2021/11/12 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にリコリスさんが現れました。
■リコリス > 仕事の報酬を貰い、とりあえず一杯飲もうと立ち寄った小さな酒場。
入ってみるとまばらな客に、一人寂しく飲むことになるのかと少しがっかりしたものの、
よく店内を見れば隅の方に、一人で飲んでいる女の姿。
リコリスは注文したウイスキーを受け取って、その席へと赴く。
「相席しても?」
そう声をかけてから、どかりと椅子に座り、酒で口を湿らせて。
そして改めて女を見れば、服装はどうにも踊り子のようで。
「なんだ、踊り子なのに踊ってないのか?それとも踊り終えたところか?」
一緒に持ってきたチーズをつまみながら、そんなことを聞いてみる。
■アイカ > 容器の中身もそろそろ空になろうかという頃、相席の声を掛けられて視線を向ける。
そこには黒髪をツインテールにした長身の女の姿があった。
頷くよりも先に腰を下ろす様にちょっと笑って。
「ご挨拶ね。さっき踊り終えたところよ。生憎観客はあまりいなかったけど」
頬杖をつき、ちら、とこの店の舞台であるスペースを一瞥する。
今は誰の姿もなく、それを囲むように置かれたテーブル席には男たちが疎らに座って酒を楽しんでいた。
「貴女は? お酒を飲みに来ただけ?それとも踊りを見に来たのかしら」
後者ならお生憎様、と言いながらじっとその容貌を見つめる。
ここいらでは見ない顔だ。他国、恐らくシェンヤンの方出身だろうか。
そう当たりをつけて瞳を細める…
■リコリス > 「そりゃあ残念。…………まぁ、こんな店じゃあな」
最後は相席の女にだけ聞こえるような声で呟きつつ、リコリスは店内を見る。
こんな小さな店なのにこの席の空き具合では、日頃も大して儲かっていないのだろう。
それでは、観客がいないのも仕方がないか。
「仕事の報酬が入ったもんでね、とりあえず手近な店で一杯やりにきた。
それ以上のことは特に考えてない」
ぐい、とまた一杯ウイスキーを呷る。
金は持っているので、もっと良い店で飲むことも出来たが、日中にも仕事をしており少々疲れていた。
なので手近な店で軽く酔ってから休む予定だったのだが…。
「…はん、私の顔が珍しいか?」
視線に気付いて、リコリスは笑う。
■アイカ > 最後、自分にしか聞こえない程の声にふふっと笑う。
ちら、とカウンター内の店主を見るも、やる気なさげにグラスを洗っているだけで此方に目をくれる様子もない。
「へぇ。それはお疲れ様ね。でも探せば此処より美味しいものが出る店、沢山あるわよ?」
ここはそもそも店の程度が低い。リコリスの推測は間違っていなかった。
そんな店で踊る自分も褒められたものではないが、専属ではないからいい。
「ん?……まぁ、そうね。この辺りじゃあまり見ない顔ではあるわ。
それに綺麗だし……見惚れちゃった」
問われて、あっさりと素直に白状する。ふふ、と悪びれず微笑む瞳。
「アイカっていうの。この辺りで踊り子をしてるわ。貴女は?」
■リコリス > 「知ってる。でもたまには知らん店に来てみるのもいいかと思ったんだが、アテが外れたらしい」
もっといい酒を出す店も、もっといいつまみを出す店もリコリスは行った事がある。
それこそ富裕地区の高級店にだって。
ここは、どちらかと言うと貧民地区にあるのに近い、安かろう悪かろうな店なのだろう。
「シェンヤン生まれだからな。そりゃあ王国の人間とは顔が違うだろう。
見惚れたなら抱かれてみるか?」
にやにやと笑みを浮かべながら、女は返す。
「リコリスだ。仕事はまぁ…雇われて色々やってる」
冒険者ではないが、嘘は言ってはいない。
にしても、とリコリスは続ける。
「どうにも何か悩んでいるように見えたが、どうかしたのか?」
■アイカ > 「ふふ。いい経験になったわね。…って、今さっきここで踊ってお金貰った私が言える身分でもないか」
失言だった、と微笑み、容器を口に運ぶ。
安かろう悪かろうというのはまさにその通り。
店主も恐らく新規客の開拓を兼ねて自分のような踊り子を雇ったのだろう。
効果があったかはさておき、この調子では長くは続かないのは明白。
「あぁ、やっぱりシェンヤンか。…ふふ、いいわね」
抱かれて、という言葉に反応し、此方もにやにやと笑みを返しながら乗り気の言葉を返す。
