2020/07/17 のログ
ご案内:「九頭龍の水浴び場」にタン・フィールさんが現れました。
タン・フィール > この湯浴み場の一角には、天然温泉の成分や薬効の全く無い純水でできた浴槽がひとつ。

『その無色透明な湯を薬湯にしてくれ』という水浴び場の管理者の依頼で訪れた薬師の少年は、
一番風呂を報酬に快くその仕事を引き受けて…花を練り、薬を煎じ、香草を干して砕いて、
色とりどりの絵の具めいた薬湯の素を生成し、それを両手に塗り込んで、手を合わせて閉じ…

「さって…うまくいくかな…? っと!」

裸の姿でお湯に浸かり、透明な湯の中で両手をそっと開けば、
小さな手のひらから七色の雲が温泉に溶け出すように、
柑橘類とハーブのような清々しい香りが立ち込めていくなか、
七色の靄が少年を中心に温泉に広がっていく、ある種の幻想的な光景。

「わっ…!きれい… ふふ、大成功!」

と、両の掌から湯船に溶け出していく虹色を、手繰るように、広げるように手のひらを舞わせて拡散させながら、
うっとりとした表情と高揚した声ではしゃぎまわる。