2020/08/21 のログ
ご案内:「九頭龍の水浴び場」にリーリアさんが現れました。
リーリア > ――広い露天風呂、外はまだ暗く無い時間に少女がやって来る。
と言っても…温泉を楽しみに来た人間・・・では無いようで。

「うー…なんでこんな事に…」

誰の元でもなく、自由に生きてる妖精。住処があるわけでもなく転々としてる。それゆえ水浴びが出来る場所はこういう場所しかない。
別にそれ自体は良かったのだが、1つ問題が起きてた。

――衣類が無い、タオルも無い。

風に飛ばされたのか、それとも何者かに持って行かれたのか、はたまた野生の動物に…なんて考えても仕方がない、とりあえず此処でお風呂に入ったりしながら時間が過ぎるのを待っていた。

「タオルも無いし…うー、どうしよう」

人が来ても困る、かといって来なくても困ると言う状態に悩まされていた。

リーリア > ――結局夜になるのを待って…暗がりで誰にも見つからないようにこっそりと抜け出し…どこへ行くかもわからないままこそこそと隠れながら外に歩き出していってしまった
ご案内:「九頭龍の水浴び場」からリーリアさんが去りました。
ご案内:「九頭龍の水浴び場」にタン・フィールさんが現れました。
ご案内:「九頭龍の水浴び場」にタン・フィールさんが現れました。
タン・フィール > この湯浴み場の一角には、天然温泉の成分や薬効の全く無い純水でできた浴槽がひとつ。

『その無色透明な湯を薬湯にしてくれ』という水浴び場の管理者の依頼で訪れた薬師の少年は、
一番風呂を報酬に快くその仕事を引き受けて…花を練り、薬を煎じ、香草を干して砕いて、
色とりどりの絵の具めいた薬湯の素を生成し、それを両手に塗り込んで、手を合わせて閉じ…

「さって…うまくいくかな…? っと!」

裸の姿でお湯に浸かり、透明な湯の中で両手をそっと開けば、
小さな手のひらから七色の雲が温泉に溶け出すように、
柑橘類とハーブのような清々しい香りが立ち込めていくなか、
七色の靄が少年を中心に温泉に広がっていく、ある種の幻想的な光景。

「わっ…!きれい… ふふ、大成功!」

と、両の掌から湯船に溶け出していく虹色を、手繰るように、広げるように手のひらを舞わせて拡散させながら、
うっとりとした表情と高揚した声ではしゃぎまわる。

タン・フィール > 「んー!いいにおい…!ふふ、温泉もさらさらなだけじゃなくって、ちょっとトロってしてて、キモチよくなったかも!」

と、薄い葛湯のようにトロみがついた質となった温泉の心地も、
少年にとっては実に心地よい。
手のひらでお湯をひとすくいして湯面に落とせば、ちゃぷり、とぷり、と
上質になったお湯の音まで心地よく、虹色に濁ったその湯は
視覚・触覚・嗅覚・聴覚を楽しませ、
仮に口に含んでみても、葛根湯のように薄く甘い風味のする代物。

もちろん、はしゃぎまわった子供の遊び疲れから、
傷ついた兵士、日夜の仕事に疲れた大人、老若男女の疾病や疾患にも一定の効果を発揮する薬師特製の薬湯となって。

その出来栄えを一番風呂として楽しみながら入浴する。
あえていうならば、ともにこの喜びを分かち合えるお客様第一号が現れないことが、
本人も自覚しないほどうっすらと寂しさを漂わせていた。

タン・フィール > やがて、真珠のように色とりどりの色を反射する濁り湯となったその温泉をひととおり楽しんだのち、のぼせつつその場を後にして。
ご案内:「九頭龍の水浴び場」からタン・フィールさんが去りました。