2019/03/09 のログ
イグナス > もうしばらくの間お湯を楽しんで、出て行ったとさ――
ご案内:「九頭龍の水浴び場」からイグナスさんが去りました。
ご案内:「九頭龍の水浴び場」にヴィオラさんが現れました。
ヴィオラ > 「まったく、人の世は埃っぽくてかなわん」

女はそう呟くと湯に濡れた二の腕をするりと撫でた。
数百年ぶりの湯浴みの心地よさに自然と切れ長の目が細まり、
ここまでの徒労を忘れたかのように微笑む。

ご案内:「九頭龍の水浴び場」にイーヴィアさんが現れました。
イーヴィア > (山脈での採掘は、中々の成果だった。
普段は自力での確保が難しい鉱石の類が見つかった他
珍しい魔獣の、恐らくは自然に躯と為った後の、爪や骨と言うオマケ付
ただ、おかげで案の定予定の日付は大幅に過ぎて、一泊を強いられて居る訳だが。)

やーれやれ、いつ来ても面白いな此処はよ。

(確か、以前訪れた時と同じ部屋に入った筈だが
また、何か内装だか、風景だかが変わって居る気がする。
ぺたぺたと歩みながら、風呂の方へと向かえば、片手に掴んだ風呂桶で湯を掬い
ざばぁ、と身体に幾度か掛けて、汗と泥を流す。
恐らく部屋の中には、湯煙に紛れてそんな音が、響くだろう)。

ヴィオラ > 女は音の聞こえてきた先を一瞥したのみで、
すぐに興味を失くしたように視線を遠くにやった。
ここは人の世である。誰ぞ訪れることもあるだろう。
一人二人増えたところで狭いと悪態を吐くほどここは狭くもない。

イーヴィア > (岩石と土と、草と油の匂いが洗い流されて行く。
元より褐色の肌は、余計に黒みを増して居た訳だが
多少なりと元の色合いを取り戻して行く。

最後に一度、頭から湯を被っては、心地良さそうに溜息を零してから
湯船の淵を跨ぎ、湯の中へと足を付けて、歩いて行く。)

―――……ん?

(ふと、湯煙の中、一瞬見えた影。
無論ここは個室では無い、誰かが既に居ても何ら不思議では無く
逆に、興味本位で其方へと近付いて行くのは、別に文句を言いに行く訳じゃない
単なる一期一会、同席の挨拶と言う奴だ。 酒場で相席する時の其れに等しい。)

―――……よう、誰だか知らないが、邪魔するよ。

ヴィオラ > 「……好きにせよ」

やってきた男をちらりと流し見たのは土の匂いが気になったからで、
邪険にする意図はないのだが、自然と物言いも視線も見下したものになってしまう。
そういえば人間を見るのも久方ぶりではなかったか。
たかが数百年で何が変わるということもなかろうが、確かめてみるのも悪くないと思えた。
湯に浮かんだ自身の胸を隠しもせず、男の体躯を下から上へと眺めやる。

イーヴィア > ―――おっと、そりゃ有難いね。

(――少しだけ、驚いたのは。
無論ここが混浴で在る事は知って居るし、女性が居ると言う事も判って居る、が
それにしても、目の前に姿を現した相手が、妖艶、と表して差支えない雰囲気を漂わせて居たからだ。
物言いに付いては気にも留めなかったが、一寸瞳を瞬かせ
其れから、思い出した様に、元の暢気な笑みを戻して応えるだろう。

鍛え上げられた、筋肉質な体躯は、鍛冶仕事と採掘に従事するが故のモノ
或いは相手が何某かの嗅覚に鋭ければ、炎と、土の気配に加え
厳密な「人間」と言う種では無いと言う事が知れるだろう、が。)

アンタも、此処に泊まってるのかい?
生憎、さっき着いたばかりで他の客と会うのは初めてでね。

(同時――相手が、其の裸身を隠そうともして居ないのと同様に
此方もまた、其の裸身をまるで隠しもしていない。
相手が、其処に何かを感じるのかまでは判らない、が。
湯の中を歩き、湯船の中、突き出したオブジェの如き丸岩の傍へと座り込めば
女と正面向き合う形となるだろうか。)

