2020/09/05 のログ
ご案内:「九頭龍の水浴び場」にダソさんが現れました。
ダソ > ぺたぺたと裸足で、浴場の濡れた床を歩む音が水浴び場に響く。

ここ数日で、ひっそりと浴場のお湯や水たまりに溶け込んで潜み、
ヒトの形と、ヒトの仕草と、言葉と…ヒトを観察してきたスライム体の少年が、ちょうど来客が途絶えたタイミングで人間の姿を模倣して変身し、「歩く」という基本動作を真似てみて。

「ウンしょっ…! ええと、コウ、こうだよネ。」

右足、左足を交互に動かし、手を振って反動をつけ、
言葉の練習も兼ねたひとりごとを繰り返しながら、無人の浴場をぐるぐるとめぐる。

「ふふ、あるくノ、おもしろい…っ!はしってみよ…ぅあっ!」

べちょ。

調子に乗って走り回ろうとすると、ずるりと水たまりに足を取られて尻もちをつく。

「ふぎゃ! …うう、すべる、ころんじゃッタ。」

…なるほど、オトナのヒトの【おかあさん】が、子供のヒトの【むすこやむすめ】に、
お風呂ではしるな…と叱っていたのはこういうことかと、
以前にこの浴場で見かけた親子連れのやりとりから、また一つ学んで。

対して痛みは感じていないが、お尻をさすさす撫でながら湯けむりのなか、
色んな種類の温泉や洗い場を興味深そうに見て回る。

ダソ > やがて、浴場の着替え部屋からは人の気配が多数。
団体の客と思しきそれらに、スライムの肉体は変身を解いて液状へと戻り、
再び人間観察のために水たまりと一体となって、人々を見守ろうと潜み始める。

ご案内:「九頭龍の水浴び場」からダソさんが去りました。