2018/08/22 のログ
ご案内:「九頭龍の水浴び場 露天風呂」に芙慈子さんが現れました。
芙慈子 > 夜風にさらされた露天風呂にて、薄く華奢な肉体の少女が一人、お湯に浸かっていた。

湯治―――と、いうのだろうか。
戦いに明け暮れる兵士や、生活と好奇心のために駆け巡る冒険者とは違い、負った傷は大したものではなかったが。
身に宿る治癒能力が利かない傷であったが故に、民間療法に頼ることに。
以前宿泊した際には、興味はあったのだが結局部屋に備えつけられた浴室を
利用しており、こうして共用の風呂場を訪れるのは初めてのこと。
様々な色、水質、効能を謳う風呂が点在する光景は、実に面白い。
長湯してしまうのもなるほど、といった具合である。

―――が、見た目には年端のいかない少女であろうと、もう十四。
裸で駆けずり回ってはしゃぐ歳ではなく、一人では相対するものが本当にお湯しかない。

「………ふぁ、……。
 どの程度はいっていれば、傷がなおるのかしら……。
 これなら旅籠のなかを歩き回っていたほうが愉快だわ」

治癒魔法かなにかと勘違いしているような口ぶりで、あくびを噛み殺す。
乳白色のお湯の中で膝を抱え直すと、ちゃぽんと水音が跳ねた。

芙慈子 > 結局一時間はもたず、数十分経つと立ち上がる。
ザッとお湯を振り払うように雫が垂れ、少女の裸身が露わとなった。
白い素肌は夜風を受けても震えることがなく、人形の如きなめらかさ。
見目は整っているが、生々しさに欠け、人ならざる妖魔の片鱗を覗かせている。

「………?全然なおってない」

傷口を見ての間抜けな感想であった。
血行をよくしてくれたとか、色々な効能はあったのだろうが、少女が求める成果には至らなかった様子。
首を傾げながら露天風呂を後にすると、その姿は脱衣所へ。
――――そして、誰も気づかぬうちに旅籠から消える。

ご案内:「九頭龍の水浴び場 露天風呂」から芙慈子さんが去りました。