2020/03/09 のログ
ご案内:「九頭龍の水浴び場」にタン・フィールさんが現れました。
タン・フィール > この湯浴み場の一角には、天然温泉の成分や薬効の全く無い純水でできた浴槽がひとつ。

『その無色透明な湯を薬湯にしてくれ』という水浴び場の管理者の依頼で訪れた薬師の少年は、
一番風呂を報酬に快くその仕事を引き受けて…花を練り、薬を煎じ、香草を干して砕いて、
色とりどりの絵の具めいた薬湯の素を生成し、それを両手に塗り込んで、手を合わせて閉じ…

「さって…うまくいくかな…? っと!」

裸の姿でお湯に浸かり、透明な湯の中で両手をそっと開けば、
小さな手のひらから七色の雲が温泉に溶け出すように、
柑橘類とハーブのような清々しい香りが立ち込めていくなか、
七色の靄が少年を中心に温泉に広がっていく、ある種の幻想的な光景。

タン・フィール > 湯の中を色とりどりの暖かな色彩に変えていくモヤを両手で操りながら、
自分の手の動きに追従してくるその面白さに胸踊らせて、
温泉の中で踊るようにくるくる回ったり、両手を開いたり、閉じたり、ぐるぐると回転させたりして、
並の湯を薬湯へと変化させていくこの過程を楽しむ。

「んー♪…ぽかぽかしてきたし、いい、におい…! 大成功、かなっ!」

香ってくるのは、柑橘類と、強すぎぬハーブの匂い。
効能は、疲労回復に冷え性改善、ケガや病気や産後の回復、
眠気を覚まし、入浴後は安眠を与える回復の湯。

「―――っ、ぅん、元気も出てきたし、心配してた副作用もないし…!」


…薬効にはほんのすこし、精力を増させる回春・媚薬の効能もあるが、それは個人差と信じたい少年薬師。湯の中ではしゃいで、活発化してしまっているのも、その効能の一旦ではあった。

タン・フィール > 「よーし、作り方、忘れないうちにもういくつか、作ってみようっと。」

ぱしゃぱしゃとお湯を掻き分けて進み、岩と木で出来た浴槽の縁側に歩み寄る。
そこには、この薬湯を作るためのちょっとした作業スペースがあって、
様々な薬の素材や、それを捏ねたものが並んでいて…

縁側に上半身だけを乗り出し、下半身はお尻を湯面からのぞかせながら湯に漬ける、
半身浴を楽しみながらご機嫌で薬を調合し、温泉でもご家庭でも楽しめる丸薬にして丸めていく。

「え=っと、こっちは、お酒の匂いとか好きなオトナの人向けかな…
こっちは、ちょっぴりミルクっぽいから、すべすべの赤ちゃんでも入れるかも。」

アドリブで調合しているためか、ひとつひとつの丸薬に妙な個性が出来てしまっていて、
それもまた、少年が多少酔っ払ったように効能の効きすぎる湯に長湯しているからだろう。