2018/09/12 のログ
ニア > 「それを信じろという方が難しい話ね…
それに…お酒が好きってわけでもないし」

顔は向けず、目だけ男の方へ向け
彼女は息を吐いた。
それにしても物好きな男だ。
明らかに挙動が不審な自分に対し、ここまで積極的に接触を計ろうなどと…
やはり、自分に気づき首を狙おうとしている賞金稼ぎか何かだろうか?

だが、その答えも自ら明かしてくれるようだ。

「…そう。
…確かに私は貴方の言うように、追われている身よ。
それで、貴族様は私のことを知っているのかしら?」

男の言葉を完全に信じたわけではないが、嘘を言っているようには見えない。
それに貴族なら、自分が探し求めているものの情報を知っているかもしれない。
ここは大人しく、男の晩酌に付き合うべきか…

「いいわ…
一杯だけ、付き合ってあげる」

彼女はタオルを取っ払うと、盆の上に置かれたお猪口に手を付けた

シド > 「酒はコミュニケーションの潤滑油。
 飲めば君の警戒も解けると考えたのみ。
 無理して飲んでほしいとは思ってないよ。」

濡れて絹糸のように水面に広がる銀髪を束ねあげ。
後頭部に纏め上げ留める髪留めを咥えながら低く囁く。
続く科白には肩にかかる纏め上げた銀髪を手で後ろに払いながら微笑み。

「知らんな。これから周知されるかもしれんが。
 貴族といってもマグメールのお膝元に屋敷を貰って治安を守るものもいるし。
 辺境に領地をもらってそこを管理する者もいる。
 …私は後者。命令されたとて、王城関連の問題にはあまりやる気が出ないよ。
 さ、お盆を返して。露天風呂に放置されたままだと怒られるんだよ。この宿の平民様に。」

長い指先を揺らして返却を促す。その細めた葡萄色は微かに瞠って。

「おい。別に無理して飲めとは言ってない。
 話がしたかっただけ…… あまり飲むなよ。東方の酒はかなりキツイぞ。」

取り払った顔を見ても、やはり知った顔ではない。あまり王城には往かぬ身では。
ただ、その酒精を飲む仕草を。筋肉盛り上がる肩肘を岩縁に預けながらじっと見守る。

ニア > 男の紳士のような言葉遣い
この国にもこういうまともな貴族がいたのか。

彼女の頭には自分を道具のように扱った非道な連中の顔が思い浮かぶ。

それに比べ、酒をコミュニケーションと謳う目の前の貴族はとても優しい雰囲気を醸し出している。
でなければ、こんな笑顔を浮かべることはできないだろう。

「それなら良かった。
もし知っていたら、私はこの場で貴方を殺して逃げるか、貴方に殺されるかの二択を選択しなければならなかったわ。
貴族にも、色々いるのね」

彼が本当に後者なのかは解らないが
一先ずは信じることとしよう。

さて…一体どういう風に話を持ち掛けるか。
王族の持っている物など突然聞かれたら流石に不審がるだろうし
ここはさり気なく、会話の中から探っていくか。

「これくらい平気…
別に、弱くない…」

一口。
それだけで酔ってしまいそうなほど、
舌が痺れ、喉に刺激
こういった類の酒は飲んだことがないため、
美味しいという感想は全くでなかった。

「なによこれ、酷い味…
貴方、やっぱり何か盛ったんじゃないかしら?」

シド > 濃い目の酒をどう嗜むか眺めていた葡萄色は意図した緩慢な瞬きに細め。
薄く開いた唇から大きな溜息が溢れる。

「……極端な奴だ。上手く言葉に巻いて逃げるという選択肢は浮かばないのか?
 貴族も指名手配者も、同じ人間だろう。何を言っている。
 ――向いてないんじゃないのか?」

