2021/02/18 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区の小道」にフィルさんが現れました。
フィル > 大分厳しい寒さが訪れることも減りつつあり。
出歩きやすい日々が増えてくれば、すっかりと日が沈んだ夜になっても、大通りなどは人の行き交う姿が目にできるだろう。
そんな人でそこそこ賑わう大通りより、少し外れにある路地裏。
一つ驚きに満ちた声が響けば、数人の人影があわただしく路地裏から表通りにつながる道へと、駆け抜けていくことになり。
駆け抜けていく先と反対を見れば、一つの大きな影がそこに佇んでいるのが、見て取れるだろう。

「えーっと…あ、うん。
大丈夫だから…気を付けて帰りなさい」

影の主は大の大人より、二回り位大きな狼にも似た姿である。
その佇む少し手前の姿には、腰を抜かしかけた様子の、小柄な影があり。
フードから零れる耳を見れば、どうやらミレーであることが伺えるだろう。
大きな狼は、その子へとどこかたどたどしい声で言葉を投げかけ。
逃げ去った人影と逆の方へと、去っていくのを見届ければ、一つため息のようなものを零していくことになった様だ。

「こんな感じで…大丈夫だったでしょうか…」

見た目と裏腹に威厳を感じられないのは、気のせいではないのだろう。
シュルシュルと姿を縮めていけば、やがて人外の姿を持った少年へと、その見た目は変わっていくのだから。
路地裏で絡まれていたミレー族の仔を、変化で脅かして反射的に助けた。
どうやらそういった経緯のようだが、慣れないことであったために、どうしても緊張してしまったようであり。
人に化ける前の状態で、逃げた先で少し騒ぎの声が聞こえてくるものの、逃げた人影が戻ってこないのを確認すれば、気を抜いて壁に寄りかかって一息ついていくが。

フィル > 「今回はうまくいきましたけど…攻撃されると危ないですよね…」

どうやらわかりやすく、逃げていった者たちが魔物がいるだのなんだの、憲兵に言いふらした様子はないようだ。
少し戻った静けさに、少年も軽く一息付けたようであり。
変化に対しての自己採点や、改良を見直すように、先ほどの行動を思い出し。
色々と少年なりに考えを巡らせ始めることにしたようだ。
別に正義の味方を気取るつもりもなく。
仕事終わりの帰りに、絡まれていたから、変化の実践もかねて助けてみた、という部分がやはり強いのだろう。

「むしろ強そうな人…それよりも幼女…?
逆に妖艶な女性だと、狙いが変わりそうですし…」

腕に覚えがある様な相手なら、先手必勝とばかりに、何か攻撃されたら吹っ飛ぶのは少年の確率が高いのは、気のせいではない。
人に襲われず、うまく惑わせるような変化のほうが、よりいいのかもしれない。
そんなことを考え始めれば、自然と細道から少し行った先の、人通りのまだ見える通りへと、少年の視線は移り。
少しだけ通りの方へと足を進めて、行き交う人々でも観察するように、尻尾を揺らしつつ、じっと見始める様子を見せ始めていくが。

フィル > 「とりあえず…まずは色々試してみましょうか…」

結局は、そういった結論に至った様だ。
とはいえ無差別に、悪戯を仕掛ける性質でもなければ、色々と実践を伴う変化の機会をえる。
ということは難航することになったかもしれない。
もっとも、耳を澄ませばやがて聞こえてくる、逆方向からの足音に気づき。
それが先ほど脅かした者たちに、一報を受けた衛兵の足音だとわかった頃。
追いかけっこが始まることになるかもしれないが。
通りを観察している少年は、今は知る由もなかったか―

ご案内:「王都マグメール 平民地区の小道」からフィルさんが去りました。