2019/10/15 のログ
ご案内:「九頭龍の水浴び場 通路」にフィルさんが現れました。
■フィル > 昼が過ぎて日が傾き、その日がやがて沈んで青空が夜空に変わっても、完全に人の流れが途切れることがない旅籠は今日も賑やかである。
温泉が特に名物なのだから、夜の方が人の流れが活発なのは当然かもしれず。
大分涼しくなってきた昨今であれば、今まで以上に人が賑わっていても可笑しくはない。
客引きもない、そんな賑わっている旅籠へと出入りする人に混ざる様に少年は中へと踏み込み。
賑わっているフロントや、用意された休憩所でくつろいでいる人々へと視線を揺らめかせていくが。
足を止めることなくそのまま受付へと足を運んでいけば、後は好みのままに好きな温泉へと言った所であるが。
「この時間だと…こんなに混んでるんだ」
まだ季節には早いローブを纏いながらも、フードを被ることはない。
何時もより少し早い時間に訪れた少年は、深夜寄り数段賑わっている旅籠の様子に少し驚き。そんな事をぽつりとこぼして足を進めていく。
普段通り向かうのは、深夜でもそれなりに人がいる大浴場ではなく。
少し奥まったところにある、人気の少ない中規模の浴場のようであるが。
これだけ賑わっていると、大浴場以外でも人気のある浴場や施設などが気になるようであり。
真っ直ぐに奥の通路へと向かうことはなく。
人の賑わいの中を少し進み。寄り道気分で、旅籠の中を少し歩きまわってみようとしているようであるが。
■フィル > 「こっちは大浴場と確か…マッサージとかだったかな」
大浴場への通路は人の流れが当然多く、通路自体も広い上に、案内も貼ってあるのだから迷うことはない。
その他には色々リラクゼーションなどといった施設があったはずと思えば、一番人が多く行き交うのは当然かもしれない。
少年が良くいく浴場は、その通路からそれた場所から進んだ先にあり。
元々人が少ない通路の途中にあるのだから、そこそこ広いのに人が少なくゆっくり入れる穴場となっているようである。
それなら、そのほかの通路はと少年は思えば、いつも足を踏み入れたことのない通路へと視線を少年は向けていく。
一応大浴場の方へと視線を一度向けて、通路の先を見て見れば、普通にマッサージ部屋などが大浴場に続く道にあるだけのようであり。
「こっちも…何か施設みたいだけど」
黒い噂もちゃんと存在する旅籠である。
少年でも、多少噂程度には耳にしたことがあるかもしれないが、気にしていなければ噂などそう覚えてもいないのだろう。
以前奥の浴槽へと続く通路の先は、立ち入り禁止の扉があり。それ以上は流石に踏み込まなかったのだ。
立ち入り禁止でもなく、多少人の流れがある通路であれば、そんな変わった物があるとは考えることはなく。
少し興味心のままに少年はその通路へと足を踏み入れて進み始めていくことになるが。
その道を行き交う人々がどこかリラックスというよりは、浮かれているような様子がうかがえることに気づくことはなく。
■フィル > 暫く時折通路を進んでいく人に合わせて、歩きなれない通路を少年は暫く進んでいくが。
温泉施設と言っても、マッサージなどが並ぶ部屋の趣とも違い。浴場などが並んでいる気配もないのである。
流石に少しだけ不安を覚えたのか、鼻を利かせて見たりしてみても、食事などの香りが届くことはなく。
宿の食事やお酒などを嗜むような施設がこの先にあるようではないことは、想像できたのだろう。
少し歩む足を止め、改めてたまに通る人へと視線を揺らめかせていけば、少年はやがて声をかけていき。
「あの、すみません…。
この先って…何の施設があるんですか?」
まずそうな施設であれば、回れ右をして退散すればいい。
特に出入りを制限するような警備や、見張りといったような人は辺りに見られないのだから、そういう心配はなさそうである。
声を掛けた相手がそれに反応して、答えを返してくれれば、少年はそれに対して改めて行動を考えるつもりなのだろう。
もっとも、場所が場所であればそこまで厄介事がありそうなことはない、と思っているようであるが。
ご案内:「九頭龍の水浴び場 通路」にシュンさんが現れました。
■シュン > 「……あれ、迷った……?いやそんな…案内あるし…」
キョロキョロと辺りを見回す少年がもう一人。
浴場でもなければマッサージでもない、食事処では無い場所の辺りになぜいるのかと言うと、完全に人の流れに適当について行ったからだった。
流石に疲れていたとはいえ、案内ぐらい見るべきだったと後悔しつつ、施設の全体図を探して辺りを歩く。
