2021/02/11 のログ
ブレア > 酒場。店の一階。カウンター席の端から二番目に陣取って、
酒をちびちび飲んでいる女が一人。客の入りはまずまずで、それなりに
いるはずだが……なぜか。彼女の周辺は、席が空いているというか。
人気が少ない。

「………」

チラと肩越しに、店内を見遣る。
店内の奥には一段高い場所があって。そこには椅子がひとつ置かれていて。
それに腰掛けた吟遊詩人が、今演奏中だ。

「ルックスは悪くねぇけど……選曲がイマイチだなー」

見た目に似合わず、柄の悪い口調だった。

ブレア > 女の頬はやや紅潮している。しかし、頭は冴えている。
酒で体温が上がろうとも、脳の理性を司る部位は鈍らない。
魔族ゆえの特質らしい。毒に近い効用のあるものに耐性が強いのだろう。

何とはなしに演奏を聴き、整った顔立ちの吟遊詩人を遠目に見ていたが。
不意に興味が削がれて。グラスの酒に視線が戻る。

「俺は酔わないからなあ……。熱いものが体の中を通っていく感じは好きだけどよ」

なら、なぜここにいるのか。ナンパ待ちと言うよりは、ちょっかいをかけると面白そうな人間を探すためだった。
女が一人で飲んでいると、周囲にはどんな風に見えるのか。自分にはわからない。

……ただ。

「――何か用?」

感じた視線に、振り返らず応える。
誰かが自分に興味を持ってくれたらしい。背を向けたまま、
相手の出方を待つ。

ご案内:「平民地区/酒場」にイーヴィアさんが現れました。
イーヴィア > (仕事を終え、店を閉めた後
其の儘階上の自室には戻らず、外へと繰り出した
今夜はそうすると決めていた、のは、備蓄の酒が切れていたのも有るし
此処数日は鍛冶作業で引き籠もりがちで、良い加減外の空気が吸いたかったと言うのも在った。
そんな折、特段理由もなく、近いと言うだけで立ち寄った酒場の中
皆が皆吟遊詩人の唄へと集まる中、ぽつねんと、カウンターから動かない女を一人見つけ

――其れが、先刻までの話、だ。
唄にはさして興味も湧かず、近づいて行った其の先、女の背後
此方が声を掛けるよりも早く、気配に気づいたらしき其の姿に
僅か、肩を竦めて見せ。)

「――――……なぁに、用ってほどでもないさ。
ほら、アレがお気に召さない仲間、かと思ってね。」

(肩越しに、振り返らず親指で示して見せる吟遊詩人と其の周囲
念の為補足すれば、恐らくは好みの問題の筈だろう
一応、ああやって人を引きつけるだけの魅力は有る筈なのだし、多分

そうして、其の隣へと姿を現せ、其の横顔を覗き込みながら、暢気に口元へ弧を描いて見せ。)

「それとも、素直に口説きに来ましたって方が、お好みだったかな?」

ブレア > 「面はいいし。美声とも思うけどよぉ……俺はもうちょっと、癖のあるほうが好きだな。――あいつは上品過ぎる、っはは」

ようやく振り返って話していたら。相手のほうからこちらに近寄ってきた。
隣に来ただけではなく、自分の隣席に腰掛けていたとしても、別に気にしない。邪険にはしない。

「……うーん。俺はキザっての? ちょっと気取っている感じの誘い口のが好きかな。
 ――おたくみたいに、ストレートなのも悪かねぇけどよ」

曖昧な笑みを浮かべると、上唇を舌で舐め上げた。挑発的である。
自分が優位でないと嫌だ。でも、面倒ごとは嫌だ。でも、厄介ごとがちょっと欲しい……。
そういう性質の女である。いろいろと欲張りであるから、態度が曖昧で、いろんな解釈ができてしまう。

イーヴィア > 「なるほどな、ま、そういうのが好みの連中も居るからな
アレにとって、どっちが良いかって言ったら…まぁ、一目瞭然だろ。」

(客を集めてなんぼ、と言う意味合いでは
此方少数派よりも、多数派の好みを取るのが懸命だろうし
向こうも出し物として、より好まれる方を選ぶのは当然だろう
まぁ、お上品、で有ることに関しては一切否定しないが。)

