2018/06/13 のログ
ご案内:「九頭龍の水浴び場」にノアさんが現れました。
ノア > 日付の変わる頃 ── ほんのり酒に酔った女が一人、温泉宿を訪れる。つい先日 調子に乗って飲み過ぎた挙げ句、知人に絡み酒… なんていう事があった為、今夜は程々に。丁度良い具合に心地好くなったところで、酒場を切り上げたのだった。

「 ……………ふぅ、 」

風呂上がり、ほろ酔いなのもあって 温まった身体がふわふわする。利用客へ貸し出してくれる "浴衣" とやらを身に纏い、仮眠室へ… 雑魚寝部屋だけれど、どうやら先客は居ない様子。少し涼んでいこうと、薄暗い和室の隅で横になった。

ご案内:「九頭龍の水浴び場」にアリルネージュさんが現れました。
アリルネージュ > しゃん、しゃん、という音が遠くから聞こえる。
それと共にざわめくような声。
仮眠室へと届く音は、まだまだこの宿が盛況であるという事を告げる。

そこは宿内にある舞台。
ステージの上では褐色の踊り子が舞を披露していた。
観客はまばら。見る人が少ないのではなく、減ったのである。
見る者を虜にし、情欲を煽るその踊りで理性を溶かされ、連れ立って部屋へと消えていく。
そういう形で観客は数を減らしていったのだ。
残った者達も、どこか恍惚とした表情でステージの上を眺めていた。

そして遠くの音は誘うように仮眠室まで届いていく。
気になれば窓からでもその舞台が見えるように。
寝ようとする客達の興味を引けるように。
この宿はそういう風に、巧妙に利用客の好奇心をくすぐるように作られていた。

ノア > ─── しゃん、 しゃん、

開け放った窓から、夜風に乗って心地好い音が届く。丁度眠りに落ちる寸前といったタイミングで、女の意識が引き起こされる。

「 ……… ん、 」

決してうるさい訳でもないのに、不思議と其の音を聞き流せず… ゆっくりと上体を起こし、窓の縁に手を掛けた。灯りの漏れる部屋のステージで、ひらひらと何かが揺らめくのが見える。何故だか、妙に気になって。目も とろんと虚ろなまま、然程遠くないだろう其の部屋を目指し仮眠室を出た。

アリルネージュ > しゃん、しゃん。
リズムよく流れてくるその音は、まるで誘うように訴えかけてくる。
涼やかな音はいっそ心地よくさえあるだろう。
そしてそれは聞く者の興味を深く深く引いていく。

女性…ノアが舞台のある部屋にたどり着く頃。
入ると同時に数人の客が出ていく。
皆、どこか熱に浮かされたような表情で部屋へと続く廊下を歩いて行くだろう。
すっかり閑散としてしまった舞台の上で、褐色の踊り子はまだ踊り続けていた。

ひらり…ふわり…と薄絹が舞う。
うっすらと妖艶な笑みを浮かべた踊り子は、その布を持って巧みに視線を惹く。
視線を誘導されれば、躍動する身体に、その一挙手一投足に、目が離せなくなっていくように。

ノア > 「 ……………っ、 」

隙間から灯りの漏れる引き戸を開け、中に入ろうとしたところで数人の客と肩がぶつかった。皆熱に浮かされたような顔をしていた為、酔っ払いかと 腹を立てる事もなく。ふらりふらり、 寝起きに近い足取りで中へ脚を踏み入れると

( ぁ……… あのヒト、 確か… )

ステージ上で舞っていたのは、以前この温泉宿で会った踊り子の女性だった。滑らかな褐色の肌に、艶やかな銀髪と化粧が印象的な… 名前は確か、アリルネージュといったっけ。以前はステージを終えたところで 彼女の踊りを見る事が出来なかった為、折角だし と… 適当な場所に腰を下ろして、ゆっくりと其の美しい舞いを堪能する事にした。

( きれ、 い…… )

ほんの少し立ち話をしただけでも、充分彼女の色っぽさは感じていたけれど… こうして衣装を身に纏いステージ上で踊る姿は、あの夜の何倍も… 何十倍も、色っぽく感じる。同姓ながら、いつしか其の妖艶な光景から目が離せなくなっていた。