闇家業に……とは言わず、運ばれてこない盆に、楽しむ酒精も無ければ。
不躾にも相手を飲む姿を眺めながら首筋に浮いた汗を手で掬う湯で洗い流していくのみ。

「……清酒だ。エールや葡萄酒よりも上澄みをとった上質な酒。
 私を疑うのは自由だが、造り手に怒られるぞ。そんなことを言えば。」

微苦笑を浮かべながら立ち上がり、長駆の裸体を恥じること無く近づいていく。
そして再び湯に浸かれば盆の上の徳利から、天上に君臨する琥珀を水月と浮かべるほど御猪口いっぱいに注ぎ。
喉仏も露に覗く角度で一気に飲み干し。

「ん…… なにも不純物は入ってない。いい酒じゃないか。お子様には難しいかもな。
 この甘露の如き味わいは。」

咽喉から脳髄まで灼く味わい。葡萄色の眸が若干熱を帯びはするものの、根本意識はきちんと芯を失わずに唇に弓月を引く。

ニア > 「…人間だって同じよ。
1か10か、疑わしければすぐに乱暴に走る。
場合によっては、命だって簡単に踏みにじる…」

酒の辛味に眉をひそめながら感情の籠っていないような声で呟いた。
もちろん先程の言葉は冗談のつもりだが、
この200年、人間とのコミュニケーションは避けてきた彼女だ。
言葉をうまく用いてその場を凌ぐなんて術が、彼女に出来るわけもない。

「お酒は詳しくないの…
いつもはカクテルしか飲まないし、こんな強いお酒
初めて飲んだわよ…」

全部飲み切るころには
彼女の顔は真っ赤に染まり、目も虚ろとなっていた。
別に酒に弱いわけじゃない。
ただ、湯に浸かりながら飲んだせい
自分の中で言い訳はするも、その頭はくらくらと左右に揺れた。

此方へと近づく男の裸体に目を逸らし、
そこに再び座る男から、彼女はまた少しだけ距離を取った。

「お、お子様って…馬鹿にしてる?」

こう見えて200年以上は生きている龍人だ。
お子様扱いされれば腹も立つ。
ただ、酒を嗜む男の美しい姿に怒る気力も失せた。

シド > 「その人間と一括りする悪意が間違っていたとしたら。
 君に乱暴に走ったその手は、どこかで慈愛に満ちて他者に差し伸べられることもある。
 ――と、まぁ、説教は止めだ。いつか、君の常識を覆す人間が現れるといいな。」

さしも人外で何百年も生きてるとは予想できない。
らしくない説法解いた唇を、今一度満たした御猪口で濡らしていく。
が、流石に眼前で深い酩酊に及ぶ姿には流石に眉宇を下げて反省気味。

「カクテルと比べれば別物だな。ゃ、そこまで飲むとは思わなかったし。
 こんなに酔いつぶれるとは予想外だ。失態だな。
 お詫びをしないと。」

距離を取る少女の肩に手を伸ばす。組み伏すでも、力づくでもなく。
柔らかな感触を持って引き寄せるように。
抵抗がないなら、銀髪をその肌に張り付かせながら唇を重ねようと。

ニア > 「理解ができないわ…
私は他者を愛したことも、他者に愛されたこともないしね…
そうね…いつかそんな日が来ることを、私も願ってるわ」

半分諦めたいつかの願い。
親以外の者からまともな愛情を受けたことのない彼女
だからこそ、人間を恨みながらも人間に期待してしまうのだろうか

「詫びって…
んっ…………」

咄嗟のことに反応できず、自然な力によって引き寄せられたその体は
男の胸へ受け止められる。
そして、重なる唇に彼女は目を瞑った。
酔いが回っているせいで抵抗はできない。
身体にも力は入らない。
別に、嫌ではなかったため、彼女はそのまま受け入れることとした。

