2022/09/01 のログ
■フライア > のんびりし過ぎたのか、欠伸が込み上げる。
組んだ脚の上に肘をつき、手の甲に顎を乗せて思案する事暫し。
…誰かが上を見上げた時、そこにはただ空があるだけだった。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からフライアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にマヨリカさんが現れました。
■マヨリカ > 日暮れ前の大通り。雑多な人が行き交う表通りの一角。
間もなく夕飯時で開店時間が迫った大衆食堂…兼、簡易宿屋とでもいうようなお店の扉を押して内側から出てくる童顔な少女はしょんぼりと肩を落として。
「はぁ…ここはダメでしたか…」
辿り着いたその日は運よく拾ってもらってベッドで眠れたので、行き倒れにはならなかったけれど。
今現在、無職の身では早めにお仕事と住む場所を見つけたいところ、と溜息をひとつ。
文字通り違う世界から飛ばされてきてしまったので、このあたりの通りにどんな店があるのかも把握できておらず。
「住み込みでお願いできるところ…他はどんな感じのお店なら大丈夫でしょうかね…」
真っ先に思いついて、通りを歩いていたら目に入った先程の店。
悩みながら、ぽてぽてと小さな足音立てて通りをあてなく歩いてみて。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にセリアスさんが現れました。
■セリアス > まだまだ暑さの残る季節。
日の落ちるころでも、日中の名残か、じんわりと額に汗を浮かせながら。
自身の店である大通り沿いの雑貨商店の前、商会主であるはずなのに、
小間使いのようにぱしゃり、ぱしゃりと入り口付近に打ち水を撒いていて。
「おかしいですよねぇ。私一番偉い人のはずなんですがねぇ。
……いや確かに一番手が空いてるの私なんですけどねぇ。」
ぶつぶつと何事か文句めいた言葉を吐きながら、わりと真面目に乾き切った通りに丁寧に水を撒いていて。
そんな矢先、歩いてくる女性の歩む先を防ぐように水が飛んでしまえば。
周囲の人が濡れるような捲き方はしていないが、幾らか慌てて。
「ああ、すみませんね。濡れてはいませんかねぇ?」
へらりと人好きのする緩んだ笑みを浮かべつつ。
相手の恰好を眺め、あまり見かけない恰好ではあるが、随分と軽装だな、等と。
ついつい観察するような視線を向けてしまう。
■マヨリカ > 日暮れ時、少し前よりは涼しくなってきたとはいえ、出歩いているとまだ暑さを感じる。
「このお天気だったら、野宿しても風邪をひく心配はなさそうなのですけれど…。」
と言ってみるものの、さすがにそれは最終手段に回しておきたい気がする。
切羽詰まった状況の割には、ぼんやりとした面持ちで通りを歩いていたからか。
「――ひゃんっ!?」
足元に不意に水の飛沫が飛んできて、慌てて飛び跳ね。
見れば柄杓を片手にした男性が立っており。
「あわわ、いえ大丈夫ですっ。わたしもフラフラ歩いていたので…!」
打ち水なのでそう大量にかかった訳でもなく、前方不注意気味に歩いていたため、そこに人がいることも気づいていなかった。
頭を下げてからようやくその声の主を見上げて、整った見目と優雅な服装に目をぱちくり。
そんな彼が打ち水、というのが不思議に思えて訝しむ表情で見てしまうものだから、視線が合って慌てて再度ぺこりとお辞儀して不躾な視線を送った事を詫び。
■セリアス > 意図しないものとはいえ、行く道を遮るようなふうにしてしまったことを申し訳なく思いながら。
互いに互いを観察し合うような視線を送り合い。それが互いの瞳に重なるようになる。
それぞれが瞬き、先に相手が頭を下げるならば。
「ああ、いえ、いえ。此方も、注意が足りませんで」
お詫びの告げ合いになってしまいそうだなどとも思いながら、
彼女と同じく軽く頭を下げて見せる。
柄杓をからん、と水桶に放り込みながら。
「それと、幾ら暖かくても、この街で野宿はお勧めしませんよ。
貴女のようにお可愛らしい方は、すぐに何処かへ連れ込まれるか、危ない目に遭うでしょうから」
先程聞こえた彼女の独り言に、この王国に住む者としての意見を伝える。
治安もだが、倫理観も。乱れているのだ。
軽装で、かつ危機感の薄そうな女性が一人。野宿などすれば、結果は大概知れている。
■マヨリカ > 交錯する瞳に映ったその人が随分と整った容貌をしていたからか、
まだ見知らぬものばかりの土地で注意力散漫になっていた事に自分で恥ずかしくなったのか薄っすらと耳元を染めつつ、ようやくお辞儀の応酬みたいなやりとりから視線を持ち上げて。
「…ぁ、はい。あまりまだ知らない町で野宿はできれば止めておこうかなー…とは思っているのですけれど。
住む場所が…いえその前にお仕事がなくって探しているところ…だったりします。」
