2020/06/29 のログ
ご案内:「九頭龍の水浴び場」にタン・フィールさんが現れました。
タン・フィール > 大浴場から十数歩ほど歩んだ先に設置されている、清め湯やシャワー、石鹸や化粧水などが並ぶ洗い場。

暖かなシャワーを浴びながらアーモンドほどの大きさの、琥珀色の宝石のような石鹸を取り出した少年は、
こしゅこしゅと掌でそれをこすりあげる。
またたく間に小さな手のひらからは、もこもこと白く質量感のある泡がたちこめてきて…。

「おおーっ! っふふ、特製の薬用石鹸、だいせいこう!
これくらいちっちゃくって、泡立ちが良ければ…冒険者のヒトも旅の途中、便利だよねー。」

少ない量と水で、身体や食器や衣類を清潔に保てる石鹸を作っていた少年。
その固形量に対する泡の生成量や、殺菌成分、美肌成分、泡の質感の心地よさにうっとりして、
ふわふわと掌に泡を乗せ、少女のように華奢な身体の、胸元やお尻や髪の上にぺたぺたと泡をはりつけて遊ぶ、

「―――あっ、ひつじ! ひつじさんみたい!」

洗い場の鏡に映った自分の姿は、胸元に綿あめのような飾り付けの、短いかぼちゃパンツ状のもこもこの白泡に包まれた、
子羊のミレーのような風貌で、子供っぽく泡で自分の身体や髪をいじりまわす、
最近お気に入りの、少年の一人遊び。

タン・フィール > そのままぶつぶつつぶやきながら、浴場を後にして…
ご案内:「九頭龍の水浴び場」からタン・フィールさんが去りました。
ご案内:「九頭龍の水浴び場」にダソさんが現れました。
ダソ > 本格的に賑わう前の、真昼間の大浴場。

夜勤明けの仕事人や、夫が帰る前に身を清めに来た子連れの主婦などが訪れて、
その客足も落ち着き、ひとときの無人となった水浴び場…その、床に広がった水たまりがぷるぷると震えて、
徐々に渦巻きながら一箇所に集まり…肌色のスライムの集合体となって立ち上る。

「とぷっ…っ あれが、にんげん、 にんげんの、カラダ、う~んと…うん、しょ、うん、っしょ…っ」

スライム体は、じっくりと観察した人間の身体を真似るように、
一所懸命に粘液を5体へと伸ばし、頭と、足と、腕とを、
最初はヒトデのようなおおざっぱな不格好さで形取り…
徐々に、徐々に、精度を上げて人の形をつくりだしていく。

ダソ > やがて性別の判明が難しい、起伏の少ない130cmほどの幼体に肉体はできあがる。

始めたてに比べれば大分人間そのままのシルエットに近づいたが、
まだひと目見てスライム体が人の形を真似しているだけとわかる半透明具合で…

(もっと、もっと練習、しないと…)

そのまま、青年体に肉体を引き伸ばしたり、女性体を模したりと、
人の気配が感じない内は、湯煙に紛れて見て覚えた様々な年齢・体格の身体に化けていく。

(う~ん… オトナの人の身体より、まだちっちゃい身体のほうが、楽に変身できるのかも)

ひととおりの年齢層と性別を試した結果、今のところは気軽に化けられる幼年体に身体を固定しようと変形して。
誰かが、自らの在り方や姿を望んでくれれば、もっと変身は楽なのだろうと思案しながら、
やがて変身を終えれば、素肌の子供がぽつん、と浴場に佇む光景。