ヴィオラ > 「わらわも似たようなものだ。
 ここには初めて訪れたが……フフ、中々悪くないな」

横目に男の体躯を眺めながら、内心で呟いた評をそのまま口にする。
どうも匂いからして人間からは少し外れているようだが、
その鍛え上げられた体は彫刻のようで、眺めるには丁度良かった。

「おぬしはどこから来た。
 どうもただの人間とは違うようだが――」

イーヴィア > へぇ、そうかい? 俺もこっちに来る時は大体此処でね。
安いトコは他にも在るが、ここいらじゃあ寛ぐのには一番さ。

(悪くない、の評を、この宿に対する物だと勘違いしては
個人的にもひいきの場所だと、同意して見せる。
湯の中、大きく一度身体を伸ばしては岩へと背を凭れさせながら
目の前の、其れこそ目の保養、と言う意味では格別な女を眺めつつに。)

―――……へぇ、判る類なのか、アンタ。
なぁに、王都で鍛冶屋をやってるもんさ、アンタの言う通り、人間じゃない。
厳密にゃ違うんだが、ドワーフって言った方が通りが良いんで、そう言う事にしてる。

(――僅かに、片眉を跳ね上げたのは、己が人間で無い事を言い当てられたからだ。
とは言え、この国において、人間に極近しく、文化の中に根差して居る種は広義で人間とも呼ばれる
そういう意味では人間で在り、自分はそう言う類だと、特段隠す事も無ければ答えよう

王都、と、告げながら指した方角は、大凡西の方角で)

ヴィオラ > 「ドワーフか。わらわの知るあやつらはもっと背が低かったが。
 まあ、おぬしがそう言うのなら、そうなのだろう」

湯船の縁にゆったりと頬杖を突きながら、指した方を一瞥する。
さりとて王都に興味があるわけでもない。これから訪れる場所でもあるのだ。
この湯を離れて彷徨うことになるかと思うと、自然と溜息がこぼれた。

「……鍛冶屋か。覚えておこう。いずれ訪れることもあろう」

口にしはしてみたが、己が鍛冶屋で包丁を買い求めるところを想像して片眉が跳ねた。

イーヴィア > はは、ソイツは良く言われる。 まぁ、厳密には違うって事さ。
王都で一番煙突の高い鍛冶屋だ、もし見かけたら、是非寄ってくれっと嬉しいね。

(アンタみたいな美人なら歓迎だ、と、笑いながら告げては。
――溜息を零す姿に、僅か、首を傾げて見せ。)

……そういや、そう言うアンタは旅人か何かかい?
俺は其処まで鼻は効かなくてね、鉱石や植物なら判るんだが…。
生憎見てわかるのは、アンタが良い女って位だ。

(種族や、相手の魔力を鋭敏に感じ取れると言う訳では無い。
在る程度、の感は働けど、飽く迄それは知識による物だ
そういう意味では、目の前の女は全く見当もつかなかった)。

ヴィオラ > 「寄るのはかまわんが包丁は買わぬぞ」

まあ、王都で一番の煙突を見に行くというのも悪くはないか、と。
まるで観光客のようだが、血眼になって何かを探し回るよりはずっとよい。
観光……観光か、先ほどの妄想と合わさってか、口元に自嘲めいた妙な笑みが浮かぶ。

「……ああ、旅人だ。見たままで間違いない」

後者については機嫌良く目を細めるに留めた。

イーヴィア > ……? おう、別に包丁以外も売ってるしな。
刀剣からナイフ、防具から日用品まで何でも御座れだ。
旅人だってなら、道中に必要な物も有ると思うぜ。

(――なぜ包丁なのか、と、思わず首を傾げたが。
相手の内心は知らぬままに、ちゃっかりと営業だけはこなして置くだろう
逆に言えば、其処で堂々と勧められる程度には自信が在ると言う事だ。)

