2021/06/04 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にダフネさんが現れました。
■ダフネ > そぼ降る雨にけぶる夕刻、広場の片隅に停まった乗合馬車から、
いちばん最後に降りたのは、やむにやまれぬ事情のせいだ。
雨の夜とは言え、それほど寒くもないけれど、
借り物のぶかぶかとしたマントをすっぽりかぶり、明らかにサイズの大きな木靴をゴトゴト鳴らし、
おまけに昼間、不埒な誰ぞの視線で≪育て≫られてしまった乳房が、
まだ、戻る気配も見せないありさま。
つまり、普段の状態からはほど遠いため、体のバランスをとるのにもひと苦労なのだ。
「よっ、……と、とぉ、ちゃ、くぅ」
ごとん。
ようやく地面に足をついて、ふう、と肩で息を吐く。
とりあえず、何はなくとも宿を探さねばなるまい。
雨降りでなければ屋根の上でも、公園のベンチでも構わないのだけれど、
さすがに今日は、ふつうに屋根のあるところで眠りたいものだ、と思うので。
「んー……あー、でも、お金なかったなぁ」
お金がなければ、ふつうの宿には泊まれない気が。
さて、どうするか、といちおう考え中ではあるのだが、顔はのんきそのもの。
マントの下に隠した翼まで、ぱたぱたお気楽に揺れていた。
■ダフネ > 「―――――面倒だな」
呟き落とすや、まずは重いばかりの木靴をその場へ脱ぎ落とす。
素足で濡れた石畳を踏みしめるのも、もう慣れたものだ。
空を振り仰ぎ、少しだけ考えたものの、マントもその場で放り出した。
主に胸元あたりがはち切れんばかりになった、白いワンピース姿。
ばさ、と背に戴いた翼をはばたかせ、
「とりあえず、上から探してみるか」
ふわり、浮き上がり、飛び立った曇天の空。
あてなどないけれども、きっと、たぶん、どうにかなるだろう、うん。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からダフネさんが去りました。