シド > ――いつか理解できると良いな。
そんな囁きは唇の中に。
想像よりずっと大人しく渡した唇に、舌先は咥内を静かに舐る。
舌腹に残った清酒の苦味を掬い上げ、表と裏を交互に閃かせて啜りあげ。
くちゅり、と弾ける唾液の音が、甘やかに口腔に響く。
熱い唇同士を触れ合わせた柔らかな接触に、快美を与えて酩酊を追いやらんとして。

「ン……。」

細い糸を引きながら唇を離してゆく。
咥内粘膜に張り付いた熱い酒の味わいは消え失せただろうか。
凛、と耳飾りが秘めやかに鳴り響くほど、小首を傾げて。

「どうだ?日本酒の悪酔いは冷めたかな?
 あと、お子様も訂正だ。そんなことを思ってる輩にはこんな真似はしない。
 ――私の名前はシド。君の名前は?」

濡れて張り付く紅い髪をそっと頬から払い除けながら問いかける。

ニア > 「……やっぱ、人間は欲に塗れた汚い生き物ね」

そんな欲に流され、悪い思いも、良い思いも
この国ではたくさん味わってきた。
そしてこの場でこの男と交わるのもまた一興か。

最初の目的を忘れたわけではないが、一先ずは
この男に流されてやろう。

「はぁ…、ん」

引き離された唇
そこから両に伝わる銀の糸。
酒に酔って火照った身体から、酔いは消えたが
もっと別の物によって火照り始めた。

「私の名前は…ニア。ニア・ドラグーン」

頬から手を引く男の目を見つめ自分の名を告げ
身体を男の胸へと預けた。

シド > 言葉に出さぬ女の思慮など知らぬけれども。
吐かれた捨て台詞に小さく吹き出して。

「その汚い生き物のキス一つで甘い声をあげるお前も、同類じゃないのか?
 ニア。君がどんな生き方をしたか知らんが…
 見識が狭いと周りも自分も苦しめるぞ。」

お詫びのつもりで酒を取り払うキスに及んだつもり。
その後のことなど考えていなかったが。
ひたと、身を寄せてゆく女性を野放しにするのは忍びない。
肌に添えた手は、酔いが覚めるどころか火照る様子。

「時間も遅いが…… 場所を変えるか。ニア?」

相手がどう反応するか分からない。
逃げれば追わず。されど追従するなら――
その矮躯を軽々と胸に抱き抱えて、草木生い茂る奥の湯殿へ連れ去ろうとするだろう。

ニア > 「……それに関しては余計なお世話、とだけ言っておく。
私には私の生き方があるもの…」

別に孤独だって構わない
そんな見栄っ張りが口を吐いた。
本当は、誰かから愛されたいと願っていたのだが…
いつから自分はこんなにも頑固になってしまったのだろう。

人間に対する不信感と憎しみが返って自分の首を絞めていることに
彼女は未だ気づいてすらいなかった。

「ええ…任せるわ。
私も今は、休暇中だし…」

もうどうにでもなれとばかりに、投げやりに言い放つ。
本当ならば、このまま旅館に泊まって昼過ぎまで眠るつもりだったのだが…
これも何かの縁と、龍人は男に連れられながら微笑んだ────

ご案内:「九頭龍の水浴び場 露天風呂」からニアさんが去りました。
ご案内:「九頭龍の水浴び場 露天風呂」からシドさんが去りました。
ご案内:「九頭龍の水浴び場」にボブさんが現れました。
ボブ > (結構早い時間に一仕事を終えた褐色肌の男は仕事で掻いた汗を洗い流そうと水浴び場へとやってきて、
最初は屋内の大浴場に浸かろうと思っていたが、一応…と思って覗いた露天風呂が早い時間という事もあって空いていた為、
これ幸いとばかりに露天風呂の湯に浸かっていて)

「はあぁぁ~~~、空が広い…というか高いな。
空の感じも徐々に秋の模様を映し出しているって感じか……、そうなれば冬が来るのも早いって訳だな」

(露天風呂の湯船に浸かり、空を見上げながら、季節の移り変わりに関してボソッと独り言を洩らしていく男)