2019/11/26 のログ
ご案内:「九頭龍の水浴び場」から刀鬼 紫沙希さんが去りました。
ご案内:「九頭龍の水浴び場」にフィルさんが現れました。
フィル > 昼間も日が降り注がなければ大分肌寒く、夜ともなれば吹き抜ける夜風は、確実に冬の寒さを感じさせていくだろう。
夜になれば昼間より賑わう酒場などが並ぶ通りを、行き交う人々も既に薄着で出歩いている人の方が少ないことが見受けられ。
店外で騒いでいる人の数も、暖かい頃に比べれば大分減っているのは気のせいではないかもしれない。
そんな寒い夜であれば、温泉で有名な旅籠は当然の様に賑わい。
ロビーから様々な浴場へと、足を運ぶ人々が完全に途切れる様子が余りないのは、当然の結果と言えるだろうか。

そんな賑わうロビーを抜けた先に口を開けている、大浴場の湯船の中ではなく。
大浴場より更に進んだ、疎らに人の通りがある廊下に口を開けている、浴場の湯船の中。僅かに乳白色な湯に揺られる様に、人の姿のまま、少年はその暖かさに身を任せていく。

「はぁ…寒い日は格別ですね…」

体を洗っていざ湯船に、と踏み込んだ時に染み渡る暖かさにはもう慣れたようであり。
湯船の壁に軽く背を預けては、頭に乗せたタオルを時折落ちない様に手で乗せ直し。
心地よさげに緩んだ声を解き折り少年は零していく。
何時もの奥の浴場は何やら清掃中で使うこともできず、大浴場も混んでいたために、うろうろしてた所見つけた浴場である。
特に種族や性別のくくりもなく、自由に入れる大浴場より少しだけ小さな浴場であったものの、人気がなく。
静かな脱衣場で少しだけ恐る恐るといった心持で衣服を脱いで、入浴に至ったわけであるが。
湯の温度も丁度良く、少年としては予想以上にいい浴室を見つけたと満足と言った様子のようだ。
時折湯を掌で掬っては、水音を立てる様に湯へと零し落したり。
手で水鉄砲をするように、軽く打ち出しては、肩口まで沈んだまま、だらしなく表情を緩めたまま湯を堪能しているようであるが。

フィル > 「いつか此処の湯船…全部入りきるのもいい様な…」

いくつあるかすらわからない、それほど多種の温泉がある場所である。
それこそ一般開放されている場所だけではなく、黒い噂にもつながる場所まで制覇しようとすれば、出来る出来ないにかかわらずどれほどかかるものか。
軽く眠気すら襲ってくる湯船の心地よさに揺られながら、少年は特に深く考えることもなく、そんなことをポツリと零していく。
湯の波打つ音すら響き渡る静けさの中、そんな小さな呟きでも浴室に反響して響き渡り。
人気のなさを改めて感じさせていくことになるかもしれいだろう。
その内ずっと肩まで沈んでいれば眠気以上に、少しずつ茹り始めても来るのは当然である。
少しだけ火照りすぎた体を涼しませるように、湯船から少年は少し起ち上がる様にしては湯船に腰を掛け。
腰に軽くタオルを頭からおいて広げ。少々細い体を滴っていくお湯を手で軽く切っていき。

「ここまで人がいないなら…少しくらいいいかな…?」

完全に変化を解いて人に見られて騒ぎになっても、面倒なだけではなくお風呂に入れなくなったりする懸念はあるのだ。
それでも、少しは元の姿でリラックスしたい欲求が疼けば、少年は辺りを改めて軽く見回し。
誰もいないことが確認できれば、少しだけ目を細め。
力を循環させるままに、頭の上に隠されていた狼の耳を顕現させ。続いて尾骶に繋がる部分からシュルリと、狼の尻尾をあらわにしていく。
それでも多少なりとも開放感を感じられたのだろう。
尻尾の先で湯に濡れた床を叩くように、パシャパシャと水音を立てる様に揺らしたりとしていくが。
上半身を湯船から出した程度では中々熱が冷めないのは、乳白色の湯は大分保温効果が強いようである。

フィル > 「この位なら…直ぐ隠せるっと…」

耳と尻尾位なら、湯気に隠れて直ぐに戻せば気のせいだと思わせるのも難しくないかもしれない。
そんなどこか能天気な事を考えながらも、流石に完全に元の姿に戻ったら、毛並に下たるお湯などもあり。
簡単に誤魔化し辛いということくらいまでは、少年も考えが廻ったようである。
尻尾で床を叩くのに合わせる様に、時折湯につけている足も水音を立てるように揺らしては、漸く少しずつ冷えていく体に一息零し。
浴場をどこからか少し風が吹き抜けていけば、多少肌寒さを感じながらも、一気に冷やされていく感覚に目を細めて、心地よさそうに耳を少し揺らしたりと少年はしていくが。

