2021/05/25 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にクルサオルさんが現れました。
クルサオル > 朝日が昇り、街を照らす。
暖かい日差しが差し込むと同時に鶏の鳴き声が聞こえる。
同時に、動物たちも起きる時間で、人間たちも起きる時間になった。

「ふ……ん、んんぅ」

勿論、その者が寝ていた冒険者の宿―――のすぐ後ろの馬小屋にも光が差す。
金を節約するために馬小屋を借りるのは貧乏な冒険者にはよくあることだった。

「朝か……顔洗いに行こ……」

無防備な姿をさらしながら目を擦り、傍に置いてあった剣だけはしっかりと持って歩きだす。
早寝早起きはいいことがあるが、昨日は早寝していないのでたくさんは眠れていなかった。

「朝ご飯どうしよっかなぁ」

そうぼやきながら懐から財布を取り出す。
……まぁ、そこそこあるが、それでも切り詰めていく必要があるのは間違いなかった。

さて、そんな風にしているがその者の姿はとても馬小屋に住むような貧乏人荷は見えなかった。
男かも女かもわからないほど美しい美貌。それに比例するかのように美しく、長い紫色の髪。
手足はすらりとしていて、しかし確かに鍛えられているのがわかる。
パッと見性別がどっちかはわからないが……どっちかに決めつけてもおかしくはない存在。
そんな者にこんな朝早くから声をかける者はいるのだろうか。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にタン・フィールさんが現れました。
タン・フィール > 「~~~♪ んーーーっ、今日は、どうしよっかな。
お薬に使える野草をとりにいこうか…レアものがあったら、お店で仕入れちゃうのもいいかもっ」

冒険者用の宿の、通常料金や上位の料金の、一人用やパーティ用の個室…
ではなく、相席や雑魚寝が基本の低ランクの2人部屋。

手持ちの金は十分ではあったが、部屋数の都合でそこで一晩すごすこととなった薬師の子は、
素っ裸に大きめのシャツを一枚来ただけという、
寝間着そのままのような格好で朝日を浴びに表へと出てきて…

とてとてと宿の周りを散策したり、新鮮な井戸水で顔を清めたり、
そうするうちに馬小屋にて、とても馬の世話をする地元の人…
とは思えぬ容姿のシルエットを赤い瞳が捕らえて、
興味深そうにとてとてと歩み寄っていく。

そのすらりとした長身や、遠目からも判断できる整った美貌。
おとこのひと?おんなのひと? 騎士さまかな? ちょっと、なつかしいニオイもするかも…

様々な好奇心を揺さぶられて、けれど、あっけらかんと朝の挨拶をするタイミングものがしてしまい、
こそ、こそり、少しずつ物陰を伝って相手の姿をまじまじと見つめる。

「ぅ~~~ん…かっこいい、おんなのひと、にみえる。
かみのけとかー…もしかして。ヒト…じゃない?」

仕事柄、魔物の生体にも詳しい幼子は、相手の姿の各所から、
ヒトならざる…しかし、これといった害意がなさそうなことを不思議そうに観察して。

クルサオル > 「……ん、ふぅ」

顔を水道で洗い流して、喉をその水で潤わせる。
平民地区の水など、大して美味くはないし、ただ消毒されているだけだ。
それでも喉を潤すだけなら十分だった。

「……ん-……」

もう一度、自分の財布を見て。
朝ご飯は諦めて、飲み物だけにするべきか。
それともしっかり食べて、大きな依頼を探しに行くか。

「どうしたものかなぁ……ん?」

ピクリ、と一本の髪の毛が反応した。
その髪に意識をして、視覚を通して見れば、なんとまぁ。
裸にシャツ1枚の少年がこちらへと隠れながら近づいてきているのが見えた。
娼年の類だろうかと思いつつ、その瞳がこちらを観察しているのを感じとる。

「ふむ……坊や、見てるんだろう?覗きは良くないな」

一度悩んだ後、振り向きながらそう声をかける。
……振り向いた瞬間、その顔が朝日に当たり、美貌が強く見えた。
仕立てのいい服に、確かな胸の膨らみがあることに少年は気が付くだろう。

「ほら、取って食いはしないから、用があるならこっちに来て言ってごらんよ」

そう、軽く微笑みかける。

タン・フィール > 「…~~~…むーーー… ぇ、とっ!?」

壁の影、井戸のカゲ、木のカゲ、
順に移動しながら、相手の髪の毛の先の不自然な軽やかさにいぶかしい顔を見せ、
それはそうと、水を飲む所作ひとつでも、なんというか様になる姿に、
こくり、と自然と喉が鳴る。

とくべつ、忍びよったり気配を消す技術に長けているわけではないが、
それでもあまりにも振り返るなどの気配もなく声をかけられて、
驚きの声が漏れる。

「ぇ、あ、そのっ… ご、ごめんなさい。
馬小屋に、不思議なヒトがいるなーーって思って、つい、じっと見ちゃって…。

……お姉ちゃん、ここのひと?…それとも、泊まってった冒険者さま?
…もし、よかったら…種族をきいても?」

と、ひとつひとつ感覚を開けて訪ねながら一歩一歩と相手に近づく。
僅かな警戒、おさえきれぬ好奇心。
少なくとも怯えたりしている様子はなく、相手の身分や種族を尋ねる素振りにも、
悪意や差別心よりも、子供特有の好奇心の印象が強い。
朝日で同時に照らされるのは、少女のようにまつ毛長い、幼くも整った顔。
わずかに香る、魔の者の体臭と色香。

