2023/01/07 のログ
レキ・キドー > 「店やるくらいだもんね。私がここに来たのだって評判だったからだしな。」

優秀なんだよね、生活力あるじゃん、って。
ちょっとひがむような心情になってしまうのは、その昔自分が「正義」の側に立ってるみたいなつもりで、
「ならず者」のような感覚でムツキを追いかけてしまった事がある負い目だろうか。

今は同じような立場になったどころか、彼の方がよほどヒトと共に在る。

「――うん、じゃあ、安く出来る方で、頼みます。
 やっぱりホンモノはやり過ぎだ。着てたけど、別にわざわざはね。
 出奔しておいて、こんな身の上じゃ何かでアシがついても迷惑かけるし… うん、贅沢だ。」

その装束で生むのは好評より悪評の方が多いのではないかと。
ぶつぶつ言うのは未練だけれど、納得させるように口にして、オーダーは手軽な方で。

差し出される手には一瞬「なに?」って顔をしてしまうけど、そうそう手順があるのだった。
手をつなぎ、呪にまみれた保管庫へ足を踏み入れる。

「――体力増強を餌に釣って… というか悪ささせるために体力も必要だから、ついでか。アイツらしい。
 準備期間があって、同性は殺しにかかるなんて雑さが無いだけ大人しい方なのか…
 …ああ、もちろんアタリ。 さすがだ。 ありがと。」

小箱を受け取り剣呑に顔をしかめる。
――がっしと中身の腕輪を鷲掴みにすればミシミシと。
一見単純に見える破壊はその実同化。この腕輪をそのように在らせるリソースは、
レキとその向こう側にいる呪い主の元へ折半するように還っていく。
せめぎ合う、が勝負にならない呪力がしばし結界の中でざわざわ踊り―― 収束すると、はふ と熱っぽい吐息が漏れた。

「――っはぁ… 商売やってんでしょ。私は注文したんだから普通に請求しなって。何そのオマケ。」

何となく仕入れ値で良いよと言うのが本当の事を言っている気がして、自分が要らないからってそれは無いでしょうと首を振る。

「……んいや、まあ、あの―― ごめん壊しておいてなんだけど支払いは待ってもらえると助かるから、大きな事言えないんだけど…」

今回は、ちょっと冒険者の仕事を空振りしたりしていて、前回のように手持ちが無い。
請求しろと言っておいてしまらないので小さくなるが、破壊はホントごめんだけどガマンできるようなものではなくて。

…カラダ払いでも良いと言うのには「笑う気だろ」と斜に構えてしまうけど、
冗談にしてはしつこいし、そんな悪意も見えなくてどぎまぎと視線を落とした。

ムツキ > 「自分で出来る中で、儲けが多く出る仕事って感じで選んだわけだし、これだけ有利な力あって儲け出なきゃ、それは俺のセンスが無さすぎたって事になるし」

情報を集めるのに使える能力が高く、それをある程度回せる程度には知識とかもあって。
少女と追いかけっこしていた時は、その能力を覗きや、観察に使っていたので。
その時の少女の行動自体は、世話役だったことを考えれば当たり前で、だからこそ今更文句を言う気も無くて。

「あいあい、そんじゃ多めに仕入れておくからな。
まぁ、あそこもかなり閉鎖的だしな、ばれたら色々言われそうだ。
…とはいえ、出来る限り近いのを探してみるから、一応期待してくれ」

閉鎖的な場所の衣服などは、確かに事件を起こしそうだなと苦笑し。
少女の答えに、頷いて同じでは無くても似た感じのをと告げて。

少女の手を取っているのは、扉をくぐる時などに、幾つかの結界を抜ける手間を省くためと、認識阻害の術を繋げる為で。

「ある意味で、一石二鳥の道具だったんだろうな…それの効果がきちんと知られるまでに結構、色んな人間の手を渡ったみたいだし。
邪魔する相手は排除してたみたいだから、単純でもなかったかもな。
仕事だしな、見つけるだけなら、問題ないよ」

ちなみに、使った人間の家族などが慰謝料などの為に腕輪事色々売るのを繰り返したために、余計に被害は広がったらしいと苦笑し。
手に入れたのは、ある家の倉庫の奥で他の曰く付きの魔道具と一緒に収められてたのを、幾つかの魔道具と金銭で交換してもらったのだと。
他の魔道具は、上の部屋にあるものと同程度の物なので、売り物にしていると告げる。

少女が腕輪を握りしめ、そのまま潰される様子を見て。
この邪神の呪物限定とはいえ、力技だよなぁと苦笑し。

「というか、前も言ったけど…こういうのって結局此処に流れてきて、封印に力使うんだよ。
その手間を一部とはいえ軽減してくれてるっていうのも理由なんだけどな…あいあい、あるとき払いで大丈夫だって、他の支払いでもな」

少女に飽きられて、苦笑して。
その後で、支払いを待ってくれと言われ、軽く笑いながら、余裕ある時で良いと告げる。
その後で、金、魔道具、珍しい薬草、素材、体、どれでもなと、言って、どれも俺としては価値があるしと、にやっと笑う。

レキ・キドー > 「――あ、うん、それで頼む。
 こんなあっという間になくなると思ってなかった。」

多めに、と言うのに「分かってるね」とコクコク頷いて、コレもそうだし、報酬の事もそう、稼がなきゃなあと宙を仰ぐ。
自分で探すより遥かに的確にムツキが見つけてくれるのだから、お金稼ぎに注力する余地はあるだろう。