「帰りは…此処で何か買ってこうかな…」

流石に湯冷めを危惧したようである。
丁度良いところで再び肩まで湯へとゆっくりと身を沈めていき。
少しだけ体を温め直したところで、お風呂から上がることにしたようである。
ちゃんとタオルを頭に乗せ直し、湯から上がるときは、しっかりと絞ったタオルで軽く体の湯を落としてから、ちゃんと脱衣所へと戻り。
少し脱衣所で涼しんでから帰るつもりにしたようであるが。
何だかんだと温泉以外にもいろいろある場所なのだ。
お風呂上りの軽食だけではなく、朝御飯になりそうなものまでいろいろ見て回っては買ってから帰っていったかもしれないが―

ご案内:「九頭龍の水浴び場」からフィルさんが去りました。
ご案内:「九頭龍の水浴び場」にシュティレさんが現れました。
シュティレ > 私は、ヒトが集まるという温泉の宿にやって来てみました。
血族であるから、流水は無理ですし、汚れなどは領域に喰わせてしまえばいつも清潔なままでいられます。
しかし、ヒトを知る為には、ヒトの娯楽も知らねばなりませんし、私も、お風呂と言うものがどういう物なのか興味があります。
なので、意を決してやって来てみたのです。
流水のないお風呂とか有るのだろうかと思いながら来てみましたが、蒸し風呂、と言うものが有ると知りました。

お湯を温めて、煙のようにして、其れで体を温めるという物であります。
これは良いです、流水に浸かる事無く、お風呂と言うものが体験できるのです。
私は右手にタオルを巻きつけて、その蒸し風呂と言う所に入ることにします。
扉を開けてみれば、むわっとした水蒸気と熱気が部屋の中に立ちこもります。
中央を見ると陶器の壺にたくさんの熱された石があり、其処に水をかけるとじゅわーと、水蒸気が立ち上がるのが見えます。
これで体を温めて、洗うもの、らしいです。
他には誰もいないようなので、私はとりあえず奥の方へと歩き、座ることにします。

シュティレ > 蒸気によって、部屋の中の湿度がとても高く壁などに水滴が見受けられます。
その熱のお陰で私の体がぽかぽかと温かくなるのを感じ、又水蒸気の所為でしょうかそれとも、私の汗でしょうか、判別は突きにくいですが、浮かび上がり、私の肌を擽るように流れて落ちていきます。
成程、と私は思うのです。
なぜヒトが、お風呂と言うものを好むのか、何となくわかった気がします。
全身を包み込む暖かさは、誰かに抱きしめられているような、そんな気もします。
私は流水がダメなので、水蒸気ですが―――お湯であればもっと温かく包み込まれているのでしょう。
この感覚を求めてヒトはお風呂を好むのだと思います。
この時期は特に寒くもありますし、きっと普段よりもその思いが強いのでしょう。
もう一度、私はなるほど、と小さく呟きます。

そのあと、私は私の右手に視線を向けます。
私の醜く焼けただれている右手、治しても、治しても、直ぐに焼けただれてしまう右手。
これを晒しながらお風呂を入るという事を考えると、少し残念です。
お風呂では服は着ていけませんので、隠すことが、タオルしかありません。
なので、お風呂は程々にと言う形にしないとだめでしょうね、とため息が零れました。

シュティレ > 「―――そろそろ、良いでしょうか。」

しばらくの間、ぽかぽかとしている熱を堪能していた私ですが、十分に温まったものだと判断が出来ました。
心地の良い時間だという事が判りましたし、この場所は良い場所だという事も確認できました。
なので、今度は、誰かと一緒に入り、おしゃべりなどが出来ればもっと良いのでしょう―――そう、思いました。
今日は、誰も来なかったので私は一人で入っているだけではありました。
ずっと、お風呂の中に居ても、ヒトは不審がるでしょうから。
今日はこの辺りにしてまた、別の時に来ることにしましょう。

静かに立ち上がれば、私のお尻の下とかも、凄く汗で濡れているのが判りました。
右手で隠したタオルで、顔などを軽く拭いて。
そして、お風呂から出て、私は人目に付かぬところで衣装を具現化。
普段の格好に戻れば、タオルだけをそこに置いて。
私は、お風呂場を後にするのでした。

ご案内:「九頭龍の水浴び場」からシュティレさんが去りました。