2020/12/23 のログ
ご案内:「九頭龍の水浴び場 混浴の浴場」にアストールさんが現れました。
■アストール > 街の中にいても、大分昼間でも冷え込むようになってきた季節である。
宿屋や酒場が並ぶ通りでも、外で騒いでいる人々は少なく。
客引きの声も大分静まり返っているのは、皆暖かい室内で夜の時間を楽しんでいるからだろう。
外の人気が少ないせいか、室内から聞こえてくる喧騒は暖かな季節よりも、より大きくにぎやかになっているのは気のせいではないかもしれず。
暖かな湯を売りにしている、この温泉宿も例外ではないようだ。
「んー…本当にここはいい施設よねぇ」
夜が深まっても、人々が行き交う受付を抜け。
大浴場の入り口すら抜けて、少し通路を進んだ先にある中規模の浴場。
大浴場よりも、幅広い人に解放されている浴場は、中規模といってもそこは十分立派なものであったようだ。
人々が大浴場で楽しんでいる中、女はその中規模の浴場へと足を運び。
そそくさと着替えを空いている籠に入れて、棚にしまい込んでしまえば、早速湯舟を堪能することにしたのだろう。
かけ湯もそこそこに、軽く体を奇麗にすれば、早速手近な岩風呂風の浴槽へと、足を沈めていくことにしたようだ。
「温泉は…いろんな場所に作られても、良いものよね」
当然、人の施設に来ているのだから、人の姿をとっているようである。
何かあれば、幻術によってまた魔族としての楽しみにこっそりと、興じるつもりはあるのだろうが。
足先から腰、そして肩まで沈み込ませれば、体中に広がる暖かさに、思わず少々力の抜けきった表情を浮かべ。
心地よさそうな様子で、そんなことを女はこぼしていくのであるが。
美味しそうな獲物がいれば、つい視線をそんなくつろいでいるときでも向けてしまうのは、悪魔は悪魔というところかもしれない。
■アストール > 「ふぅ…」
もう少し早い時間なら誰かしら、少数とはいえ他のお客はいたかもしれない。
けれども、この寒空の中、夜も更けに更けたタイミングで来るものがいるかといえば、やはり少々それは珍しいかもしれない。
基本的に目当てにされる大浴場ではなく、誰しもが入ってもいい。
というほどに間口の広い、中規模浴場なのだから、それはなおさらだろうか。
本性をあらわにして、ゆっくりしてもいいかもしれない。
そんな思いが女に巡り始めれば、あたりを一つ見回すように視線を滑らせ。
頭に乗せたタオルの位置を直しつつ、女はお湯で顔を軽く拭っていくが。
「バレたら…面倒かしら」
町中の温泉に、入れないように警戒されたら面倒なのも確かなのだろう。
いくらでも幻術でごまかせそうなのは事実かもしれないが。
折角の心地よいと思える施設なのだ。
岩風呂の壁に背をもたれかからせ。
おおよそ悪魔らしくないゆったりと、緩めた表情のままに浸み込む湯をまだ楽しんでいくようだが。
■アストール > 「まだ食事処って空いてたかしら…」
良くも悪くものんびりと入浴は続いたようである。
流石に悪魔とてずっと入っていて、のぼせないということはないのだろう。
一休みするように、淵に腰を掛けて女は少しの間火照った体を、涼しめていたが。
やがて、ゆっくりと立ち上がると、そのまま湯を切って脱衣所へと戻っていったようである。
そのあとは、直ぐに街へと出ていくことはなく。
少しの間施設を散策していったのだろうが。
ご案内:「九頭龍の水浴び場 混浴の浴場」からアストールさんが去りました。