2022/10/21 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 路地裏」にアーシャさんが現れました。
アーシャ > 平民地区の大通りにある路地。
その中でも一際薄暗い路地裏がある。
今夜はそこに人影がぽつんとひとつあるのだが、大通りを歩く平民地区に住まう人々は誰も気にしない。

貧民地区の賑やかさが騒動というならな、平民地区の賑やかさはお祭り騒ぎ、とでも表現すればいいのか、ともかく平民地区の大通りはこの時間でも或いはこの時間だからこそ、真昼のように賑やかで行き交う人々の顔にも笑顔がある。

さて、何で今夜は貧民地区ではなく平民地区の路地裏にいるかと言えば簡単に言えば新しい住む場所が見当たらないからである。

だから野宿しても比較的安全だと思われる、少なくとも貧民地区より安全な平民地区の路地裏で、眠くなるまで時間を潰している訳で、財布が軽い現状だとする事もなく、もう欠伸を繰り返したり、時折路地の傍を通る人間の財布の重さを想像したりしかする事がない。

もちろん、誰かが路地に入ってくればそれとなく親切なふりをして財布を頂くか、尻を撫でるか、はたまた奥に連れ込むかするのだが、今はそれもなく、眠そうに眼を半ば閉じかけながら、手で口元をおさえ、くぅぁ…と欠伸を噛み締めるばかりであった。

「財布落ちてねぇかなぁ、それか金持ってそうな奴が酔っ払って寝転んでねぇかなぁー……。」

願望を口にするだけなら犯罪で無いし、無料である。
欠伸を噛み締めながらの独り言は他者には聞き取り辛いであろうが、聞かせる相手がいるわけでもなく、目元に生理的な涙を溜め込み、気だるそうな空気をまとって。

アーシャ > 此処で何時も考えるのは滑り込む帰省ならぬ寄生先。
ただ寄生先というカードは全てきってしまい、予備とかこんな時になんて思考に至らない貧民地区のストリートチルドレンは頭を抱えて悩むしかなかったのだった。

「ここは一発冒険者って奴になるか…?」

と口では強い事を言うと弱く見えてしまうのだが、実際に弱い、魔力もない、剣や弓の才能もなければ逃げ足の才能しかない、自覚しているだけでもその逃げ足とあえて言うなら愛嬌もあるがそれ以外に何にもない。

あと当然金もない。
金もなければ冒険者になる装備も整えられない。
整える資金があっても諸々使ったり返したりする宛てがあるので、結局ゼロー……。

ほんとどうすべきか、いっそ貴族の靴でも舐めて仕事をもらうか、いや娼館に頭をさげて雑用をさせてもらうか……。
どれも失敗する未来しかみえず、頭を抱えてしゃがみ込む。

実際そろそろ本気で何とかしないと、飢え死に……はともかくであるが、生きることに行き詰まりそうな気がしてならない……。

アーシャ > 「……まあ、試すだけ試す。或いは相談するだけしてみる。」

まあ、うん、まあ、そうだうん。
生活を一新できればそれに越した事はない筈。
気合を入れるために大きく息を吐き出せば、膝に力を入れて歩き出す……。

もちろん行き先は貧民地区。
まずは寝てから、貧民地区なら何処かしら寝れる場所はあるだろうと、一人貧民地区の路地のほうに消えるのだった。

ご案内:「王都マグメール 平民地区 路地裏」からアーシャさんが去りました。