2023/05/29 のログ
■フィリーネ・ハーヴェイ > 声をかけながら近づくとそこにいたのは同年代ぐらいの少年。
ただ何かを起こすのに年齢は関係ないので警戒はしたままで。
「そっか、大丈夫ならいいけど。
大丈夫じゃないかもって?」
倒れていた少年の曖昧な返事に聞き返し。
ゆっくりと立ち上がれば一歩下がって苦笑を見せる少年を見て。
「私?私の事よりキミは?泥棒じゃないみたいだけど。
こんな時間になにしてるの」
誰かと問う前に尋ねられたので逆に問いかけし。
珍しそうな視線に何だろうと自分の周囲を確認するも何もなく。
少年が荷物を集め始めれば、手伝う?と問いかけて。
■カミル > 少なくとも襲ってくる様子はなさそうだ。
少年は魔導の心得はあれど、冒険者のように損得勘定や危険に勘を働かせて
生きる必要のない世界の住人ゆえ、警戒されてる事すらあまりピンときていない。
「冒険者ギルドにお願いして、魔法の研究に必要な物資を集めてもらったんだけど、
衝撃に弱いやつとかもあるから。今のでダメになったかもしれね……」
しょんぼりと肩を落とす。時々ではあるが冒険者や戦闘学科の手伝いはしていたので
素人ながらフィールドワークで鍛えてる……なんて思い上がりが招いた結果である。
「俺はカミル。コクマー・ラジエル学院で魔法勉強してる学生だよ。
なんか、この物資は若い冒険者の人が一人で集めてくれたみたいだから、俺でも
持って帰れると思ったけど……」
やっぱり冒険者と身体を動かさない学生を同じ次元で考えたのは愚かだったか。
誰なんだろうなぁ……と、顔も名前も知らない請負人をあれこれイメージして。
「手伝ってくれると助かるかな。学院の校門にまで持っていったら、守衛さんに
渡して後は済むから。一人は重い!マジで……半分でも持ってくれると大分助かるけど」
荷物をまとめ、切実に訴える。
ローブで分かりづらいが、少年の体格は背こそあるが頼りない印象を受けることだろう。
■フィリーネ・ハーヴェイ > 警戒をするも隙だらけな様子にただ荷物を落としただけと判断しては肩の力を抜き。
遅い時間に荷物をもって運ぶなんて襲われてもと思うが口にせず。
「それじゃ、その荷物は全部集めて貰ったもの?
これだとそういうのは駄目になってそう。無理せずに分けて運ぶべきだったね」
肩を落とす姿は気の毒に思えるが変に気休めを告げるよりもそうなっていそうと言い切り。
それに衝撃に弱いものがあるなら猶更分けた方が良かったのじゃないかと思ってしまって。
「カミル君?あそこの学生なんだ。
集めたって言っても多分何度かに別けてだと思うよ、こんなに一度に運べないし」
一人で集めると一度で集めるは違うと少年に告げては少し呆れ。
そういえば少し前に大変な収集の依頼があったかなと思い出し。
もうすぐ巡回も終わるので少年が手伝っといえば手伝う気でいたが。
「私の仕事ももう終わるからいいよ。
学院には入れないだろうし前までね」
荷物をまとめた少年の訴えに構わないと笑顔で頷き。
中まででなく、門まででいいなら運ぶのも楽だと考え。
少年の傍によれば、それを持つよ、と告げては荷物を持ち上げ、胸がつぶれるのも気にせずに落とさないようにとしっかりと抱えて。
■カミル > 少女の言葉には、「それはホントにそう」とぐうの音も出ない様子でこくこくと頷いた。
駄目になってそう の言葉には、無念そうにしばし空を眺め続けていた。
「入学して2年目になるかな。……って、そうなのか。
戦闘学科の子とか冒険者って、あんな重たい鎧とか武器とか纏ってても俺より速く走るものだからさ。
大袈裟なイメージ持ってたかも」
少女がそう話すならその通りなのだろう。冒険者という存在を、それこそ人間離れした膂力を持った
魔族並みに怪力のイメージを勝手に抱いていたのかもしれない。
「そうか、君は学生じゃなかったか。仕事終わりの間際とはいえ、巻き込んですまないなぁ……。
礼らしい礼でも出来ればいいんだけど、今はゴメンよ」
荷物を集める中で、少女がすすんで引き受けてくれるのを見れば、頼もしいな と感じる。
とはいえ、あくまで自分の荷物なのであまり割り込みで手伝わせてるのに任せきりは良くないと。
「ああ、ありが……!!」
ある荷物を持とうとしたところで、「それも持つよ」と駆け寄ってくれた少女と、はじめて密な距離感に
なって改めて貴女を見れば、少女らしい愛くるしい顔立ちと、軽装ゆえにハッキリと分かるプロポーションに
思わず言葉を失う。
(え……っ、か、かわい……。胸でか……っ。というか、こんな格好で戦ってんのっ!?)
