2021/01/24 のログ
■イグナス > ――考えても、いまいち思いつかない。まあいいかと頭を振った。
「ンー…だが、まァ、ちと贅沢すぎンなこれ。」
ぐびりと酒を喉にまた通した。
ひとりで味わうには、この空気感はもったいない。
酔うわけではないが、心地の良い感覚。
あァ、なにか、おもしろい酒の肴でも転がっていりゃあいいンだが。
「…そう、都合よかねェか。」
なんて独り言で笑い、肩を竦めた。
ちゃぽん、湯がはねて、湯気が揺れる。
■イグナス > そう、面白いことも簡単に転がってない。
仕方なしと、もうしばらくだけ酒を楽しんで、出ていくのだった――
ご案内:「九頭龍の水浴び場」からイグナスさんが去りました。
ご案内:「九頭龍の水浴び場」にシシィさんが現れました。
■シシィ > 都にある温泉宿の、浴場の一つ。
けぶる湯気の中、地下浴場に身を沈めるシルエットは女性らしい稜線を描く。
腰に届く銀の髪は緩くまとめ上げ、項を晒し、蜜色の肌に湯滴を滑らせながら、こもる熱気はわずかに息苦しさも感じるが、それ故に体が暖められる。
「は───」
ほっとしたように吐息が零れ、ゆるゆる身を沈めてゆけば、ジン、と痺れるような熱が爪先から上肢へと広がってゆく。心地よさと、浮遊感に少しだけ落ち着かなさそうにしながらも徐々に寛いだ表情を浮かべて、ゆっくりと足を延ばす。
湯けむりの中、故に周囲に人がいるかどうかは判別しづらいが、ひとまずは己ひとりのようでもある、というのが寛ぐ理由の一つにもなった。
■シシィ > 間接照明めいた仄かな明かりは、そこが地下だということを演出しているせいか、それゆえの雰囲気を楽しむように視線を巡らせる。
立ち上る湯気の風情が、視界を塞いで、すべての境界を朧にするようでもあった。
浴槽に身を沈めたまま、そうした様子を楽しむように、時折身じろぐ。
ちゃぷ、と揺れる湯の音は思いもかけず広がり、木霊のように響くのもまた心地が良かった。
「────」
言葉はなく、ただ目を伏せる。
染みるように広がってくれる熱の心地よさに身を委ねて。
浅黒い肌に淡く朱が昇り、湯を浴びて、蜜のような艶を帯びるのは少し新鮮でもあった。
湯の中から腕を差し伸べ、すこし重たげに湯が肌の上を滑り、流れてゆくのを面白がるように二の腕を撫で、小さく音を響かせる。
温泉の湯を引いている、という謳い文句の通りに、ただ水を沸かしたものとは違う感触や、熱の蟠り方に、何度目か、呼気を揺らした。
「ん……あまりつかり過ぎると、熱気にやられそうで……」
ゆらゆらと揺らぐ思考と心地よさに溶けそうになる感情の狭間をゆきつかえりつする呟きは、そんな情動すらを楽しんでいた。
ご案内:「九頭龍の水浴び場」に黒須さんが現れました。
■黒須 > (金貸し屋の仕事にギルドの依頼と同時に行えば、かなりの疲労感に襲われる。
体力はある方ではあったが、やはり休息は必要であり、今日はそのためにここにやってきたのだった。)
「軽く人浴びして、スッキリすっか…。」
(服を脱ぎ、腰にタオルを巻きながら中へと入る。
湯気のせいで誰も居ないと思い、本来の姿である耳と尻尾を出しながらの姿で入って来た。
体を洗い、湯船に浸かろうとすると、鼻を少し動かしたことによって人の匂いを感じた。)
「ん…?
…おっと?まさか、先客が居たとわな…。」
(匂いは女の物であるのは察しており、湯船に近づけばすでに浸かっていた人が居たのを見つけた。
動揺する様子も見せず、いつもの通りと言わんばかりに普通に自分も入っていこうとする。)
■シシィ > ───暫し、一人きりの入浴を楽しんでいたのだが、ここは宿屋で、大浴場である以上は独り占めというわけにもいかないらしい。
響く水音、湯気の向こうで揺らぐ影、に氷色の双眸を露にする。
ゆらゆらと揺れるシルエットは、人、というには少々歪。それを認めて、けれど湯から上がるでもなく眺めていた。
聴こえるひとりごとめいた声音と、そして向こうも特に気にした様子もなく浴槽へと足を踏み入れるのに、軽く目礼で応じ、女は湯から覗く己の肩に湯をかける
知りあい、というわけでもないし、何よりくつろぎに訪れているのなら声をかけるのも躊躇われた。
故に己もまた、また湯を楽しむために視線を伏せる。
響く湯の音が増えて、広がりを見せるのに耳を傾けた。
■黒須 > 「んぅ…はぁ…。」
(肩まで浸かれば息を漏らす。
気持ちよさそうに内側にあった息が漏れる。
こちらもくつろぎに来た人間である為、これを求めていたのはあった。)
「・・・。」
(並ぶように湯に浸かるも横目で少女を見る。
小柄だが、体つきは中々のものであった、故に興味を持った)
「嬢ちゃん…中々いい宿を見つけたみたいだな?