「成程な、まぁ、そういうのは、其れこそああいう連中とか
後は、色街の連中の専売特許って奴だろうけれど、な
下手に気取るよりは、真っ直ぐの方が性には在ってるもんでねぇ。」

(女の第一印象は、何方かと言えば怜悧な、大人びた感。
されど、一旦口を開けば、寧ろ冒険者の様に――荒っぽい印象へと早変わりだ
見目と中身がまるで違うな、と、其れは其れで面白そうに笑みながら隣を見やれば
店員へと、駆けつけ蒸留酒を二人分頼みつつ。)

「――――果実酒が合いそう、って最初の印象が吹っ飛んじまったよ。
折角だ、奢るんだったら、どーもこっちの方が良さそうだ。」

(勿論、其の片方を、相手へと。
まるで誘い、挑発するような其の舌の動きには
さて、気付いているのか居ないのか)。

ブレア > 「――まっ、あーいう男を演奏……仕事が終わった頃合いに呼びつけて。
 ちょっかい出すのも面白そうだけどな。上品そう、てなぁ、俺がそう見えてるだけだ」

人外めいた視線を件の吟遊詩人に少しばかり向けたかと思えば、
唇の片端を持ち上げ……歪ませた。恐らく、笑ったのだが。
意味深と言うよりは、淡い悪意が感じられる。加減しているから、淡く見えるだけか。

「……俺は自分に自信がなくて、臆病だからサー。
 面倒くさい工程を挟みたくなっちゃうわけ。一気に行けないわけ。

 ――なに、俺んこと……リードしてくれるの? あなたが?」

頬杖を付き。相手のほうを見ながら。どこまで本当の話やら。
判別しづらい口調と声のトーンで。笑い声を混ぜながら話す。
――かと思えば、頬杖やめ。じっと彼を見て。目を細めて問うた。

「――俺に合う酒はウィスキーじゃね? ダァジリン、だったかな……。
 そういう名前の紅茶でミルクティー作って、そこにウィスキー入れて飲むの好きなのよ俺。

 ……あぁ、わかってるじゃん――ははっ」

少し話の前後はあったが。好みの酒とその飲み方の話をしていたら、
相手がそれを頼んでくれていた。少しだけ考える。……あたしを酔わせようと思っているのかな?
女の振る舞い上の喋り方と心の声は違う。それはさておき、もし彼がそのつもりなら。
目論見は失敗に終わるわけだが。

とりあえず、注文された酒が来たタイミングで、

「ありがとう。――んっ……くぅ」

礼を言い。それを一気に呷った。白い咽喉を鳴らし、見せ付けるように。

イーヴィア > 「上品さは頑張れば身に付くからなぁ
嗚呼言う手合いが、実は裏じゃ肩で風切って歩いてるかも…
――なんて言ってると、営業妨害だって怒られちまうか?」

(想像する分には自由だが、大声で言うような事でもない
あくまで、カウンター席にだけ伝わる戯言として告げれば
皆演奏に夢中だからか、さして時間も掛からず届く酒を受け取り
相手へと、軽く掲げるようにして勝手に乾杯を。)

「へぇ、でも声は逆に、自信たっぷりって感じだ。
さて、ご希望ならリードさせて貰うが、御気に召すかは保障出来ないな
大人しくリードされてくれるなら、話は別だけれどなぁ。」

(相手が飲むのに合わせ、己も一気にグラスを煽る。
度数は決して低くはない、喉を通れば酒精が粘膜に染み
熱感が通り過ぎてゆくのが堪らなく良い、仕事終わりなら尚の事だ
勿論、酒に弱い女であれば、この程度の一杯でも前後不覚には成るのだろう
だが、其の隙を狙って――などという気配は、きっと皆無
奢ったのも、あくまで其の一杯だけ、続いて更に注文を重ねる、と言った事もなく。)

