2023/01/04 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区/ 路地裏」にリサさんが現れました。
リサ > 平民地区の酒場が並ぶ大通りから脇に入った路地裏。
丁度酒場の裏になる場所で小さな箱に腰を掛けて行うのは酒場で使う食材の皮むき。

普段は依頼を終えては宿に引き上げているのだが、その日は依頼が見つからずに酒場でのバイト。
しかし給仕をやるには要領が悪く、逆に下準備は早いと完全に裏方に回されての作業をおこなっているのであるが。

「これは終わりですね。あとは……これですね」

慣れた手つきで野菜の皮を向いてしまえば籠に積み。
後はと見回すと別の野菜が入った大き目の木箱が一つ。
これもやっておくほうがと考えてはそこから一つ取り出し、鼻歌を歌いながら皮を向いて。

ご案内:「王都マグメール 平民地区/ 路地裏」からリサさんが去りました。
ご案内:「平民地区・大通り」にリラさんが現れました。
ご案内:「平民地区・大通り」にカティアさんが現れました。
リラ >  
ある休日の昼下がり。
黒を基調とした服に身を包み、夜色の髪を二つ結びにした少女が一人、中央広場にある大きな噴水の前で誰かを待っている。

「まずはえっと……それから……よし、大丈夫……」

そわそわと落ち着かない様子で、しきりに髪を指先で玩んだり、ポケットから取り出した手帳を何度も開いて見たり。
口に頬張った飴玉が忙しなくコロコロと音を立てた。
傍から見れば完全にデートで浮足立つ若者の姿そのものだろう。
もっとも、この人通りの多さでは気に留める者も少ないだろうが。

ちら、と時計を確認する。
待ち合わせの時間まで、あと15分くらい。
この場所に到着したのは今からさらに15分前のことだ。
軽薄そうな外見に反して生真面目が過ぎるのだった。

ナンパ男 >  
「へいカノジョ~♪ 今ヒマ?
 ヒマならさ、オレっちとティータイムをトゥギャザーしない?」

そんな少女の下へ、金髪を横に流したいかにもな男が歩み寄ってくる。
自身へと近付く気配に顔を上げた少女の表情が露骨に歪んだのは言うまでもない。
が、そんな事は構わずヘラヘラと笑いながらナンパの誘いだ。

リラ >  
「わぁ~、イケメンからお誘い受けちゃいました♡
 普段なら喜んで受けるとこなんですけど、今日は先約があってぇ……」

対する少女も慣れた様子で、お世辞を交えて躱そうとする。
一人の時ならさっさと逃げ出してしまうのだが、今は待ち合わせ中。
この場を離れて入れ違いにでもなったら大変なことだ。

簡単には引き下がってくれそうもないナンパ男に、どうしたものかと内心で頭を抱えていると───

カティア >  
 ――先日知り合った、リラという真面目な女の子。
 彼女に対して、カティアはそれこそ、やりたい放題、意地悪をして、イタズラをして、その心の壁の内側に入り込んで好き放題したわけなのだが。
 ずるずると勢いで押し流して、デートをしっかり取り付ける事に成功していたのだ!

(まあでも、本当にあんなに一生懸命準備してくれるとは思わなかったけど――)

 散々、『デート』だという事と、『エスコート』してね、と意識させまくった張本人が言う事か、というような事を考えつつも。
 自分の為に一生懸命考えてくれている様子は、とても愛らしかった。

(すっかり楽しみにしちゃってるし――はあ)

 以前から興味のあった子ではあったけれど、揶揄って遊ぶつもりが、反対に絆されそうになっていて、ちょっと気恥ずかしい気分だった。
 主導権を握っているつもりだったが――意外と、夜色の少女に自分の方が惹かれているのかもしれない。

(まあ――悪くないけど――?)

 待ち合わせ場所に、冬用コートと頭をすっかり覆うようなキャップを被って向かえば。
 そこには待ち合わせ相手と――見慣れない男。
 ただのナンパだろう事はすぐにわかる。
 カティア自身が顔を出せばそう、強情には迫ってこないだろう事も。
 けれど――。

(ふぅ、ん)

――――
――


「――その子、私のなんだけど。
 つまらない下心で、近づかないでもらえる?」

 足音もなく男の背後に近づき、その背中にアーミーナイフを押し当てる。
 ほんの少し力を入れれば、手入れをされたナイフはあっさり背骨の左側を滑って、心臓に刺さるだろう。

「警告はした。
 速やかに去るか、ここで死ぬか選んで。
 はい――三、二――」

 男の背後でその命を握りながら、周囲にも聞こえるような響きの通る声で警告と、カウントダウンを刻む――。