期待してくれ、なんて言われたら期待しちゃうが、そういうのスムーズに言葉にするのは上手じゃなくて、頼むと頷くばかり。

「……ああ、分かる。この腕輪由来で起きた悪い事とか、侵された罪みたいな実績が、アイツの養分だ。
 この腕輪に蓄えられたものは、今、私とアイツで折半された。 …流れて来るから分かるんだ。」

発情させられ道を踏み外「させられた」人々の簡易的な記憶や情動、死亡していれば魂そのものを取り込んで、咀嚼し理解する。
ココ暑いなと、律儀に着けているブラウスのタイを外して。

「私が頼んでなけりゃ、ココに保管する必要も無いでしょ?
 引き取ってくれって頼まれたのでも無ければ、売り物にならなそうなのはスルーすれば良いんだし。」

抱き合わせで付いて来ちゃうとかあるのだろうけど、どうも私にサービスしてないか?と考えてしまうと落ち着かない。
昔のよしみで哀れまれているのか?なんて事を気にかけるなら、支払い能力を持たないといけないんだけど。

「…………お金の代わりでいいのかよ…」

カラダ、が本気だとして。
別に恋して欲しいなんて考えるわけじゃないけれど、カラダだけかってぼそり。

ムツキ > 「再開して少しで、もう何着かダメにしたみたいだしなぁ。
結構丈夫だったろ、あの隊服って」

多めにと言って喜ぶ相手に苦笑して。
追いかけっこでも破れたりしたのを見なかったので、それなりには丈夫だったはずで。

此方の言葉に頷く少女に、微苦笑して、もう一度頷く。

「なんだかんだで、悪辣だよな…冒険者なんかは体力上がると喜ぶけど、おかしな効果が最初から発動しない所とかは特に。
そういう仕掛けなのか…本来は邪神に全部流れるのが、って事か…そうするともっと見つけられればッて事になるな」

蓄えられていた物が折半というなら、邪神の力を削ぐことに繋がるなぁと頷き。
少女がタイを外し、日焼けした肌が見えると、思わずそこを見つめながら、喉を鳴らしつつ。

「それは可能性の話になるな、結局流れてくる可能性は高いし、呪い関係って結構人手がな。
…基本はそうなんだけどな、情報をくれる代わりにとかで、結構くるんだよ」

スルー出来るレベルの情報ならスルーだが、此処に呪物倉庫が出来る程度には、価値ある情報も多くて。
そもそも呪い関係は、解呪や抑える事が出来る人も限られ、青年の様に呪をある程度操る等は、更に少ない。

「んー、ぁー…いい方が悪かったな、レキがこっちにそれを許してくれるなら、その価値は金に換えられないと思ってるぞ。
それこそ、支払い関係なく相手してほしいし…ってのが、本音だしな」

小さく聞こえた声に、此方も言葉を返す、視線を少女ではなく天井に向けながら独り言の様に。
冗談めかして言う事じゃなかったなと、苦笑して、視線を戻して、悪いと、呟いてから、頬を掻いて。
更に小声で、うっわ、恥ずかし、と呟いて。

レキ・キドー > 「そりゃ丈夫だよ。あの仕立てでそんじょそこらの道着に負けないんだから、今思えば高かったんじゃないかなって。
 …けどまあ、鎧ってわけじゃないから防具としての効果は布の服だし、
アイツに関わってそうなのを追いかけると破られるどころか溶かしたりするのもいるからもうね…」

支給品の価格を知らぬ宮仕え。
どうだったんだろうねと呑気なもので、しかし一般的な物より頑丈とはいえ布は布。
当たらなければどうという事は無いの精神でいかないといけないのに変わりがないなら、贅沢はすまいと頷く。

「…ああ。」

――自分と呪い主の力関係について、理解してくれた風に言うムツキに「その通り」と答える言葉は非常に短い。
相槌なんだからそんなものだけど、果たしてそうなのかと問うような目がじっと見つめる。
呪われたこの身も既に、他の呪物と変わらぬ収集装置であれば、下剋上なんて何ともおこがましい。
呪い主との関係性の外側に、何か手が必要なのだ。

「これだけしっかりやってると、それを知られていれば当てにされる事もありそうだもんね。」

商い事情には、そういう風に考えてくれるなら私も助かると納得しておこう。債務者であるし。
そして債務者は、余計な事を口走ったなと、男に言わせてしまった事にはにかんで歯噛みした。

色欲に傾いた呪物を取り込んで、今夜のコンディションはつい肌を許してしまいそう。
――先日敗北して手を組んだ、性愛の女神の眷属によって刻まれた淫紋も影響しているのかもしれない。
こんな私に、こんなに言ってくれるなら、世話になってるんだしもういいじゃん?って軽く考えてしまいそうになるけれど。

気高く巫女をしていた頃を知っているムツキとそういう事になってしまうのは、何だか非常に気まずくて。

「――だ、大金星、上げてくれたらな。」

それは前回ムツキの言う事を全く本気にしないで一蹴するのに使った言葉だけれど、今回は非常に歯切れが悪く。
気恥ずかしいのでとっとと帰ろうとするが…

現物とは別に情報があると言うのを伝えてくれようとするならば、それは立ち止まらなければ。
あるいは衣服を頼んでいるのである。 ふと立ち止まって、普通に「採寸あるか?」と尋ねる事もするかもしれない。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2 道具屋」からレキ・キドーさんが去りました。