2021/11/22 のログ
ご案内:「酒場 平民地区2」にストーンさんが現れました。
■ストーン > ここは平民地区の外れにある安宿の一つ。
口数の少ないマスターが経営する小さな宿だ。
冒険者向けの依頼の受付なんかも兼ねているのが特徴で、
主に街の中で片付く様な小さな依頼がやってくる。
依頼の中には鬱憤の溜まった依頼主の話を聞くだけなんてちょっと変わった依頼もあったりする。
で、俺はそんな不意にやってくるおこぼれにあやかろうと店の中で酒を飲んでいる中の一人だ。
顔が広い冒険者となると指名が入ることもあるそうだが、俺のような新参者はこういった場所に
足しげく通うことから始まる。
ご案内:「酒場 平民地区2」にタピオカさんが現れました。
■タピオカ > 無口なマスターがカウンターでグラスを磨く安宿に、小さな人影が訪れた。小柄で腰に曲刀を帯び、裏打ちされた厚手のフード付きマントを纏っている。歩くたびに褐色肌の足元が巻きスカートから覗く。
マスターに近づくなり、2、3、言葉を交わす。
すると親指で示されたのは、お酒を嗜む筋骨逞しい金髪の男の人。すたすた、近づいていき。
「こんにちは、お兄さん!
僕はタピオカ。冒険者!お兄さんと同業だよ」
フードを払いのければ、短い銀髪を軽く揺らし。
にこやかな笑みで挨拶をし。
「マスターに聞いたんだけど、お兄さんは魔術的な痕跡を目で見る事ができるってほんと?
もし本当なら、依頼を手伝ってもらえないかな。
やってくれるのなら、報酬は半分こ。
興味があるなら、詳しく説明するよ!
報酬額は――」
そう告げて、懐から依頼書を取り出す。
取り出すだけで、まだ広げはしない。
報酬額を口にする。
金額にして、もし彼が受けてくれるのならひと月は遊べるだろう。そんな額だ。
■ストーン > 「おう、元気そうな子だな。
タピオカってのか。
俺はストーンってんだ、宜しくな。」
明るく綺麗な声をあげる少女らしき冒険者に視線を向け、俺も名を名乗る。
どうみても素直そうに見えたし、同業となれば顔を繋いでおくことは大事だ。
「ああ、そうだ。
だから普段は失せもの探しなんかをメインにしてるんだが。
せっかく君みたいな可愛い冒険者が声を掛けてくれたんだ。
是非とも手伝わせてもらおう。」
俺は向かいの席に座るよう、少女へ促した。
少女が言うには暫く遊んで暮らせるような高額だ。
俺が今まで受けてきた依頼とは比べ物にならない。
「と、中身も見ずに首を縦に振ってはいるが。
実際どんな内容なんだ?」
俺は店員に声を掛け、少女に飲み物を持ってくるように頼んだ。
すぐに温かい紅茶が差し出される。
■タピオカ > 「よろしく!
僕より人生の先輩だと思うけど、さん付けとか苦手だから。
ストーンって呼ぶね!」
人間は皆、兄弟姉妹。遊牧民の出自故の気安さで、貰った彼の名を親しく呼び。
「あは……!可愛いなんて、言ってくれるの嬉しいな!
ありがと、話を聞いてくれて。
……ふふ。だいじょうぶ。悪どいだまし討ちはしないから。
内容を聞いてから断ってくれてもいいよ。
依頼内容だけど――」
促されるまま、向かいに腰を落ち着け。
あたたかい紅茶を手配してくれる親切さにもお礼を告げると、マントを椅子の背もたれへ。白の半袖リネンチュニック姿になれば、依頼書を広げる。
依頼書には人探し依頼、とある。
貧民地区に暮らす老錬金術師が苦心して作り上げた人間の子供そっくりのホムンクルスが脱走してしまったらしい。大人しいが魔力的に不安定な存在らしく暴走する可能性があり、早急に見つけて連れ帰ってきてほしいとのこと。
ホムンクルスは未完成で、歩くたびに微弱な魔力を残す模様。そのため、彼の魔術痕跡視認スキルで追跡の協力をお願いしたい。
時々紅茶を口にしつつ。かいつまんで説明をすれば、そんな具合で。
そうして依頼内容を明らかにした後、どうかな?と言いたげに青緑の瞳を上目遣いにして。
■ストーン > 「構わんさ。
そっちの方が冒険者としては先輩だろうからな。」
身に着けている装飾品や身体的特徴から街の外に居ると言う遊牧民の出身であろうと推測した。
実物を間近で見るのは初めてだが、気さくな性質らしい。
俺としては気楽に話せそうな相手が出来たことで気分が良い。
俺はタピオカが依頼内容を話し終えるまでの間、静かにグラスを傾けていた。
緊急の依頼だから報酬が割高になっているとのことだ。
彼女の宝石のような瞳を覗き返しつつ口を開く。
「当然受けるが、暴走しだした時はどうなるんだ?
