2018/04/09 のログ
ご案内:「九頭龍の水浴び場」にミゲルさんが現れました。
ご案内:「九頭龍の水浴び場」からミゲルさんが去りました。
ご案内:「九頭龍の水浴び場」にティエンファさんが現れました。
ティエンファ > 篝火の明かりをぼんやりと孕んだ露天風呂の湯煙、その向こうに人の影。
艶やかな黒髪は長く、湯を浴びて夜に尚滑らかに…異国の風情を思わせる絹の輝き。
腰までを隠すその髪は見る者が見れば心誘われる逸品だろう。

…その髪が流れた背に、鮮やかに彫られた刺青が無ければ。
…その髪が覆う背が、巌を削り出したように流々とした筋骨でなければ。

「くっはー!生き返るぜェ!!」

ざぱあ!と頭から湯を浴びて、ブルっと頭を振るったのは少年。
年嵩は、子供から大人に移ろうという頃か。
人影の無い平日夜の露天風呂で声をあげた。

ティエンファ > 「いやァ…港町からこっちまでの護衛の口が即見つかるってなあ、運が良い
 これも日ごろの行いってもんだなァ…しかも道中盗賊が襲ってきてくれたもんだから、
 特別手当まで奮発して貰っちまってまあ…
 お蔭で…」

桶で湯をかき、また頭からかぶる。ぷはあ!と気持ち良さそうに息を吐けば、長い髪を片手でまとめる。

「こうして温泉でゆっくり旅の垢を落とせるってな
 …はあ、何週間ぶりの風呂だか…」

身体を洗って真っ黒になった布を隅っこに置いて立ち上がる。
向かうは温泉、岩づくりの縁を跨ぎ、そのままゆっくり肩まで浸かる。
あー、とも、おー、ともつかない声を漏らしてそのまま鼻の頭まで沈み込む…。

「ぶぶくぶ…(きもちい…)」

ぶくぶく。

ティエンファ > 涼しい春の夜、時折吹く風が濃い湯煙を混ぜて火照った頬を撫でる。
ゆっくりと体を起こし、両腕を温泉のへりに乗せれば、悠々と脚を伸ばす。
うあー、と声を漏らしながら首を鳴らせば、ゆっくりと身体の力を抜く。

「染み入るぜェ…極楽とはこれこのひと時…
 一年ぶりだが、やっぱこの宿の温泉は格別な気がするな
 …帰って来たって感じがする」

深く息を吐き、目を細める。

ティエンファ > 濡れた長い髪を重たげに片手で掻き上げる。その腕は鍛えて搾り上げた武芸者特有の物。
湯に浸かって上気した胸板は分厚く、異国の竜がその武骨な筋肉を彩っている。
その身体のそこここに走る古傷も相まって、一般人は近づきにくい風貌。

「風呂あがったらキンキンに冷やされた麦酒でグイっと…うへへ…」

…呟く言葉はむしろおっさん臭く、不精して伸ばした髭も、その風貌の怪しさに一役買っている。

ご案内:「九頭龍の水浴び場」にチェシャ=ベルベットさんが現れました。
チェシャ=ベルベット > 水に濡れるのが嫌いなチェシャが温泉に来たのは本当にたまたま。気まぐれで。
露天風呂を選んだのも本当に運の良かったことだった。
タオルを片手にペタペタと浴場に入り、誰もいないことを確認しようとした矢先
誰かの気配がすると猫の耳がぴくんとそちらの方を向いた。
じっと湯けむりの中その相手を見極めようと凝視し、相手の姿かたちが目に入ってくれば信じられない様子で肩を震わせた。

「ティエ……?」

ささやく言葉はまるで幽霊をみたかのように疑問を浮かべたものでまだ半信半疑の様子。

ティエンファ > 人の気配、小さな足音を聞いて何とはなしに顔を向ける。
湯煙に霞む人影に一声挨拶でも…と思うよりも先に、相手の声。
懐かしい声に出しかけた言葉を飲んで、こちらもまじまじと見返す。
チェシャの目に、不精髭を生やした、しかしまだどこか幼さを残す顔が見える。
月明かりと薄い篝火の明かりに見えたその肩胸には、覚えのある刺青。
その男の目が、優しく細まる。

「よう、チェシャ 相変わらず綺麗だな」

チェシャ=ベルベット > ぺたぺたと小走りだった足音が風呂の床を蹴立てるように疾駆する。
跳んだ、相手が風呂の中にいるにもかかわらず受け止めてくれるものと信じて。
猫の跳躍力がぴょんと一足飛びに風呂場を飛び越えてティエンファの胸の中に飛び込んでくる。

「ティエっ……!!」

感極まったように目尻に涙を浮かべつつも無事受け止めてくれたのならば相手を力いっぱい抱きしめる。
そうして無精髭を生やした相手の顔、ほっぺたを両手でひっぱりきつい目つきで睨みつけた。