「――――……は…久方ぶりに外で飲む酒も、美味いもんだ。
気障ったらしく言うなら…、……隣にいい女が居るなら、尚の事な。
良ーい飲みっぷりだぜ、てか、此れで何杯目だい? アンタ。」

ブレア > 「多分、怒られる。――でも、聞こえやしねえよ。
 だから、怒られない。……俺は二面性あるほうが好きだな。
 
 そのほうが退屈しない」

そう言って、軽くカウンター席に突っ伏せば(もちろん、グラスを避けながら)。
気だるげな目付きで、彼を上目遣いに見た。遠回しに甘えているように見えなくもない。
無防備な自分を、実験的に晒しているようにも……見えなくはなかった。
酒が来たタイミングで上体を起こしたし。乾杯にも薄く微笑んで応じたが。

「……俺がリードされる場合、俺があなたに俺のこと、話さなきゃ――じゃん?
 その、好み。嗜好とか。さすがに相手のこと、何も知らないでリードはできないだろ。
 ――自信はまじでないって。ゼロではないけど。
 正確には。ゼロと小さな正の数を、行ったり来たりって感じ。
 ……なんだ。お前も強いのかよ」

少し残念そうな女。男の弱ったところを見たかったらしい。
よく考えれば、自分が飲めない酒を頼むわけもないのだが。
飲み干した自分はと言えば。心地よい体温の上昇と浮遊感を覚えている。
ただ、理性の手綱は手放さない。ふわふわした心地は徐々に引いていく。
酔わせる意図はないらしいと知って。それはそれで、少しつまらなく思っていた。

「――7杯目。……あ、いや。6.7杯目か?」

おどけて言って見せれば。実は飲み切っていなかった奢られていないほうの酒を、
その飲み掛けを飲み干す。これで7杯目になる。

イーヴィア > 「二面性ね…、……其の退屈とやらを嫌って、こんな所に?
今も…どうすれば退屈しないか、偶近づいてきた俺で、試してるのかい?」

(確証はないカマかけ、でしかない推測だが。
さて、何処か甘えるような仕草を見せる相手の
果たして何処までが、本来の女、其の物の反応なのだろうか
隙なぞ欠片もなく見える瞬間と、余りにも無防備に過ぎる瞬間とが交互に訪れる様相
さて、手綱を引くのは、何方か。)

「勿論、其の時は、俺も色々聞くだろうな
言いたくない事まで聞き出すつもりはないぞ、聞かなくたって判ることだって在る
例えば、アンタが酒に強い事。 んで、今もお楽しみの真っ最中だって事。
……お代わりは要るかい?」

(勧めるのではなく、あくまで、相手の意志に任せて。
けれど、頬杖付きながらふと、7杯目の酒を飲み干す女の、其の横顔を見やっては
――何を思ったか、ふと、其の目元に向けて指を、伸ばしてみようとするだろう
もし、叶うなら――柔く其の頬を、目元を、擽る様に)。

ブレア > 「……退屈はね。実は、そんなに嫌いじゃあない。
 ――嫌っても、仕方ないもの。感情は俺の一部なんだから。
 
 考えていることなんか……決まっているよ――卑猥な、こと」

要は、偶然出会った目の前の相手と。どうしたらそういう雰囲気になって、
ちゃんと気持ちもお互い、盛り上がれて。……でも、結局は自分"が"ちゃんと愉しめるか。
思わせ振りな態度を取りつつ、そんな計算をしていたわけだ。

ただ、複雑な計算をするほど、抽象的なアプローチになってしまうわけだが。

「……ん、――要らなぁい……」

鼻にかかった、甘えたような声を漏らせば。ゆるゆると首を横に振って。
だが、少し夢見心地になってぼんやりしていた所、彼に触れられれば、

「ぅ、んっ……!」

やや驚き混じりの嬌声を上げた。よっぽど人肌恋しかったのだろうか。
目を細めてくすぐったそうにすると、身を軽く捩るも。
それ以上の抵抗はない。

イーヴィア > 「………俺なんかよりよっぽどストレートで、自分に正直だ
お互いに、お互いの探り合い。 ……やり過ぎると冷めちまうかも知れない。
でも、相手がノるなら…愉しいかも知れない、だろ?」

