2022/05/15 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からキールさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にナータさんが現れました。
■ナータ > 雨上がりの深夜。
今日は仕事―――配達配送―――は午前中のみだった。
早めに宿に戻り惰眠を貪ったりもすれば、まあ……
こんな半端な時間に目が覚めるのも仕方ないか。
少女はベッドから起きるといつもの装いで街に出る。
何のことはない。
暇つぶしの散歩、というわけで。
ほとんどの店は閉まっているが、ちらほらと飲み屋や娼館の灯は灯っている。
どちらも少女には関係のない場所だけれど……
それをチラリ見つめながら、当てもなく歩を進めて
■ナータ > やがて散歩を終えた少女は宿に戻り―――
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からナータさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にナータさんが現れました。
■ナータ > 「ふわ……あふ……」
夜半に宿に戻った少女。
となれば起床が昼過ぎになることも当たり前だったのかもしれない。
硬すぎる、薄い毛布一枚の寝床から体を起こし、しばしぼーっとして。
今日は仕事も休みだし、さりとてすることもなし。
漸く頭に血が戻り、目が覚めたのを自覚するとベッドから出る。
一張羅でもある普段着、薄手のコートを身に纏って。
何のことはない、決して治安のいいわけではない安宿
全財産をもっていかないと例え着古した下着さえ盗まれてもおかしくないから。
宿に食事はついていない。
コートのポケットに入った小銭の数を右手で確認しながら
路地へと進む。
大した食事はとれないが、せめておなか一杯に、と思いながら
通いの安食堂が空いていればいいな、と内心に止めて
■ナータ > 結局いつもの安食堂で腹を満たした少女は宿へと戻り―――
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からナータさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にレイリエさんが現れました。
■レイリエ > 「―――では、失礼致します。
またどうぞ、よろしくお願い致しますね。」
一礼と共にそう述べて、受け取った小袋を片手に一軒の店を後にする。
金の髪と長い耳を持ったエルフの女は、手にしたその小袋を肩から掛けた鞄へと仕舞い込み、
代わりに取り出した一枚の紙片へと視線を落とす。
依頼された魔道具の納品、講義で使う魔法薬の材料、その他野外探索で用いる消耗品の調達―――
紙片へと記載された要件を一通り終えた事を確認すると、ほぅ―――と小さく一息吐いて。
「思っていたよりも早く終える事が出来ましたし………。
折角だから戻る前に少し、この辺りを見て回ってみようかしら。」
そんな独白と共に当て所なく足を進めながら、周囲の光景を見回してみる。
目に付くのは食べ物の屋台に装飾品の並べられた露店、店先に並ぶ色とりどりの看板―――
中には裏通りへの入口付近に掲げられた如何わしげな看板も目に付いたものの、
それらひとつひとつを眺めながら、興味を引くような、或いは女にとって有益になりそうなものを探して。
女の足取りは緩やかに、多くの人々が行き交う大通りの中を進んでゆく。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にオルトゥスの棺さんが現れました。
■オルトゥスの棺 > 色とりどりの看板。
食べ物の香ばしい香りや、目を愉しませる装飾品の輝き
中には、こんな場所で売っていてもいいのかと思わせるような値打ちものもある。
それらの中のひとつ。魔法道具などを並べている――と自称する屋台があった。
尤も、エルフの女の目から見れば、どれも玩具程度だろうけれど
露台の隅に、ひとつ、黒い箱があった。
それが彼女にとって有害か、有益かすらわからない匣。
ただ、何かを秘めていることだけを伝えているだけの存在。
複雑に入った切れ込みから零れる温度のない白い光。
それに注目しているものは誰もいない。
――もし、女が視線を逸らせば、きっと何もなく見過ごされて終わるだろう。
『レイリエ――』
けれど、名前が呼ばれた気がした。
男性とも、女性とも、知人とも見知らぬ者とも判然としない「声」。
本当に名前が呼ばれたかもわからない。
だって、その声は女にしか聞こえなかったんだから。
■レイリエ > 「―――あら………?」
そんな最中、ふと女の目に付いたのはひとつの屋台。
看板に掲げられた謳い文句と、其処に並べられた品々を見て女の足が止まる。
それらは確かに、何れも簡素な品でありながらも魔法具と思われる品々で、
その内のひとつを手に取っては興味深そうに眺めていたのだけれども。
「………えっ?」
不意に、名前を呼ばれた気がして視線を上げる。
忙しなく周囲を見回してみるものの、知己と思しき人物の姿は何処にも無く。
気の所為でしょうか、と首を傾げて視線を戻そうとした折に、其れが視界へと飛び込んだ。
屋台の隅にひとつ置かれた、黒く滑らかな質感を持った箱。
他の魔法具とは一目見て判る程に異質な、何処か不気味さすらも感じさせる其れ―――
にも拘らず、其れを手に取ろうと伸びる指先を、如何してか制する事は出来なくて。
■オルトゥスの棺 > 淡い緑色の眼差しが、他の何処にも向くことを許さないように。
その箱は、静かに光を零す。
まるで光の粒子が一粒ずつ見えてしまいそうな程の光の薄片。
滑らかに磨かれた表面に、細長い指先が触れた刹那だろう。
―――かしゃ。
澄んだ音が響く。
二度目の呼びかけの代わりのような、金属音。
同時に箱が、開いていく。
まるでパズルのように金属片が滑り、組み変わり、展開していく。
その場の誰も見えていない。手に触れた女にだけ見えるそれ。
『ようこそ――』
毀れる声。同時に、光がいっぱいに視界を埋め尽くしていく。
その場のすべてが白に塗り潰されて―――。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からオルトゥスの棺さんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からレイリエさんが去りました。