2021/02/19 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2 」にティアフェルさんが現れました。
ティアフェル >  ――酷く冷え込む夜。いつもなら賑わう酒場が立ち並ぶ通りも客足は控えめで今日ばかりはややうら淋しく感感じる。
 小雪の混じる寒風の吹き抜ける中。酒精で身体を温めようと考える者の為に赤々と看板を掲げているような店の中から一軒の落ち着いた小さなバーを選んで寒々と肩を縮めるようにして飛び込み。

「はあ……今日は冷えるわねえ……暖かい日があるかと思ったらすぐにこれだもの……堪えるわ……」

 ぼやき混じりに零しながら、暖められた店内の柔らかな空気に、ほわ、と表情を和ませ。空いているカウンターの端に目をつけて羽織っていたコートを脱いで陣取ると、

「何にしようかな……カルアミルクって温めたりしてもらえたりする? あ、じゃあお願いします」

 そんな注文をして、ふう、と息を吐き出した。
 何はともあれまずは身体を温めたい。ビターチョコレートとナッツも頼んでそれを摘まみがてらまずは一杯。

 銅のカップに温められたミルクにコーヒーリキュールを混ぜたものをゆっくりと啜り、

「はふ……温めたのもオツよね……おいしい……」

ティアフェル >  今日は客足も芳しくなく、少し淋しさを覚える店内。バーテンも手持ち無沙汰なのか、話しを振るとよく応じてくれる。会話が弾んでくると、やはり内容は酒のこととなり。
 バーテンダーの言葉に興味深そうに耳を傾け。

「――へえ……酒言葉? そんなのあるのね。花言葉みたいなもの? おもしろーい……教えて教えて」

 ある種の酒やカクテルには酒言葉、という意味を付随させたものがあるとの話にふむふむと相槌を打ち雑学を深めてゆく。

「カンパリオレンジは、初恋……、アラスカは偽りなき心……モスコミュールは喧嘩したらその日の内に仲直り……っふふ。なんか使えそうなものもあるのね。
シェリーは、今夜あなたに総てを捧げます? あらら、大胆……。こういうバーではそんなやりとりもお洒落かもね。直接的じゃないし……」

 酒に詳しい客同士の場合、ナンパなど成立しやすくなったりも、などと洒落混じりに語るバーテンの言葉に肩を揺らして。

「なーるほど……。向こうの席に座る確かに素敵な人に、あなたに見惚れて、なんて意味のあるエンジェルキッスをさり気なくプレゼントされたらぐっとくるかもなー……うーむ……そんな小粋な手で誰ぞ口説いてくれんものか……」

 お洒落過ぎるー乙女心が騒ぐーなどと戯れながら、一人で盛り上がる能天気な客に、バーテンが失笑を口元に手を翳して隠していた。

ティアフェル > 「もうちょっと色気とかなんとか、そういう武器がなきゃ、やっぱり話にならないか……。
 はいはい、出直しますぅー」

 隠されてはいたが、失笑ものの発言だった自覚はあるので察した。むぅ、と唇を尖らせつつぼやき混じりに口にしては、

「それじゃ身体も温まったし、お愛想で」

 スツールから立ち上がるとコートを羽織り会計を済ませて店の扉を押し、その途端に強い北風に押し戻されかけて、

「うっふぅ~、さぁっぶ! 帰るのも一苦労だ……」

 嘆息混じりに零しては足早に帰路に着いて――

ご案内:「王都マグメール 平民地区2 」からティアフェルさんが去りました。