からウォーターホースさんが去りました。