そして、前方から聞こえた自分以外の声に気づいてそっと声をかける。
「……あの、もしかして君も迷った?」
■フィル > 「え…あの、君もって…。
其方も、この先は…知らない感じ、ですか?」
厳つい男性や、妖艶過ぎる女性にはやはり声を掛けるというのは少しだけ勇気がいるようであり。
声を掛けた相手は、自らの様に大人というには些か小さい人影を持つ相手にであった。
もっとも、見た目が必ずしも相手の年齢などを示すものではなく。
答えどころか、相手の少年も迷子仲間、といった様子の答えを返して来れば、少年は少しだけ目を丸くしてしまうことになるが。
「僕の方は迷ったというよりは、少し探検という感じだったんですけど…。
案内見ると、この奥って…普通の浴場とかマッサージとかの場所とかとは違う所に繋がってる…みたいでしたから。」
子供がくる場所ではないのであれば、回れ右で素直に逃げ帰るつもりでいたのである。
一見自分と同じくらいの背丈の人の少年であり、迷子といった様子であれば、自らの此処へ足を運んできた理由を零し。
その通路を先へと視線を向け直せば、幾つか部屋があることを示すように、通路の壁にドアが幾つか見えることを確認していくが。
その先に見えるドアには目を凝らせば、使用中の札が掛けられており。
見える中で一番手前のドアには空室の札が掛けられているのが見えるだろう。
ただ、そうこうしていれば、フワリと甘く誘うような香りが、人より鼻の良い者にはその空室表示のドアから流れてくるのが感じられるかもしれず。
■シュン > 「あー……そうなんだ……。まぁ、僕は汗が流せたら何でもいいんだけど……」
そう言って、少しだけ目を閉じる。
……使用中の扉の奥から僅かに水面の音のようなものが聞こえた。多分、普通の人なら聞こえない程度だろう。
「……えっと、ここ、一応浴槽あるっぽいし、入ってみようかと思ったけど……来る?」
……普通、公共の浴場とはいえ別に人と関わる必要は無い、はずだ。
なのだが、僅かに流れてくる匂いが思考に囁かな狂いをもたらしたらしい。もし良ければと相手を誘った。何故だか、同じ類の仲間のような……そんな感じがしたのかもしれない。
■フィル > 「人気がない浴槽なら…大浴場と別の通路にはあるけど…。
ちょっとここからだと遠いんですよね…」
近い背丈であり、年齢も近そうに見える少年である。
それでも、ある程度丁寧な態度を崩すことがないのは、性質からの事だろう。
汗を流すという言葉に、人が少なく広々使える、良く使っている浴場を思い出すが。
此処からでは遠いこともあれば、少し思案を巡らせようとしたようである。
もっとも、彼が聞こえた水音には気づくことはできなかったようであり。
「ここ、ってことは…あの空室って書いてあるドアの中ですか?
そう、ですね…どうせここまできたのなら…折角ですし…」
同じくらいの年ごろの同性なら気兼ねもなく。
正体も見抜かれていないような様子であれば、一人で戻るよりもゆっくりと話しでもしながら入るのもいいかもしれない。
そう考えれば、少しだけ顎に手を当てて考える様子を見せるものの、直ぐにコクリと頷いて少年は彼へと返事を返していく。
僅かに溢れる香りに、似た香りを感じたことがあるような気もしたようであるが、思い出せることも無く。
少年の方も、彼にどこか人にしては獣っぽさを無意識に感じていれば、一人では心細い通路だったこともあり。
御一緒することにしたようである。
少し進めばたどり着く、空室のドア。
それを開ければ、少々手狭なものの、4人くらいなら入れそうな脱衣所と、脱衣所から更にガラスのドアでしきられた先に、湯気を零す。同じくらいの人数が入れそうな岩風呂がある浴場が、見えるだろうが。
当然溢れる香りはかすかではなく、ちゃんと感じられる濃さをもって脱衣所にも流れており。
そのまま入り込んでいっただろうか―
■シュン > 「はい、折角なので……」
彼の後ろに並んで歩き、ドアの前まで行けば無意識だった匂いも強く感じる。
何の匂いだろうかと考える暇もなく、ドアを開けて入っていった彼の後ろ姿を廊下から覗く。
外で感じていたのはアロマだったようだ。それに浴室もついているのならば、目的はほぼ達成されたに近い。
他人と風呂に入るというのは兄弟が居ない自分にとってはだいぶ珍しい事ではあるが、たまにはそれもいいだろう。むしろ何気ない一期一会を楽しめるかもしれない。
彼の後を追って、中に入っていった……。
ご案内:「九頭龍の水浴び場 通路」からフィルさんが去りました。
ご案内:「九頭龍の水浴び場 通路」からシュンさんが去りました。