(――触れた、其の目元。
或いは拒まれ、逃げられるかも知れぬと思ったが
そうではなく、寧ろ、触れられる事を心地良く感じる気配が在るなら
優しく其の首裏へ、指先を滑らせ、敢えて辿るようにして
背筋を追いかけ、緩やかに女の其の身を、追いかけては
傍目には隣同士の席、其の腰元を緩やかに支えるように
――拒まぬなら、其の下腹を、掌で捉えて。)

「―――――………なら、いっそお誘いだ。
まだ、向こうさんも続くようだし…、……アンタを誘ったら、来るかい?」

(酒は、きっと。 今の女にとって、必ずしも魅力的な釣り餌とはならない筈だ。
だから、初めからそうした様に、女へと真っ直ぐに問うのだろう
今が決して、女のお眼鏡に叶わぬほど退屈、でないのなら
――席を立つか、と。 其れは、きっと明確な誘い文句。
気障な口説き方よりも余程、意図を隠さない)。

ブレア > 【中断】
ご案内:「平民地区/酒場」からブレアさんが去りました。
ご案内:「平民地区/酒場」からイーヴィアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にティアフェルさんが現れました。
ティアフェル >  夜の街は冷たい風が吹き抜けていたが、赤々とした灯りが夜の底を暖かく照らし、人々のざわめきが昼と大して変わらぬ程、さざめいていた。
 この時間まで仕事に追われ、ようやく一段落し賑わう大通りを行き過ぎながら、

「ふいー……今日も、疲れた、と……」

 大きく伸びをし、スタッフを片手に思わず零れる独白。一仕事終えた後にどっと圧し掛かって来る疲労感と空腹感。からっぽになった胃を小さく鳴らしてしまうと、今日は何を食べようか、などと能天気なことを考えつつ、十字路に差し掛かった瞬間――、

 わんっ

「きゃっ……?!」

 横合いから一声吠えながら突如飛び出してきた野良犬に驚いて小さく悲鳴を上げ、その拍子に握っていたスタッフが手から勢いよくすっ飛んで行ってしまい、

「あ、危な……!」

 ちょうど前方を往く人物の後頭部目掛けて一直線に放物線を描いた。
 我ながら結構な勢いですっ飛ばしてしまったので、ヒットするとなかなかのダメージを喰らうと思われ、焦った声を発したが、それで反射的に避けろというのは無茶な振りだ。

ティアフェル >  かくして、緑の眼を大きく見開く中で、止める間も件の人物が避ける暇も残念ながら失していて、それはぽーんと態とじゃないのかというくらい綺麗に吹っ飛んで行った。狙って投擲したごとく。

っかっこーん

 と、乾いた小気味よい音を響かせて直撃してしまう、頑丈な木製のスタッフ。ここで出なくてもいいクリティカルヒット。会心の一撃を間の当たりにして加害者としては大慌てで、

「ご、ごめんなさいっ……! 大丈夫? 瘤になっちゃったかなぁー……」

 現況の犬は通りすがったらしく、犬恐怖症女を恐慌に駆り立てるものはない。足早に被害者へと駆け寄って謝罪を口にし、そのヒットしたスタッフを拾い上げて回復魔法を施そうと宵闇の中、相手が誰なのかを確認する前に思わず、直撃した後頭部に掌を伸ばしていた。

 ・めっちゃ怒ってる。
 ・超怒ってる。
 ・怒号と罵声の嵐の予感(できればバックレて逃げたい)。
 ・……案外そんなに怒ってなかったら嬉しいな。

 希望的観測と、暗澹としたほんの少し先の未来を思い描きながら。

ティアフェル >  ――そして、予想通り振り返った被害者に滅茶苦茶怒られ、急いでヒールして、平謝り一択。

 色々謝罪の品(傷病の際のヒール一回券)などを献上しどうにかして許してもらい、ひーっと胸を撫で下ろしてさらに余計疲れてしまいながら帰途に着いたのだった。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からティアフェルさんが去りました。