だが問われれば瞬き、さっきのことを言っているのだと知ればあぁ…と声を上げた。
「大したことじゃないわ。踊りの内容について、ちょっと悩んでただけよ。
新しい風を入れるべきか…みたいな」
■リコリス > 「はは、金をちゃんと貰ってるなら雇い主は大切にしとくんだな」
リコリスは苦笑する。
まぁ、悪い店なら悪い店で酔うだけ酔ってから家に帰ってぐっすり寝る予定だったのだが。
しかし、こうして話し相手が見つかったのはいいかもしれない。
「踊りの内容な…と、言っても私はそれを見そびれたんだが。
まぁ、新しい事が出来るようになるのは悪くはないんじゃないか?」
不評なら戻せばいいだろう、と。
■アイカ > 「そうね。…まぁ、この店は多分これきりだけど」
王都内の酒場を巡る踊り子として生計を立てている身。
他の店での仕事もあることだし、ここに縛られるというわけにもいかない。
それに客もあまり呼び込めなかった。
ならばお役御免だろうと肩を竦める。
「まぁ、それは確かにそう。でもね…誰かを参考に出来ればと思うんだけど、中々そういう知り合いもいないから困ってるのよね」
はぁ、と溜息を吐きながら、グラスの中にある残り酒を飲み干す。
■リコリス > 「なら別にいいが…」
金を貰っていないのに気を遣う義理も無いだろう。
縁の切れ目というやつだ。
自分だって、契約中は大切にするが契約終了後は知ったことじゃない。
「なるほど…。残念だが踊り子の知り合いは私もいないな。私も踊りはさっぱりだ。
だが演武とかなら出来んでもない。所謂シェンヤン武術だ」
シェンヤンには長い歴史を誇る武術文化があり、リコリスも暗殺者であるので当然いくつか習得している。
最も、あまり見せびらかしたことは無いが。
■アイカ > 金の切れ目が縁の切れ目。
この王都であればそういう仕事も数多いのだろう。
自分もそのうちの一つというだけの話だ。
「演武……成る程」
シェンヤン武術。生憎とこれまで見たことはないが、舞踊も武術も似ているところは似ている。
何かの参考になるかもしれない。少し考えた後、女は顔を上げる。
「……面白そうね。良ければ今度、機会がある時にでも見せてくれないかしら。
何かの参考になるかも…」
■リコリス > 「勿論いいが…踊りを見せてくれたらな。次はどこの店で踊るんだ?」
知らなかったとはいえ、踊りを見そびれたのはやはり残念な気持ちになっていて。
幸いお金ならあるのでしばらく依頼を受けなくても済みそうではあり、
彼女の予定に合わせて見に行くことも可能だろう。
リコリスは頼んだ分、最後の一杯を飲み干す。
本格的な泥酔にはまだまだ全然足りないが、気分は良くなった。
「まだここで飲むか?アイカ嬢」
相手のグラスも空なのを見て、まだ何か頼む気なら付き合わんでもないと。
■アイカ > 「次の踊り?いいわよ。ええと、次は確か…」
そうして上げたのは平民地区の真ん中辺りにある、これまた小ぢんまりとした酒場。
だが此処よりは客入りが良く、それなりの収入が見込める場だった。
待ってるわ、と微笑みを相手に向ける。
「……いや。そろそろ帰ろうかな。良ければ途中まで一緒にどう?」
そう問いかけ、ゆっくりと立ち上がる。
代金をテーブルの上に置き、一息ついてから誘い掛けて。
■リコリス > 「また小さい所だな…でもここは知ってる。つまみが美味い。
特にクラッカーにクリームチーズと色々載せたヤツが」
そこなら、休暇を過ごすのにも、彼女の踊りを楽しむのにも申し分無い。
微笑みに、笑みを返す。
「異存は無いね。しかしこんな時間だ。どうせなら家まで送るさ」
リコリスも立ち上がり、代金を置く。
そして、二人連れ立って、店から出ていくだろう…。
■アイカ > 「まぁ、食事を楽しむも踊りを楽しむも自由よ。
ただ折角だから少しは、私の踊りも見てほしいわね?」
ふふ、と冗談めかして言ってのける。
共に立ち上がり、代金を置いて2人揃って店を後にした。
「あら、ご親切に」
送るという言葉は断らず、さほど遠くもない自宅まで送ってもらったことだろう…。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からアイカさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からリコリスさんが去りました。