2021/10/05 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にリュエさんが現れました。
■リュエ > 平民地区の中でも、中心部の大通りから程遠く離れた外れの区画。
大小様々な建物や邸宅の塀が不規則に立ち並び、まるで迷路の如く入り組んだ裏路地の一角で。
「 ... えぇと ... 渡されたメモによれば、確かにこの辺りの筈なのですが ... 」
周囲の景色と、手にした小さな紙片とを交互に見比べながら、深い青色の瞳をきょろきょろと忙しなく巡らせて。
先程から分かれ道を進んでは、同じ場所へ辿り着くのを繰り返している娘がひとり。
その身に纏った紺色地のエプロンドレスは、同じ平民地区の一角にある道具店の従業員が着ているもので、
見る者が見れば店の使いの最中であることが伺い知れようか。
けれどもそれ以上に、その使いの最中で道に迷ったであろうことは最早誰の目にも明らかだった。
■リュエ > 「困りました ... 早くお使いを終えて、お店に戻らなくてはいけないのに ... 」
そんな焦りからか、戻って来た分岐路の先程とは別の道を足早に進むのだけれど、
その先に待ち受けていたのはまたしても無数に枝分かれした分岐路で。
初めにこの辺りを訪れた頃には疎らだった筈の人通りは気が付けば殆ど無く、誰かに道を尋ねることも叶わなくて。
最早手許の紙片に綴られたメモに頼ることすら諦めて、直感で選んだ道を先へ先へと進んでゆく。
「 ... たぶん ... こっちの方向、の筈 ... 」
弱々しく、けれども自分自身を納得させようとするようにそう呟きながら。
しかし娘が進めば進む程に周囲から人の気配は薄れ、灯されていた筈の街灯も疎らに薄暗くなり始めていて ...
■リュエ > もう幾つ目になろうかという分岐路を進み、幾重にも曲がりくねった角を曲がったその先はもう、街灯の届かない暗闇で。
その様子には流石に娘も立ち止まり逡巡する様子を見せたのはしかし束の間。
元来た道を引き返すことはせず、意を決したように握りこぶしを作ったかと思うと、
暗闇に閉ざされた裏路地を一息に駆け抜けようとブーツの靴音を鳴らして走り出す。
そのまま緩く波打った淡い青色の髪を靡かせながら娘の後ろ姿は暗闇の中へと消えてゆき、
その中を駆け抜ける足音もやがては遠ざかり消えていった ...
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からリュエさんが去りました。