ここは…どうやって知ったんだ?」
(何気ない雑談として一言声を掛けた。
自分もたまたま見つけた宿であり、きっかけは同であれ聞くことにした)
■シシィ > 「お嬢、ちゃん……?」
問いかけに意外そうに視線を揺らす。
大浴場の大きな浴槽で、傍らで湯に身を沈める相手に面白がるような眼差しを向けた。
たしかに己は小柄かもしれないが、既に年齢はそう呼ばれるにはふさわしくはない年齢だということも承知はしていて、だからこそ、少し困ったようにも眉尻を下げた。
「嬉しがらせは想い人に取っておかれるのがよろしいかとおもいますよ、見知らぬ方」
ちゃぷ、と湯を滑らせながら、頬にかかる己の髪を払い、唇の端に笑みを浮かべたまま謝辞を告げる。
それから、問いかけにはこれは異なことを、といった表情に転じつつも、唇を開く。
「九頭竜山の源泉から湯を引いた、都でも評判の旅籠だと伺っております。利用は幾度か…ですが。独特の外観で目立ちますし──謳い文句に間違いはないと存じておりますよ?」
湯に入りに来るだけだったり、この宿に直接部屋を取ったり、利用はその時々で変わりますが、と穏やかに返した。
■黒須 > 「ん?なんだ?まさか、「嬢ちゃん呼びはやめてくださいまし」とでも言うのか?」
(上品そうな雰囲気を読み取り、それっぽく冗談ぽく言った。
その口も少しばかり小ばかにいしているかのような薄ら笑いであった。)
「俺はそんな人を作るつもりもねぇし、別に…言葉なんざ、減るもんじゃねぇだろ。」
(めんどくさそうにしながらも長い後ろ髪を掻く。
まるで獣のような風格のある黒い髪をボリボリと。)
「ほぅ、そうかい…。
嬢ちゃんもこの宿については、それなりの情報を得ているってことか…。」
(関心するかのような物言いを言いつつも、少しづつ近づいてくる。
湯を揺らす余波が少女に向けて小さな波となり、当たってくるのがよくわかるだろう。)
■シシィ > 「いえ、己のことを指しているのか否か、よくわかりませんでしたから」
見た限り、この場にいるのは二人だけでしたので己のことかと思ったくらいでして、と眉尻をわずかに下げたままの表情で応じる。
此方を侮っているようにも見える表情に表立って態度も表情も変えることはないが───困ったような風情は少し増したかもしれず。
「効果的に使われたほうがよろしいかと、ただの老婆心ですので、おきになさらず」
湿度に濡れて、艶を増した黒髪をかきやる仕草をどちらかといえば無感動な眼差しで見やり、それから、少し熱のこもった息をつく。
───すこし長湯した模様、と砂漠育ちの女は己の状態を判じた。温泉の湯は、まだまだ慣れたとは言い難いものだから。
「───ごく一般的な知識は備えていると思いますが、おっしゃる意味がよくわかりませんね」
たぷ、と湯の面が揺れる。距離を詰めている理由は測りかねるが、詰められる分をするりと空けた。
「少々湯あたりしたようですので、お先に。そちらもお湯を楽しんでくださいませ」
サプリと湯を立てる様にして立ち上がる。女性らしい曲線を描く体をするりと手にした洗い布で覆い隠せば、浴槽から身を引き上げて、柔らかな言葉を残して女は湯煙の向こうに立ち去っていった
ご案内:「九頭龍の水浴び場」からシシィさんが去りました。
ご案内:「九頭龍の水浴び場」から黒須さんが去りました。
ご案内:「九頭龍の水浴び場」にヴァレリー=D=ツインテイルさんが現れました。
■ヴァレリー=D=ツインテイル > 「……ふむ」
九頭龍の水浴び場は、大浴場が有名であるが。
単純な宿としての評価も、決して低くは無い。
そんな宿の休憩スペースにて。一人の女が、のんびりとイスに座っていた。
「この、ユカタという服……。
着てみると、なかなか。いいものですわね」
初めて着る浴衣に、最初は戸惑っていたものの。
少し時間がたてば慣れたのか。
むしろ、ずいぶんと気楽でいい服だ、という感想すら抱いていた。
「……そろそろお風呂に行くのもいいでしょうが。
その前に食事、というのも捨てがたいですわねぇ」
すっかり宿にも慣れ。むしろ家よりもくつろげるかもしれない、などと考えている貴族令嬢。
宿の食事もなかなかに美味しいので、そちらを食べに行ってもいいかもしれないし。
あるいは、先に入浴を済ませて、さっぱりするのも魅力的。
どうしたものかしら、などと。
女は、贅沢な悩みに首をかしげている。
■ヴァレリー=D=ツインテイル > 「……よし。先に食事にしましょう」
行動を決めた女は、立ち上がり。
一度、部屋に戻ることにする。
宴会場での食事もいいのだが。
せっかくの宿だから、静かに食を楽しむのもいいだろう。
そう考えながら、足取りは軽く……。
ご案内:「九頭龍の水浴び場」からヴァレリー=D=ツインテイルさんが去りました。