「馬鹿っ……!何が綺麗だな、だよ!!
 一年近くも音信不通で、……っふざけんな!このっ……!」

憎々しげにほっぺをつねり自身の尻尾と耳の毛を逆立てて唸る。
半ギレであった。

ティエンファ > 「お? お、おいおい、滑って転ぶなよ…っとぁ!?」

夜空に飛び上がった少年の姿を見れば、咄嗟に両腕を広げる。
受け止めながら転べば、思いっきり水を跳ね上げる。静かな露天風呂に水音が賑やかに。
しかし、抱き着いて来るチェシャを落とすことなくしっかり包む逞しい腕。

「んぎっ、いたたたた…っ、わるかった、わーるかったって!!
 わざとじゃねえんだよ、護衛の仕事で遺跡に行ったら罠のポータルが生きててさあ!」

体格で言えば、青年の方が少年よりも分厚く太いから、振りほどこうと思えばできるだろうけど、それもせず。
痛みに声を上げながらも、どうにもその頬は緩んでしまって、言い訳する声にも気色が隠せない。

「で、言葉も通じない別大陸に放り出されて、帰ってくるのも一苦労だったんだぜェ、マジでマジで!
 …手紙出さなかったのはホントすまん!」

言い訳の後に、しかし、毛を逆立てて怒る少年を見れば素直に謝って、頬っぺたを抓る手はそのままにさせて。
湯に沈みかけていた体を起こして、向かい合わせの膝に座らせるようにして、髪を片手で掻き上げ、目を真っ直ぐに見る。

「ただいま」

チェシャ=ベルベット > 「わざとでもわざとじゃなくてもダメッ!僕を待ちぼうけにさせといたりするのが既にだめ!!
 大体君はうかつなんだよ!どうせ罠だってうっかり踏んだか面白半分に触ったかなんだろ?!
 もーうもうもう……っ信じられないっ!!」

ムキーッと頬をつねったまま言葉をまくし立てると、なにやら嬉しそうな相手に
またも表情がきつくなる。
まるで子供を叱る大人のよう、でも相手はちっとも気にしていないような。
はぁ、と深い溜め息を吐いて言葉の弾丸を一旦取りやめれば
向かい合わせ膝の上に座らせられたまま相手を抱きしめた。

「……おかえり。ティエ」

それだけ相手の耳元にそっと囁くと唇に触れるだけのキスをする。

ティエンファ > 「チェシャは寂しん坊だからなあ…
 あ、いや、俺は触ってないぞ!一緒に行ったシーフの奴がそれらしいオーブを割っちまってな!?
 俺はただ壁のよく分かんない文様を指でなぞっただけだし!
 …だけだぜ?なぞった所が光るのが面白かったなんてそんな…」

段々と視線をそらしてしまう所に多分色々申し訳なさがあるのだろう。
そして、キッと鋭い視線で睨んでくる少年の目を見つめれば、怒って潤む目もやっぱりきれいだなあ、なんて暢気に思って。
溜息をついた様子にへらりと緩く笑い、抱き着いた身体を抱きしめ返し、その背を優しく撫でるごつい手。

「寂しがらせてすまん …正直、俺も寂しかった」

触れるだけのキスは、チェシャの柔らかな頬に不精髭が触れてチクチクしたかもしれないけど。
離れた顔にちょっと笑って、頬を手で包めば、もう少しだけ長く、深いキスをした。
一年ぶりの味と感触は、丁寧に懐かしい味を思い出すように丹念に。

チェシャ=ベルベット > 「やっぱり!!ティエってばそういう子供っぽいところがあるからー!
 いや、そこが魅力的なんだけどさ……って違う!
 もー金輪際遺跡行くときは僕と一緒か変なもの触っちゃだめっ!」

視線をそらす相手に逃げるな、と言わんばかりに両手で顔を挟み込む。
抱きしめた相手から背に逞しい硬い手の感触が乗ればやや嬉しそうに尻尾が揺れた。
だが、チェシャの表情も声音も拗ねたままで

「……僕もまぁまぁ寂しかった」

それだけ言うと相手の深く長いキスを受け入れる。
ん、と唇から漏れる甘い吐息。舌を絡ませ相手の唾液の味を思う存分味わう。
しばらく目をつぶって相手の存在をしかと確かめるようにその逞しい背を撫でる。

「……キスしても許さないからね。今度という今度は僕も怒ってるから」

などと怖いことを拗ねた声音で告げる。

ティエンファ > 「しょうがないよな、遺跡の仕掛けは男のロマン!!
 ふへへ、マジで (てへ) …えーでもチェシャ遺跡探索とか冒険者よりな事あんましないだろ?
 んぐっ …でもまあ、気をつける 今回は流石に俺も骨身に染みたよ 言葉が通じないってもどかしいのなあ…」

頬を両手で包まれたまま、情けない顔で頷いた。
拗ねたままの少年を撫でる手は、心配をかけた事も良く分かるので、優しく柔らかく。
まあまあ、と言ったチェシャの猫耳に返したのは、「俺は凄く寂しかった」と囁く声。