距離を開けての会話だった事と、荷物を落としてそれどころではなかったため、じっくりと少女を意識する
事はなかったが、間近に駆け寄ってきた事で初めて、度肝を抜く。
「あー……ゴホン!あ、ありがとう。俺より色々分かってそうだから大丈夫と思うけど、魔法が絡む
道具って、フツーの鉱石とか薬草とかに比べて結構繊細でっ、扱いも結構難儀というか、うん……」
眼鏡をくいっと整え、早口気味にペラペラと魔法アイテムに関する蘊蓄を垂れ流して誤魔化す。
頬が真っ赤っ赤になってるのは言うまでもない。
■フィリーネ・ハーヴェイ > 「重い武器や鎧の分だけ持てるのは減るよ。
だからそういう人は荷物を運んでくれる人を連れてるか何度か足を運ぶんだよ。
はっきり言って大袈裟すぎ」
きっとそのイメージは一人で大きな荷物などを背負って長時間仕事はできる。
そんなイメージだろうと考え、実際はそんなことはないと首を振って説明して。
「私は冒険者だけ、学院に通う余裕はまだないんだよね。
お礼は別にいいよ、ついでだし」
最後は学院の前まで見回って終わるので序だからと口にして。
少年が集めていたおかげで荷物は簡単に持ち上げることが出来て。
荷物を持つために近くによれば、少年をはっきりと見ることができ。
背が高いけど細く見え、学生は香なのかなと思いながらも荷物を抱き上げ。
そのおかげで手に持てなくなった灯りは腰のベルトにぶら下げる事にして。
少年が何か動揺しているような気配はあるが、荷物を軽く持ち上げた事だろうと、自分の容姿や服装にそうなっているとは考えもせず。
「気にしないでいいから。
でも何が入ってるか判らないから、私よりキミの方が詳しいと思うよ。
鉱石や薬草は材料だし、道具はやっぱり使う方法でそうなるよね」
早口で蘊蓄を垂れ流す少年に少し困った顔でそうだねと頷き。
顔が赤くなっているのはそんなに説明できてうれしいのかなと思い。
説明をもう少し聞いていてもと考えたが、運ぶよ、と声をかけては歩きだして。
■カミル > 実際に武装して生活している者の言葉なら確かだろう。
当たり前ではあるが、思ってるより現実的だった ……なんて言えば、失礼にも程があるかもしれない。
少女の指摘には、冷や汗を浮かべながら「知らなかった……」と零す。
「学院の授業料、やっぱり高いもんなあ……。俺も実家がある程度出してくれてるとはいえ、
冒険者の手伝いとか魔法アイテムの内職とか、長期休暇は仕事してないと色々キツイから」
余裕がない そう口にする少女の言葉は平民なら難なく払えるとはいえ結構な額になる授業料を真っ先に思い出す。
研究部門ともなれば、学校の予算次第だが自己負担で賄わなければならない部分も多く、貴族など実家のバックアップが
強力なところでない限りはどこかしらで頑張ってカバーしなければならなくなる。
(落ち着け、落ち着け、落ち着け……っ)
動揺を隠し、呼吸を整えて荷物を持つが、ちらちらと少女に目移りしてしまう。
向こうは特にそういう目的であんな開放的な恰好をしてる訳ではないようだが、それにしても何故太腿や胸元はあんなに?