アリルネージュ > 新たにやってきた白に近い髪の女性。
そういえばと踊りながら思い返せば見た事のある女性だった。
ノア、と言っただろうか。どうも寝起きのようだけれど…。
観客はすでにノアを入れて数人ほど。
その状態であれば考えながらというのもワケはなく…。

――しゃん。

両の手首の鈴が鳴る。
高く、涼やかな音は瞬間的にははっとさせるものの、踊りを見ている事を強く意識惹きつける。
ひらり、ひらり、と舞う布は、光沢を持って視線を奪っていく。
そうしていつしか、視線はその褐色の肉体へ。

「………ふふっ。」

滑らかに律動する両の手。
その褐色を追っていけば踊り子の表情へ。
妖しく微笑む表情は、男性のみならず女性をも誘うよう。
妖艶な表情の中で、シルバーに彩られた瞳と唇がさらに視線をくぎ付けにする。

ふっと表情に翳された手指を追えば、視線は下半身へ。
律動する両の長い脚を見つめれば、その太腿に刻まれた白い模様がゆっくりと蠢いている。
視界の中で踊る模様が悩ましく動く腰つきへと導き…。
ふと気づけば、踊り子と交わる卑猥な想像が浮かんでくるかもしれない。

ノア > 目を離せないだけじゃない。其の視線の動きすら、まるで彼女の思うままに… 導かれた視線の先、妖艶な表情や魅惑的な動きに、心奪われて ──

─── 其れに抗う事も、そもそも違和感を感じる事すらもなく。女は自身でも気付かぬ内に、魅惑の世界に捕らわれてしまった。

「 ?! ………っ、 」

貴女が指先を揺らせば まるで其の指が肌を這う様な感覚が走り、 貴女が腰を揺らせば すぐ目の前にいる様な錯覚を覚え、 そして貴女が銀髪を振り乱せば

「 ん、 っ… 」

身体の奥が じんと疼き、熱っぽい吐息が漏れた。

アリルネージュ > 銀色の唇が動く。
声は漏れていないはずだが、ノアにはひっそりと耳元で囁かれたように聞こえるかもしれない。

―――つぅかまえた…。

ふぅっと指先が動く。
しかし…まるで誰かを後ろから抱きすくめて愛撫しているような…。
ゆらり、と腰がくねる。
何度もゆらゆらと妖しい動きを見せつける。擦り合わせる相手を想像させるように。
うっとりと恍惚の、魅惑の世界に酔いしれる事ができるだろう。

は、ぁ…と漏れた熱い吐息は誰のものだったか。

ふと、気づけば踊り子はノアの目の前にいた。
わずかばかり息を乱した、踊り終えた姿で。
そして他の観客は……。

「…皆、部屋へと戻ってしまったわ?」

見回せば、すでに他の人はいなくなっているだろう。
最後にいた男女も、もしかしたら二人連れ立ったのかもしれない。

ノア > 「 ………っ、 ん… ! 」

耳元に落とされた囁き、掛かる吐息。実際には、二人の間に数メートルの距離はある筈… けれど女は、はっきりと其れを感じ。思わず ぴくん、と肩を竦めてしまった。

「 ん、  ぁ…… んっ、 ん… 」

やがて彼女の踊りは更に其の妖しさを増し、艶かしい手付きも腰付きを魅せられて ── 胸の先の薄桃色は、浴衣越しにも其の位置がわかる程に過敏な反応をみせ。疼く秘裂は すっかり蜜に濡れ、切なげにひくついて。

「 ん…… そう みたい、 ね… 」

頬は染まり、琥珀色の瞳は とろんと潤み、僅かに開いた唇の隙間からは 熱っぽい吐息が漏れ… いつの間にか "実際に" 目の前まで来ていた貴女を、 ただただ蕩けた表情で見上げていた。