俺ら二人で抑えられるような相手でないと大変だぞ?
荒事の類は俺はそれほど特異じゃないからな。
君はどうやら腕に自信がありそうに見えるが。」
グラスを傾けつつ、唯一の懸念事項について尋ねる。
元より断ると言う選択肢は俺にはなかった。
だが受ける以上出来る限り不安要素は取り除いておきたい。
■タピオカ > 金髪の奥に覗かせる落ち着いた青い瞳を見ながら仔細を告げていく。それはどことなく海を連想させられた。
グラスを傾けつつ、依頼内容に納得の色を見せる彼へ嬉しそうに目元を緩める。
と、同時に万が一の事態への対処方法を尋ねるために語尾を上げる彼へ、どこか気恥ずかしそうに少しばかり視線を反らしてから。再び相手の青、見上げ。
「これでも剣の腕には自信があるよ。
1対1なら誰にも負けない。
僕の剣で押さえつけられるならそれで良し。
でも……。ホムンクルスが隠れてる貧民地区が吹き飛んでしまいそうなぐらい暴走してしまった時に備えて依頼主から、秘密兵器も預かってるんだ。
……これ」
座ったままで逆手に曲刀の柄を握り。チャッ!一瞬で鯉口を切って真上に持ち上げ、鈍く光る刀身を一瞬見せた後に抜いた時よりも早く戻す。そんな仕草で自分の剣技を示しつつ。依頼人より預かった奥の手を差し出した。
それは小さな桃色の宝石のようなもの。――それはちょうど、彼の魔法銃の弾丸と同じサイズのものだった。
「これをそのホムンクルスの近くで割ると、まわりに小さな結界が生まれて強制停止できるんだって。
ただ……。結界が強力すぎて近くに居る生身の人間にも影響しちゃうらしいんだ。えっと……、とても強力な媚薬効果が出ちゃうらしいの……。
僕とストーンが近くに居たら……、……その……。
――そんな危険も承知の上で、受けてくれる?」
暴走しだした時の対処法は確保してあった。
ただ、実行すれば催淫効果を発揮してしまう。
彼と行動を共にすれば、その結果は然り。
頬染めながら、心細そうにその宝珠を指先で触れ。
■ストーン > 「そりゃあ何より。
なら前衛が要る様な仕事の時はこちらからも声を掛けさせてもらおう。
おまけに奥の手もあるのなら最高だな。」
何故か気恥ずかしそうな少女だが、剣を手にした時の動きは無駄がない様に思えた。
余程回数を熟したであろう洗練された剣捌きはとても心強い。
俺は頼もしい冒険者の知己が出来たことに喜び、思わず声が弾んだ。
「…そりゃあまた随分と恐ろしい副作用だな。
まあ、使わないにこしたことはないがいざとなれば仕方ないだろう。
とは言え俺の方は断る理由はないな。
タピオカの為なら喜んで受けさせてもらおう。
こっちこそ宜しく頼む。」
宝珠を触れる褐色の小さな指に俺の手を添える。
優しく手の甲を一撫でしてから、少女の頭に手を載せ。
銀色の髪を摩りながら受託の意を彼女に伝えた。
「でだ。契約成立したからには今すぐにでも出発するか?
それとも他に打ち合わせがあるのならそれでも構わないぞ。」