薄く小さな子猫の舌を味わい、絡ませて、互いの味が互いの口に残る位の時間を置いて。

「うん、判ってる …有難うな、心配してくれて ただいま、チェシャ 戻ったよ」

普段の強気な声ではなく、どこか甘える子供のように名前を呼び、しっかりと抱きしめる。
それから、チェシャの細い肩に顎を乗せて、腕の中の身体を確かめるように撫で。

「…許して貰えるまで、今日は一緒に居れるぜ
 チェシャは、今日ここに来たのはー…『仕事』でか?」

尋ねてから少年の、普段は魔法で隠している尻尾の付け根を撫でるように、包むように掴み。

「そうじゃないなら、今日は一緒に居てくれないか、チェシャ」

チェシャ=ベルベット > 「馬鹿にすんなよ!これでも一応シーフの心得ぐらいはあるわっ!
 まぁ本場のシーフには劣るかも知れないけれど、そこそこ罠感知だって出来るよ。
 ……その冒険譚、後でちゃんと聞かせてね?」

言葉の通じぬ別の大陸の話、好奇心は押さえられないのか興味津々といった様子。
猫の耳に囁かれた相手の真正直な言葉に目を見開いて盛大に顔を赤くする。
こういう時、ティエンファは強い。折れるのはいつもチェシャだった。
返事の代わりにもう一度強く相手を抱きしめて、自分も相手の肩に顎を乗せる。

「本当? じゃあ泊まろうよ、ここ。
 僕は完全なオフ、今日ここに来たのもたまたま。
 ……もし訪れて無ければすれ違ってたわけだ。ぞっとするね」

はん、と鼻を鳴らして皮肉げに笑う。
尻尾の付け根を触れられれば、くすぐったさに身体を捩ってむぅ、とティエンファを見る。

「ズルいなぁティエは。うん……いいけどさ。
 でもその前にちゃんと身体洗うこと、風呂嫌いの僕が言うのも何だけど
 洗ってない犬の感じがする……」

口ではこう言っているが身体は嫌がること無く相手に触れる。

ティエンファ > 「遺跡のシーフと言うよりはシティシーフなイメージだからなァ
 チェシャには古い遺跡よりも夜の街が良く似合うよ
 …おう、それを話したら二晩はかかるぜ?」

ひひ、と歯をのぞかせて笑う表情は相変わらずで。
しかしどこかまた少し精悍さを増した青年の表情は、真っ赤になった少年の表情に目を細める。
硬直した少年の頬を優しく包むように撫でてから、抱き着いてきた体をしっかりと抱きとめて声を漏らして笑った。

「ああ、喜んで そうか、たまたまか…へへ、昨日街に着いたばっかりでチェシャに逢えるなんて、こりゃあ運命だな」

そんな事を臆面もなく言うのだ・
くすくったそうにして軽く睨む少年の頬に唇を寄せてじゃれつき、
それから、洗ってない犬の匂いと言われれば、しかられた犬のような顔で。

「これでもさっき入る前に洗ったんだぜ? …チェシャは良い匂いだな、この匂いをかぐと、街に戻った感じがする」

細い首筋に顔を埋め、ゆっくりと匂いを嗅ぐ。
呼吸と不精髭が少年の首をくすぐる、そして、不意に首筋に小さく吸われる痛み。
跨った少年の股間に男の熱が固く当たる感触。

「…我慢せんとな、まずは綺麗にしないと、『美味しいもの』は食べられないし?」

照れ隠しのようにそう言って、自分の頬を掻いた。

チェシャ=ベルベット > 「そりゃあまぁ、そうだけどさっ。猫は街中に強いもんだし?
 遺跡とか埃っぽくってなるべくなら行きたくないけどティエが行くなら行く。
 ティエの喉が枯れない程度にお願いするよ」

皮肉げに笑いながらも、敵わない相手に仕方ないなぁと言わんばかりに抱きついて頭をぽんぽんと撫でる。
本当に大きな犬のよう、あるいは大きな子供と言うか。
そこが愛おしいとは、声には出さずにしておくが。

「運命って言葉は嫌いだけど、ティエが使うといい意味に聞こえる」

叱られた犬のような顔をする相手にはくしゃくしゃとその長い黒髪をかき混ぜながら撫でてやり
首筋にちりりと刻まれる痛みにあ、と吐息を零す。
ティエンファの股間が熱を持っているの同様にチェシャの身体もまた熱を孕んでいた。
だがぴしりと尻尾の先で相手の鼻先をはじくと

「お背中、流しますって言ってんの。さ、上がった上がった。
 キレイキレイにしましょうね、ティエくん」

ヒゲも剃れよ、男前だけど、チリチリして痛い。と文句を言いつつ
嬉しそうに相手の背を手のひらで軽くたたく。
湯船から上がり、洗い場にティエンファを座らせたなら上等の石鹸を存分に使い洗い上げるのだろう。

そうして宿の部屋で一晩、今宵は彼の冒険譚を聞きながらたっぷりお互いを確かめ合ったりするのだろうか――