2023/05/15 のログ
ご案内:「平民地区 百合カフェ」にティカさんが現れました。
ティカ > その店を選んだのは単なる偶然。
ふらりと街に出て、武具屋や道具屋を冷やかした帰り道。なんとなく小腹が空いた所にたまたまその店があったというだけの話だ。

店内に入って最初に感じたのは空気の違い。
ふわりと香る花畑の様な匂い。
次に感じたのは店内の落ち着きある内装だろうか。
小洒落た装飾の衝立や、多めに配置された観葉植物。
それらが閉塞感を感じさせる事なく、居心地の良いパーソナルスペースを形作っていた。

『……なんだかちょっと高そーな店だな』
そこで感じた不安はその程度。
ただ、女性客ばかりの店内で、妙に仲睦まじい娘達がこちらに目を向けなにやらヒソヒソ囁いているのが目に着いて、妙な負けず嫌いを発揮してしまったティカは適当な空席にどっかりと腰を下ろした。

程なくやってきたのはパンツルックに前掛けのよく似合う男装の麗人。
その給仕が怜悧な美貌で『お客様、当店のシステムは……』となにやら説明しかけたのを雑に遮り

「あー……問題ねぇ。なんか適当に小腹を満たせるもん持ってきてくれ」

こう見えても金はちゃんと持ってんだぞ、という意味を込めてテーブルに置いた多めの銀貨。それは、昨日こなした割の良い冒険者仕事の稼ぎだ。
恭しく頭を下げた給仕が澄まし顔でその全てを持っていった事にぎょっとするも、やはりこちらを見てくすくす笑っている娘共に反抗心が湧き上がり、手痛い出費に内心で頭を抱えつつもこの店での食事を決め込んだ。

ティカ > 幸いにして店の雰囲気とは明らかに毛色の違う少女戦士に直接絡もうとする怖いもの知らずはいなかった。
食事中もずっとあちこちから好奇に満ちた視線が向けられて、やたらと仲良しな娘達のツマミにさせられた事には辟易とするも、給仕が持ってきたサンドイッチは高いだけあって驚く程に美味かった。

「――――ま、思ったよりは良い店だったな……くっそ高ぇけど。たまにはこういう贅沢するっつーのも悪かねぇ」

取り立てて面白い事もなく店を出たティカの顔には、意外にも満足げな表情が浮かんでいたのだとか。

ご案内:「平民地区 百合カフェ」からティカさんが去りました。