頭の中でグルグル思考が続いていると、「運ぶよ」 という声が聞こえて我に返る。
「……はっ!!!あ、ああ……行こうか。
短い間とはいえ、よろしく」
今度こそ、転ばないように重ねた箱の角を合わせて抱えると、少女と共に学院目指して歩いて行く。
移動中、ずっと無言でいるのは耐えられなかったので、不意に出てきた言葉は
「……余裕はまだない って言ってたけど、いつかは学院に?」
まだない つまりは状況が許すなら通っていたという事だろうか。
そんな事を聞いてみるのだった。
興味があるなら、戦闘学科の様子やどんな先生がいる とか、そんな他愛もない話でもしただろうか。
■フィリーネ・ハーヴェイ > 立派な武器や防具を扱う冒険者を見ればやはりそんな風に思うのかと少年を見て感じ。
しかし実際は重い武具を扱うほど運べる荷物は減るという現実。
それを説明していけば、知らなかったと聞こえれば笑みを浮かべ。
「荷物は動ける重さにってことだよ。
冒険者をやってると出費も結構あるから中々にね。
それに入学しても依頼を受けて授業に出る時間がないかも」
稼ぎは一度貯め、必要になれば使い切るので学費に回すには厳しく。
読み書きなどは一折出来はするのでどうしても入学しなければいけないほどでもなく。
もし余裕があれば、という程度の気持ちであり。
重い防具よりも身軽さを優先した服装、それなりにお金をかけた魔法の衣服は見た目はとても開放的。
それが少年を困らせているのだが、似たような視線を受ける事も多いので気にせずにいて。
「荷物を運ぶ間だけだし、そうなるよね」
少年の言葉に短いけどねと笑い返しては少年の歩みに合わせて歩き。
これも巡回一種という事で路地の確認は忘れずに続け。
「どうかな。その時に入学しようって思ってればかも」
学院に向かう途中、学院にと問われると少し考える仕草を見せ。
その時にならなければわからなと返し、今はそのつもりでも変わるかもしれない。
なのではっきりとは答えることが出来なくて。
■カミル > 学院では戦闘学科の生徒たちが、グループとなってギルドの依頼を請け負う事があるのは知っていたが
彼らの詳細な内容まで知っている訳ではない。
生の情報を聞いて、自分が見聞きしていた光景の内容が補完されていき、「そういう事か…」と合点がいった。
「それは困りものだな。学院って、成績もそうだし出席率も厳しいから君には酷かもしれないな……」
少女の言葉に、うーむ と首をかしげる。実際、学院生活の為に仕事を優先せざるを得ず、本来の学業は
二の次になってしまう学生は一定数居ると聞く。
自分がいかに恵まれているか、親のありがたみを痛感せざるを得ない。
「ああ、帰り道が遠のいてしまったなら本当にごめんよ」
少年の目線は引き寄せられるようにして、少女にばかり向けられていたがやましい考えがある などと
思われるのは心外だ。無言で見つめているのはいけない。
せめて会話が繋げられれば、そう思って紡いだ言葉に返されたのは、その時に入学しようと思ってれば という内容。
未来の事だし、そもそも学院に目的なしに通う事は莫大な金と時間を費やす事もあって自分も推奨しかねる。
「なるほど、まあ先の事だし。それもそっか。」
余裕はまだない と話してたので、そのつもりがある前提で聞いてたが、特に強いこだわりがある訳でもなさそうだ。
「……あっ、でも君がこれから先も冒険者としてやっていくなら、そのうち
学院なんて通う必要ないぐらい強くなってるかもな。なんせ、冒険者や騎士になりたい奴等が入るとこだし。
君、もうなってるんだしさ」
■フィリーネ・ハーヴェイ > 「学費に生活費は必要になるから。
そうなると出席もできないと思うよ」
確かに覚えることも多いかもしれないが優先は他にあり。
そのうちに学院に行くこと自体が減っていきそうと口にし。
自分のような冒険者にはつらいかもと考え。
「どれは大丈夫、学院前まで見回れば終わりだし」
少年の言葉に最後に向かう場所だから気にしないでいいと笑って答え。
途中で荷物を持ち直しては学院へと続く道を歩き。
歩きながら話し、学院もその時になればという考えを告げ。
少なくとも興味本位で入学して両立できる自信もないので今はそう考えているだけであり。
「もっと稼げて余裕が出れば…になるのかな」