クルサオル > 「驚かせちゃったかな?でも最初に驚かせようとしたのは君だろう」

クスリ、と笑った。
そうして見れば、やはり幼い少年にしか見えない。
だがその顔は整っている。少しにおうモノから、おそらくは同族だろう。
だがなぜ同族の少年がこんなところに?もしかして、見た目と年齢が違うタイプか。

まぁどうでもいいか。好奇心でしか興味がないようだし。
そう考えれば、納得がいかなくもない。

「ふふ、そうだね。馬小屋に僕みたいなのがいるのは不思議だろうね。
でも仕方ないんだよ、お金がなくってさ。ちょっとずつ使うようにしないと、冒険者なんてこんなもんだよ。

ん……そうだね。後者だよ。ただの冒険者、ちょっとした小遣い稼ぎをしてるだけさ」

そこまで答えたところで、種族を聞かれる。
さてどうしたものか、素直に答えて、子供があまり口が堅いとは思えない。
しかし黙っているのもな……。

「ん-、そこから先は有料かな?ふふ、女の秘密はとっても高いんだよ?」

そんな風に、誤魔化すことにした。
まさかそう言われてお金を払う人などいないだろうし、この少年がそんなにお金を持ってるとも思えない。

タン・フィール > 「あ、あはは…声、かけるタイミングわかんなくなっちゃってぇ…
でも、急にワーッて大声出したりなんか、するつもりなかったからね?」

相手の笑みに、少なくとも叱られたり、詰め寄られる様子が無いことに胸をなでおろしつつ、
悪戯ごっこをしかけるほど子供じゃない、と弁明。
…その悪戯心は、時と場所が違えばそれはもう存分に発揮されることになるのだが。

「ぁ、うん…ボク、冒険者さまともけっこう、お仕事するから、
そのへんのことはちょっとだけ、わかるかも。」

なるほど、なるほど、と頷きながら、
わずか衣服の腰元に付着し、すぐにハラリと落ちた馬小屋にあるであろう藁のかけらを見て、
実力や実績はさておき、そこまで懐事情の豊かではない相手であることを察する。

「う~ん…っ…無理にだったらヤだけど…でも、知りたいし~…
じゃあ、じゃあ、この宿で必要なもの、ちょっとだけおごりでっていうのは、どう?
ボクは朝ごはん、まだだったし~、お部屋、相部屋なのにひとりぼっちでつまんないし。

教えてくれる内容次第で、休めるお部屋も冒険用のお薬もつけたげる。

…ボクは、タン。 タン・フィール。
王都のいろんなところで、お薬やさんをやってるの。」

冒険者とけっこう仕事を…と、ますます娼年であると誤解されてしまいそうな言い回しだが、
それをさらに助長してしまいかねない、意外とずしりとした容積の巾着を、シャツの内ポケットから取り出す。

彼女が、彼女について教えてくれることを無理なく切り売りするごとに
報酬の量と質が増す。
幼い外見に似合わず、商売人として生きてきた故の、損得勘定の交渉。

後半に続いた、薬師という職業で、果たして疑いは晴れるのやら。

クルサオル > 「ははは、そこまでのいたずら小僧だったら、この剣のサビになってたろうね」

冗談では済まされないことをさらりと答えつつ、朗らかに笑う。
そうして髪をかき上げて、その左目に黒い包帯が厳重に、ほぼ顔半分を覆うように巻かれているのがわかる。
ファッションにしては、些かしっかりと巻き過ぎではないかと思うことだろう。

「そっか。お仕事とかもうしてるんだ?偉いねぇ~」

そう褒めながら手を伸ばして、わしゃわしゃと少年の頭を撫でる。
手つきは柔らかく、優しさが感じられるかもしれない。

「……ふむ。なかなか交渉が板についてるんだね。
じゃあ、そうだな……『そういう依頼』って形でならいいよ。
そっちが支払う報酬、そして僕が話す内容、それぞれを互いに価値を判断し合おうじゃないか。

タン・フィール……うん、じゃあフィールくんだね。
僕はクルサオル、見ての通り、旅の剣士さ。

ちょ~~っとだけ、簡単に人に話せない秘密があるだけの、ね?」

パチン、とウィンクをして。
今のところ、ただの少年としか思っていないが
こんな街中で無茶なことはやらかさないだろう、という油断もあるかもしれない。

「た・だ・し……。話すなら二人っきりね。
ここだけは譲ってあげないよ」

タン・フィール > 「ええーーっ…こわっ!
…イタズラ、やめといてよかった…」

ぼそりと何事か追加し呟きつつ、美貌の半分を覆う眼帯に視線が映る。
深手という様子も無さそうだし、装飾とも異なる、意味深な存在感の布地。
これも、その秘密とやらに関係があるのだろうかとぼんやり考えながら、
くしゃ、くしゃ、と黒髪を散らされて撫でられれば、
つややかな髪をぱさぱさにしてしまいつつも、えらいえらいと言われればにへーっと無邪気に笑って。

「っふふ、でしょー、 作ってるお薬も、普通の人が作れないのもいっぱいあるから!
もし気に入ってくれたら、お得意様になってくれる?
じゃあ、宿の方にいって、ご飯食べてー…いっしょに相談、しよっ?

そのあと、ふたりだけっていうのも、……きっと、だいじょうぶ」

と、秘密について、どの段階かからは、
少なくとも相手にとって重大であるのを察しつつ、
子供相手というのも合ってか幾分か身長に念押しする彼女に、
ここはこくりと、子供の口約束ではなく、依頼者として真剣に頷く。

そして彼女の同意を得られれば、無邪気に手を引いてか、あるいは彼女に引かれてか、
共に宿へと連れ歩き…。

タン・フィール > 【移動します】
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からクルサオルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からタン・フィールさんが去りました。