……そうかい、いや、物憂げな表情の美人ってのも悪かないが
困ってる事が在るんなら、ちょいとでも話は聞いても良いと思ってな。

(――ほんの少しだけ、茶化す様な物言いでは在る、が。
何か困っている、と感じたのは、実際勘のような物だ。
少しだけ、間を置いてから、其れまで背を預けて居た岩から身体を離し
湯船の中、女の傍へと近付いて行こう。 其の正面より、覗き込むみたいに。)

……まぁ、別に御人好しって訳でも無いけれど、な。
気になっちまう性分なのさ、つい、な。

ヴィオラ > 「ほう、手広くやっているのだな。
 ナイフの一つでもあれば格好がつくか……」

いつもの風体ではとても旅人とは見られまい。
顎に指をやりながらそう思い至っては、ふと近づく男の顔に気付いた。
己はそこまで物憂げな顔をしていただろうか――していたのだろうな。

「……顔が近いぞ、ドワーフ」

目を細めながらするりと男の顎先を撫で上げて。
ざぱりと湯から立ち上がれば、体を伝う雫と夜風の心地よさに息を吐いた。
裸体を惜しげもなく晒しながらゆっくりと脱衣所へ爪先を向け。

「……湯にのぼせた。
 長話はおぬしの店に訪れた時の楽しみにとっておこう」

イーヴィア > なぁに、鍛冶屋を名乗るからにゃ、一つしか作れないんじゃ話にならんさ。
必要なら、アンタに良さそうなのを鍛っておくよ。

(何せ「ドワーフの鍛冶屋」だ。
其の名前だけで客は期待をする、その期待を裏切る訳には行かないし
何より、鍛冶屋としてのプライドと言う物が在るのだ。
女が、王都へ訪れる事は、己の中では楽しみの一つと為る
一期一会、では在るが、こうやって何かしらの縁が繋がらぬとも限らない
故に――女の指先が、顔を寄せた己が顎先を撫ぜるのなら、双眸細めた後、小さく口元に弧を描き。)

―――そうかい、なら、其の時を楽しみにしてるさ。
アンタがイケるクチなら、酒でも用意して置くよ。

(其の堂々とした風体に、寧ろ感心すら覚える位だ。
脱衣所へと向かう其の背中に、「今度は」と改めて声を掛ければ
――其れこそ、彫刻よりも優美さを感じる其の裸身を、最後まで眺め、愉しませて貰おう。)

――其の時は、是非口説かせて貰うぜ?

(果たして、最後の其の一言は、相手に届いたか、否か)。

ヴィオラ > ぺたり、ぺたり、素足で歩く音の間抜けさにひっそりと笑いながら。
振り返りはせずに呟きだけを残していく。

「フフ……好きにせよ」

女の背は湯気に紛れるように立ち消えて。

ご案内:「九頭龍の水浴び場」からヴィオラさんが去りました。
イーヴィア > (――応えは、帰る。
女の姿が消えるなら、満足そうに口端を吊り上げて。
大きく、また伸びをしては、湯船の淵へと背中を預けた。)

――――……良い出会いは歓迎、だぜ。

(まだ、己は来たばかり。
もう少し愉しませて貰う心算で、湯浴みを続けよう)。

イーヴィア > (――元々己は熱に強い、何せ普段炙られているのは炎なのだ
湯あたり、なんて事は先ずないし、そもそも人間に比べれば頑強な体躯だ
軽く顔に湯を浴びせれば、其の儘肩まで浸かって行く。)

……後は…王都に帰るまで、か…。
まぁ、急ぎじゃないし、店は任せてられるから良いとして…。

(決して短い距離では無い。
歩いて向かう事も可能だが、勿論日数は掛かる
馬車を使うか否か、当面の問題は其の位、か。
旅費としては其れなり、或いは乗合でも入り込めれば安上がりで済むのだが)。

イーヴィア > (そして、しばらくすれば湯を出て行くだろう
元より気ままな一人旅だ、明日の事はまた明日に考えるのも良い
そう決めれば、湯船を出る。 更衣室へと向かい、服に着替えれば
割り当てられた宿に向けて――)。

ご案内:「九頭龍の水浴び場」からイーヴィアさんが去りました。