社交辞令の可愛らしい、にすら思わず頬を染めかけて。
余裕ができて周囲を改めて見れば、商会らしき構えの店の前にいた事に気づいて。
お邪魔にならないかな、と道の端に寄りながら。
「ええと…お兄さんはこのお店で働いているひとなんでしょうか。
店主さん、誰か下働きのひととか探していたり…しますかね?」
よもやその人が店主どころか会頭であるとは思わず、そんな問いかけで首を傾け。
■セリアス > 落ち着いた色合いの青に、己の赤い視線を重ねながら。
彼女の耳元がいくらか朱を滲ませていけば、へらりと、相好を崩して。
それで、互いに気にしないようにしようというふうに軽くひらひらと手を振って見せる。
「おや。それはまた、お困りでしょうねぇ」
改めて彼女の出で立ちを見遣る。
そもそも冒険者などは定住していない者も多いし。
住むところが無くなる事情も、珍しいというほどではない国だが。
それにしても、着の身着のまま追い出されたにすればもう少し荷物があってよさそうなもの。
それもあまり見当たらず。
仕事も無いとなれば、どういう境遇なのかとも思い、また彼女を観察するようにしてしまいながら。
けれど、今、気遣うように店の入り口前を譲ったことや。
今受け答えする内容や、先程の謝罪の様子。
出来ることが無い故の無職にも見えず、はて、と。首を傾げ。
「……ああ、申し遅れまして。私は、セリアス・ストリングス。
此方のストリングス商会の雑貨商店のオーナーで。……オーナーなんですけどねぇ。
下働きですか。ふむ……」
大仰に胸に手を当て一礼。そうして自己紹介しかけて――なんでオーナーが小間使いじみたことをと。
再度自問自答してしまいながら。
働き手を探していないかと言われれば。探し回るほど手が無いわけではないにしろ。
女性一人、雇うようにするくらい。格別不都合はないがと、顎を撫でて。
■マヨリカ > 「お部屋を貸していただけそうな場所といえば、宿もやっている食堂かなぁ…と思ったのですけれど、生憎と先週人を入れたばかりだったみたいで。」
それが店主の言い訳だったのかどうかは分からないが、兎角あてが外れてしまったらしい。
不審人物とまでは言わないまでも、軽装でふらふらとおのぼりさんのように歩いていれば周囲からはある程度浮いている事だろう。
そも、冒険者をやるような戦闘力どころか、体力も人並みかそれ以下程度にしか無さそうに見えるであろう華奢な手足ではできる仕事は限られているが。
「わたしこそ、名乗らずにすみませんっ。
マヨリカといいます。
…えっ。オーナーさん、だったんですね。
いきなり気安くお願いしてしまって…。」
ダメ元、くらいのつもりで声をかけた人の肩書に驚きつつ。
「この間までは雑貨屋さんでお仕事していたので、簡単な計算とか品出しくらいでしたらできるかと…。あっ、それ以外でも頑張りますのでっ。」
それが本当らしく聞こえるかはともかくとして、どうでしょうか?と伺うように。
■セリアス > 「そうですねぇ。住込みでとまで考えたら、食堂付きの宿は都合がよいでしょうねぇ」
もっとも、だからこそ信用のおける者から雇われるだろうし。
飛び込みの売り込みで雇われようとすれば、条件も足元を見られるだろうけれど。
そう考えれば穏便に話が済んだだけ、彼女が寄った店は良心的とも言えるだろうか。
名乗りを受けながら、此方の肩書に恐縮するような彼女にはまた、ぱたぱたと手を振って。
「まぁ、水撒きをやらされる程度なので、気安くて大丈夫ですよ。
……ふむ。宜しければ、とりあえず店の中でお話をお伺いする形でも?」
そう言って、半身を引いて。
店への入り口を彼女に示してやる。
普通に雇って便利ならよし。そうでなくても――
それこそ、若い娘であれば。需要など、この国では溢れかえっているようなものなのだし。
そんな男の思惑は、彼が浮かべる笑みから、彼女が読み取れるかどうか。
■マヨリカ > 「もうちょっとビシッとした格好じゃあないと難しいんでしょうかねぇ…
飛ばされたとき着てたもの、これしか無いので…」
着の身着のまま、というか普段着そのまま、といった様相の町娘の恰好では体よくあしらわれても無理もないかも知れない。
「ありがとうございます。
…オーナーさんのお店でしたら、皆さん楽しく働いていらっしゃいそうです。」
オーナー自ら水撒きする環境をどう受け取ったのか、小さく微笑みつつ。
促されれば小さく会釈しつつ、彼が示した扉を押して店内へと。
その相手の笑みの下にある思惑はどこまで汲み取っているのか、そうでないのか。
相変わらずどこか緩そうな表情で――
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からセリアスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からマヨリカさんが去りました。