2021/03/11 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区の雑貨屋」にフィルさんが現れました。
フィル > ようやく暖かくなったと思えば、また肌寒い風が吹き抜けることも多い夜の街。
それでも、夜の街の賑わいが店の中だけではなく。
通りでも行き交う人々の往来で感じられるのは、過ごしやすい気温になってきている証であり。
一つの目安としても見て取れるかもしれない。

そんなにぎわい始める夜をよそに、賑わう通りから外れてしばし進めば、一つの店は見えてくるのである。
辺りの家は寝静まっているのか明かりもほとんど零れているものはなく。
人気がない中、店内かあら明かりを零している店は、少々目を引くかもしれないが。
中で蠢く影は一つであれば、人気のない通りに似つかわしく。
店にもあまり人気はないのが伺えるだろう。

「ふぅ…」

人気のない店の中を、ちょこちょこと動き回る影の主である少年は、ポツリと一つため息を零し。
店内をぐるっと一つ見回すように、視線を動かしては辺りの静けさに、耳を澄ませていくことにしたようである。
元々人気が少ない場所に、あまり変わり映えのない雑貨店である。
もう一つの商いの方はまだしも、少年が管理を任されている雑貨の方はといえば、わざわざ足を運ぶ人はやはり少ないのだろう。

「雑貨にも…もう少し力入れたほうがいいと思うんですけどね…」

ちょっとした魔道具くらい、堂々と宣伝しておくくらいしても悪くはない。
そう思えるほどに、店主への持ち込み以外では、知らない人にはただの雑貨屋以上の宣伝をしない店となっているののだ。
偶に持ち込まれた普通の雑貨である、照明器具を目立つように窓際に並べてみるが、通る人が少なければ、そもそも目につかないのだろう。
久々の深夜の店番となっても、相変わらず静けさに包まれた空間に、少年は誰にいうでもなくまた一つ零し。
カウンターの椅子に腰を下ろして一息つくままに、その静けさに少しうつらうつらし始めてしまうことになったようだが。

フィル > とはいえ、任されているとはいえ雇われ店員の初年である。
大々的な商品入荷の権利があるかといえば、流石に其処までの権利はなく。
店主が許可を出さない限りは、一定以上何かできることもないのだろう。
その分個人個人で多少持ち込まれた品を、店頭に並べて取引がいくつかできたことでも、十分すぎる成果といえるかもしれない。

「ふぁ…」

外の足音すら響きそうなほどに静まり返った店内なのだ。
ジッと考えを巡らせていれば、うつらうつらとしていた思考には、更に眠気が襲い掛かり。
気づけば一つあくびをかみ殺してしまっていたようである。
何とか眠気を振り払うように頭を、何度か揺らしつつも、ゆっくりと忍び寄る眠気は強かったのだろう。
やがて小さく寝息を立て始めることになってしまうことになったようであり。
幸い戸締りをしておらずとも、盗みを働く輩などが忍び込むことはなく。
目覚めたときに慌てて戸締りをすることで、ことなきを得たか―

ご案内:「王都マグメール 平民地区の雑貨屋」からフィルさんが去りました。