アリルネージュ > 「久しぶりね、ノア。」

くすっと微笑む。
その姿はいつぞやのようで、先ほどまで妖艶に舞っていた姿とは思えぬほど。
しかしとろんとした瞳をじっと見下ろせば…。

「…ふふ、感じちゃったかしら。」

すうっと艶やかに細められる瞳。銀のアイラインがまた視線をくぎ付けにしていくだろう。
そのまま、ゆっくりと顔が大きくなる。真っすぐに近づいてくれば…。

「……ね。気持ちよくしてあげましょうか?」

ノアだけに聞こえる妖しい囁き声。
銀色の唇が蠱惑的に蠢き、ちらり、と紅い舌が誘うように覗く。

ノア > 「 久し ぶり、 アリルネー ジュ… 」

そう返すのも、途切れ途切れ。ほんの僅かに残された理性が、自身の状況を悟られまいとして必死で平静を装う。しかしながら 確信犯である貴女相手にいくら平静を装おうとも、 無駄。近付く顔から視線逸らすどころか、寧ろ近付きたくなってしまうのを懸命に堪え

「 違、 っ ─── 別に、 そんなん じゃ… 」

悪戯に、ちらりと覗く舌先… 女の意思とは裏腹に、熱を帯びた唇は其れへと引き寄せられてゆく。互いの吐息が掛かる程の距離まで近付いてしまったところで、羞恥に頬を真っ赤に染めて

「 ただ… すご く、 綺麗で…… だか ら、 ── 」

吐息混じりに言い訳を口にするけれど、全てを言い終えぬ内に… あろうことか女は自ら、 唇を重ねてしまった。

アリルネージュ > 「…ふふ。」

間近に顔を近づければ、羞恥に頬を染めて言い訳のように繕う姿。
しかし、その表情が。乱れた吐息が。微かに香る匂いが。
すっかりと発情している事を如実に伝えてくる。

「……ん。」

そして、辛抱たまらない、という様子で唇が重なれば瞳を細めて微笑む。
そっと後頭部を抱きしめるように手を回し、逃げられないようにしつつ…
じっくりと唇を重ねていくだろう。
熱い吐息と甘い唾液を流し込み、舌を絡ませ弄ぶ。
罠にかかった獲物をそうするように、熟達した蕩けるようなキスを味合わせていくだろう。

ノア > 何となく 遠くで聞こえた鈴の音が気になって、何となく 其の音へと引き寄せられ。知っている踊り子の姿を見つけ、其の舞う姿を見ていた… ただ、見ていただけ… だったのに

「 ちがう、 の…… 少し、 酔って る… だけ……… 」

まさか同姓相手に、 甘い甘い口付けを自ら強請ってしまうなんて と… 自分が自分でなくなるような不安と、其れを上回る欲情が女の心を揺さぶる。けれどそんな葛藤も虚しく、淫魔の口付けに 呆気なく思考は蕩け

「 すこ し、 だけ……… ん、  んっ… 」

やがて、女の唇から溢れるものも 言い訳から甘い吐息へと変わっていった ───

今宵 淫魔の獲物となった、一人の女。全てが貴女の意図した事だなんて、少しも気付かぬまま… 寧ろ、 こんな痴態をも受け入れてくれる貴女に母性すら感じながら。身も心も全て、無防備に差し出してしまった。

温泉宿の一室で、 熱に浮かされた女が其の後どうなったのかは… 一人の踊り子だけが、知る話。

ご案内:「九頭龍の水浴び場」からアリルネージュさんが去りました。
ご案内:「九頭龍の水浴び場」からノアさんが去りました。
ご案内:「九頭龍の水浴び場」にイグナスさんが現れました。
イグナス > ざぶーん。湯がたっぷりと跳ねた。

「んあ、…あー………はあ、ぁ。」

実に、どこまでも気持ちよさそうに声が出た。
身体からゆるっと力抜けて、ふにゃふにゃと口元が緩んでくる。
夕暮れ時、心地よい空気の中で、ざっぱんと大浴場に浸かる大男がひとり。

――おあつらえ向きに誰もいない、混浴ってのが効いてるのか。
あるいは誰かがいるのかもしれないが、もくもくと立ち上る湯気のせいで、よくわからない。
ともあれ、独り気分、あんまりだれにも気にせずに、うあ”あ”って獣みたいに声を出してた。