2021/03/29 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にエリアさんが現れました。
■エリア > 共も連れず、貴族の娘が出歩くのは基本的に難しい。
この令嬢もご多分に漏れはしていないが。
「―――はぐれてしまったものは、仕方ありませんわねぇ……」
などと至極上機嫌に、人通りの多い込み合う目抜き通りを時折人に肩などぶつかってしまいながらも口ずさんでいた。
かなり暖かくなった夕刻の風に髪を揺らしながら、お目付け役として付いて来ていた侍従をまんまと人込みで撒いてやり、それがさも不慮の出来事であるかの様に扱い、一人悠々と物見遊山に街を歩く事に成功。
何せ、口うるさい屋敷の従者を連れていては悪い遊びはおろか買い食いすら自由にできない。
ちょっとそこの屋台で小腹を満たそうと食べ歩きに興じる、なんて平民はみなやっている、貴族だってそのくらいはやる事もあるだろうに、そんな些細なことすら咎められてしまう。
きょろきょろと物珍し気に通りを眺めながら歩くのでさえ、品がない事は慎む様に言う。
「一人で歩きながら物を食べるなんて、全然いけない事でもありませんわよね。周りを見ながら歩くのだって……。
一体誰に迷惑がかかると言うのでしょう。いちいち口うるさいったらありませんわ」
独り言ちながらゆったりと、マイペースな歩できょろきょろ首を巡らせながら、少し気が引かれた物を認めるとそちらへふらふら……そんな風によそ見がちに進む物だから、また、人にぶつかってしまう――だから注意の対象になるのだろうが――肩が傍を歩く通行人に当たってしまい、
「っ……あら、申し訳ありません……」