2021/09/19 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 冒険者ギルド」にイファさんが現れました。
■イファ > 王都の夜空に丸い月が浮かんだ夜。平民地区にある冒険者ギルドは、丁度併設された酒場の一番賑わう頃。
依頼から帰還する冒険者たちがギルドカウンターへ報告をしたあと、次々と酒場の賑わいに加わって行く。
只騒がしいだけではない。情報交換の場でもあるため独特の騒めきで満たされたそこは、一般の酒場しか知らない者からすれば不可思議かつ魅力さえ伴うこともある。
―――そのギルドへ、また一人、夜風と共に足を踏み入れる者が一人。
黒髪に黒いスーツ、赤褐色の肌、紫陽花色の瞳。
夜から抜け出してきたような容姿の女は、酒場の賑わいを横目に真っ直ぐに依頼掲示板へと向かう。
丁度この時間は、依頼掲示板の更新が一通り終わる頃でもある。
(――――…無いな)
さらりと内容をひと通り攫って、女は密かに溜息をつく。
これと言った特殊な技がない女は、力押しの仕事にしか今は能力を発揮できない。
何か魔物討伐等と言った単純な仕事があれば、と思ったが、今夜は空振りのようだった。
項垂れていても始まらない。次は爪先をギルドカウンターへ向けてキビキビと歩いて行く。受付の男に軽く頭を下げると、生真面目な顔のまま、生真面目な声を掛けた。
「すまない、もし知っていればだが
誰か、戦士を必要としている者たちを知らないか?
……できれば、あまり戦場とは縁遠い方向で」
女の視線は期待が籠ったものというより、只問い合わせるもの。
視線を受けた受付の男は一度瞬いた後、「どうだったか…」と呟き手元の資料をめくり始めた。