今は少なくとも無理でしかないと、案外もうかっていないことに苦笑を見せ。
「強さはそうかもだけど学は別かな。
冒険者になるだけなら簡単、そこから続けられるかだし」
それになっても難しいのは直ぐに受けれないと告げて。
そうして話しながら歩けば遠目に学院が見え始めて。
■カミル > 端的に現実を話す少女の言葉には、ままならないものだなと内心では残念に思った。
自分と同年齢の者でも学院に通っていない者は結構な数がいるようだし、そこまでこだわる事でもないのかもしれないが。
「そうだったのか。俺は魔法使えても夜盗追い払うとかは無理だし、
君みたいに、まともに治安守ってくれる人達は本当に頼りになる」
実際、彼女と出会わなければ荷物置いていけ とナイフを向けられていた可能性もゼロではない。
本当に運が良かったと思う。
「冒険者って、大悪党とか魔族討伐したり、死ぬほど危険な場所にしかない希少品とか集めて
莫大な報酬とか稼いでるイメージあったけど……。あ、危険の割には合わないな」
上級冒険者や特別依頼を許可される領域、少女からしてみれば大ベテランが受けるようなレベルの話を
またもやイメージだけで語る。
「続けられるか……か。そこだよな」
うんうんと頷く。
少女は見た目から感じる年の割にかなり現実的だ。これも、生死をかけて日々を生き抜いてる故か。
自分よりは遥かに頼もしく見える。冒険者という形に限らず、これからも力強く、出来ればゆとりある生活を送ってほしいものだ。
「……あっ、もう目の前だ!」
歩いている間はあっという間だった。学院以外の世界を知らない自分と、学院の外で懸命に生きる少女との会話は
実入りの大きいものだった。
……少なくとも、冒険者をはじめ戦う者へのイメージが誇大化してたのは彼女によって大幅に正された形となる。
そうして校門前までやってくれば、閉じた立派な門の傍にある守衛を見て、こっち と少女を誘う。
「っふぅ~!!着いた着いた。本当にありがとう、助かった……」
学院についた安心感から、急激に疲れが出てきた。
守衛に荷物を渡し、学生証を見せながら実験室へ保管してほしいと告げる。
そして、学生である自分は寮に戻らなければならない。外出予定は告げてあるので特に後ろめたさはないが、
少女とはもっと話したかったと内心では心残りで。
「大丈夫と思うけど、帰りは気を付けて。たぶん、またギルドに頼み事するときに知らないうちにお世話になるかも。
それじゃ!また!」
少女に手を振り、そっと校門の横の通り道を抜けて敷地内へ入って行く。
貴女を見送りつつ、守衛さんに「彼女か?」と聞かれれば露骨に狼狽え「違います!!!!」とかなり大きな声で。
■フィリーネ・ハーヴェイ > 「それは戦い方を覚えればできると思うよ。
本当は衛兵の仕事なんだよね」
冒険者に巡回の依頼が回ると言う事は衛兵がその分仕事をしないという事。
お礼を言われるのは嬉しく思うが、同時にいいのかなと思ってしまい。
「そういうのはベテランの受ける依頼かも。渡しはまだそう言うのは受けれないよ。
大きな報酬ほど危険も大きいし……そういうのを受けるのは報酬より名誉かも」
上級者の依頼は依頼主も大物が多い。
なので少年が語る言葉はその通りだけど、お金よりも名誉になると告げて。
そして続けられるかは根気と才能と運、こればかりはどうなるかわからず。
少年を冒険者に当てはめると…訓練が必要かなと失礼ながら思ってしまい。
「ついちゃったね、どこに運べばいいかな?」
話していればそれなりな距離もあっという間に過ぎてしまい。
何処へと問いかければ少年の案内についていき。
お礼を言われれば気にしないでいいと首を振り、少年に続いて荷物を手渡して。
「十分気をつけて帰るよ。
その時見かけたら声をかけてくれればいいからね。またね」
少年の言葉にそう返せば来た道を戻るようにして歩き出し。
後ろから聞こえた大きな声に何かあったのかと思うが、大丈夫だろうと思ってそのまま戻っていって。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からカミルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からフィリーネ・ハーヴェイさんが去りました。