2017/08/17 のログ
ご案内:「九頭龍の水浴び場」にシドさんが現れました。
シド > 焼け付くような日差しも宵闇に溶けて涼しさを覚える頃合。
深夜といえど営業の明かりを落とさぬ湯宿の暖簾を潜った。
既に勝手知りたる施設。部屋を取り荷物を置き、後は纏わる汗を流すために露天風呂へと。
星月覗く広大な敷地に催し数々の湯の一つ一つに手を差し伸べて。

「ここがいいな。」

備え付けの手桶に湯を掬い頭から被る。ニ、三度。
すっかりとずぶ濡れになった髪を掌で無造作に掻き上げて肩まで浸かる。
肌に優しい微温湯とその浮力感に口元に笑みを浮かべながら瞼を閉ざして楽しんだ。

シド > 湯を楽しんだ後はその姿は宿の中へ消えてゆく。
ご案内:「九頭龍の水浴び場」からシドさんが去りました。
ご案内:「九頭龍の水浴び場」にライムウェルさんが現れました。
ライムウェル > 諸々の噂の絶えぬ宿である九頭龍の水浴び場。
ただ温泉を利用する者もいれば、豪勢な宿として楽しむ者もいる。

そんな宿の、入浴場から出たすぐ傍にある休憩所にてとてもとても違和感のある格好をした男が佇んでいた。
大体の利用客が、浴衣を着ているその場所でタキシード姿は大層目立つ。否、問題はタキシードだけではないのだが。

「やや!そこ行く貴女!そう、貴女、貴女で御座います!
 今からご入浴ですか、それとも入浴した後でしょうか? いえいえ、観察すれば判る事とは言え、そんな女性の細部まで観察する等失礼千万な真似を!
 しかねます故、尋ねる形になることお許しください!
 はい、そして唐突にお声かけさせて頂く無礼をお許し頂けますと幸いに御座います!
 実は!実はで御座いますよ。是非、貴女様にご協力願いたいことが御座いまして。無論報酬はご用意致します故、ご助力願えませぬか!」

そしてそんな場所に現れてしまった。そう、現れてしまった女性に対し、すぐさまに声をかける興行師である。
朗々と喋る声は通りが良く、居る者は少ないこの空間に良く響く。
べらべらべらべら、息継ぎを何処でしているかと思う位の勢いで捲し立てるは毎度の事。

だがしかし。

今回の相手は、そんな男を無視する心の強い人だった。
さらっと流してその場を去っていく相手を「これはこれは失礼を。良き宿泊となりますように!」とにこにこ笑顔で見送るこの男もメンタルが強いが。
そして、ぐりんっと視線を巡らせると、次なる女性を見つけてまた声をかけるのだ。

「そこ行く貴女!貴女様…!どうかどうか、お時間少々頂けませぬか…!」

さて次なる不幸なお方は、どんな人だろうか。見知った顔であろうがそうで無かろうが、構わず目に留まった時点で声をかけるのだからどうしようもない。

ライムウェル > そして声をかけ続けること暫し。
気付けば、宿の従業員にその両腕を捕らわれていた。

「あいや、あいやお待ちを…!私、しがない興行師で御座いまして!
 本日も!本日も此方で興行を行う許可を…!え、それとこれとは話は別ですと?ははは、ご冗談を!
 地産地消がその地域を活性化する良作と愚考しますれば、私、一切の躊躇は御座いません!
 現地の方をお誘いし、盛り上げてこその興行!皆さまの記憶に残すのです。ここに、素敵な女性が居るのだと!」

捕まっても良く喋る。喋り続けながら、連行された。
やがてはその喋りの熱意に根負けし、もう好きにすると良い…と投げやりに解放されるまでもう幾何か。
ブレーキを踏むつもりのない男はこうして、女性に片っ端から声をかけ続けるのだった。
その行動と努力が報われるかどうかは、さてさて。

ご案内:「九頭龍の水浴び場」からライムウェルさんが去りました。