2020/08/10 のログ
ご案内:「九頭龍の水浴び場」にタン・フィールさんが現れました。
■タン・フィール > この湯浴み場の一角には、天然温泉の成分や薬効の全く無い純水でできた浴槽がひとつ。
『その無色透明な湯を薬湯にしてくれ』という水浴び場の管理者の依頼で訪れた薬師の少年は、
一番風呂を報酬に快くその仕事を引き受けて…花を練り、薬を煎じ、香草を干して砕いて、
色とりどりの絵の具めいた薬湯の素を生成し、それを両手に塗り込んで、手を合わせて閉じ…
「さって…うまくいくかな…? っと!」
裸の姿でお湯に浸かり、透明な湯の中で両手をそっと開けば、
小さな手のひらから七色の雲が温泉に溶け出すように、
柑橘類とハーブのような清々しい香りが立ち込めていくなか、
七色の靄が少年を中心に温泉に広がっていく、ある種の幻想的な光景。
「わっ…!きれい… ふふ、大成功!」
と、両の掌から湯船に溶け出していく虹色を、手繰るように、広げるように手のひらを舞わせて拡散させながら、
うっとりとした表情と高揚した声ではしゃぎまわる。
■タン・フィール > やがて、真珠のように色とりどりの色を反射する濁り湯となったその温泉をひととおり楽しんだのち、のぼせつつその場を後にして。
ご案内:「九頭龍の水浴び場」からタン・フィールさんが去りました。